北九州市とAWSジャパン、「バックアップ首都構想」の実現に向け連携–宇宙産業の振興も視野に
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福岡県北九州市とアマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は8月17日、「“バックアップ首都構想”の実現に向けた包括的な連携」を締結した。同日に行われた締結式では、北九州市 市長の武内和久氏とAWSジャパン 執行役員 パブリックセクター 統括本部長の宇佐見潮氏が連携協定に関する取り組みを説明した。
北九州市は「デジタルで快適・便利な幸せなまち」の実現を目指して、「北九州市DX推進計画」を策定し、市民サービスの向上と業務効率化を同時に実現する取り組みを進めている。武内氏は今回の連携の背景について、「私が描く北九州市の治政の方向性や、デジタル分野を含んだ産業をよりハイブリッドなものにしていくという方向性に宇佐見氏から共感を得ることができ、連携協定の締結に至ることができた」と説明。また、宇佐見氏は「AWSのクラウドサービスや最先端のテクノロジーを通して北九州市と伴走する」と語る。
この連携では、(1)“バックアップ首都構想”の実現、(2)行政や地域に対するDX促進、(3)スタートアップ支援、(4)宇宙産業の推進――の4点を軸に取り組みを進めていくという。
バックアップ首都構想は、災害時に備えて首都圏に集まる企業や機関の本社機能を北九州市に集積する取り組みのこと。今回の連携にある(1)“バックアップ首都構想”の実現では、IT企業・本社機能の集積やそれに向けたクラウド人材の育成を行うという。
具体的には、AWSジャパンのネットワークを生かした関連企業の誘致やAmazon Web Services(AWS)が提供する人材育成プログラムを活用し、誘致した企業や市内企業へのサポート体制を強化する。宇佐見氏は「AWSジャパンとして、中堅・中小企業の経営者向けにDX勉強会やハンズオンセミナーを開催し、クラウド人材育成に取り組む」と今後の展開を語る。
また、同市全体で市の魅力を発信し、企業誘致を加速させていく産学金官連携ネットワーク「IT Scrum KitaQ」にAWSジャパンが参画。8月25日に同ネットワークの発足イベントを開催する予定だ。
(2)行政や地域に対するDX促進では、AWSジャパンの最新技術や知見を活用したクラウドサービスの利用、AWSの多様な研修プログラムを導入することで、市役所のDX推進や職員・学生のデジタルスキル向上を図るという。
行政の職員向けには、AWSパートナーが提供するクラウド人材育成プログラムの特別支援枠を提供する。武内氏はこの取り組みを通して「市民一人一人にフィットした行政サービスを構築したい」とした。また、地域の教育機関と共にクラウドスキルトレーニング「AWS Academy」を提供し、デジタル人材の育成を支援するという。
(3)スタートアップ支援では、同市のコワーキングスペース「COMPASS KOKURA」と連携し、AWSが提供するスタートアップ支援プログラム「AWS Activate」を活用して、スタートアップ企業を支援する。同プログラムでは、スタートアップがAWSを素早く開始するために必要なリソースをオールインワンで無償提供するという。
また、スタートアップに関するイベントを共同で開催し、企業間のマッチングや人材獲得をサポートする。武内氏は「これらを通して、スタートアップ企業の事業拡大や新たなビジネス領域への進出を促し、スタートアップエコシステムを北九州市内で強化していきたいと」している。
(4)宇宙産業の推進では、地球観測技術や衛星インターネット技術の発展と提供を目指す企業に対して、これまでAWSジャパンが取り組んできた宇宙産業支援に関する知見やネットワークを還元する。また両者が共同で、宇宙産業の発展と宇宙に関するアイデアコンテストやハッカソンなどのイベントを開催する予定だ。
武内氏は同市とAWSジャパンの連携に対して、「まず人材の育成やイベントの開催を足掛かりにIT企業の集積、未来産業の振興、そして“バックアップ首都構想”の実現という道筋を確かなものにしていきたい。AWSジャパンと連携協定を結べたことは北九州市にとって大きな成長への再起動の起爆剤になり、これを新たな推進力にして北九州市の産業の進展や国内外のプレゼンスの向上に生かしたいと考えている」と話した。