法人向けIT事業を強化するKDDI–データ関連ビジネスでの実績を強調

今回は「法人向けIT事業を強化するKDDI–データ関連ビジネスでの実績を強調」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 KDDIは9月5日、報道機関向けの法人事業戦略説明会を開催した。同社は、2022年に法人事業を通信事業に次ぐ柱に拡大させる経営方針を表明。説明会では、特にデータ関連ビジネスの実績や展開を強調して見せた。

 同社は、2022年に発表した2024年度を目標とする中期経営計画で、法人顧客のDX需要にフォーカスする法人向けビジネスを「NEXTコア事業」と位置付け、携帯電話などの「コア事業」に次ぐ規模に拡大させることを目指している。

 法人事業の戦略を説明した取締役 執行役員専務 ソリューション事業本部長 兼 グループ戦略本部長の桑原康明氏は、「現在グループ全体業績ではコア事業が約62%、NEXTコア事業が約38%の比率となり、NEXTコア事業は年率数%で確かな成長を遂げている」と実績を紹介した。

 NEXTコア事業では、大きく「コーポレートDX」「ビジネスDX」「事業基盤サービス」の3つのテーマを設定している。桑原氏によれば、最近の日本企業のDX需要は、業務効率化などからデータを活用した新規事業創出と既存事業変革に移行しつつあり、同氏はKDDIの法人事業をデータ活用によるDXの支援と特徴付ける。

 同社のDXの定義は、「非デジタルをデジタル化し、データを活用していくこと」だといい、特に「音声のデータはまだデジタル化が進んでいない」などとした。9月1日には、KDDI傘下でコンタクトセンター事業やビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)を手がけるKDDIエボルバと、三井物産グループでコンタクトセンターやバックオフィス業務を手がけるりらいあコミュニケーションズを経営統合したアルティウスリンクを発足。年間5億回というコンタクトセンターでの顧客とのやりとりにまつわるデータと、商品や購買、気象などの多様なデータを組み合わせたデータ活用ソリューションを推進していくという。

 桑原氏は、KDDIの法人事業の強みとして、約40万社の法人顧客を含むデータの入出力を行う圧倒的な顧客基盤を有すること、IoTを中心に世界で約4000万回線もの通信契約を獲得していること、インフラからシステム開発、データ活用までを一気通貫で行えるグループ企業体制だとした。

 IoT分野では、既に多数の法人顧客に対するソリューション提供実績があり、桑原氏は、一例として、スマートメーターを手がける東洋計器との検針データなどの収集、分析からLPガス事業者に最適な配送ルートを提示するソリューションサービスを挙げた。また自動車業界向けでは、コネックテッドカーのデータプラットフォームをトヨタなど多くの国内自動車メーカーに提供しており、この実績を踏まえて6月にはBMWとのグローバル契約も獲得。今後は海外自動車メーカーへの提供を拡大させていく。

 また、法人のデータ活用需要では、企業間データ連携による事業変革の期待も高まっているとした。桑原氏は、消費者の行動や購買などのデータを組み合わせたマーケティングソリューションや、JT東日本らと取り組む高輪ゲートウェイシティでのデジタルツインプラットフォームなどを事例に挙げ、今後はデジタルツインのソリューションがさらに重要になるとした。

 デジタルツインでは、現実世界の環境をサイバー空間に再現し、現実世界のデータをサイバー空間に反映させることでシミュレーションを実行しながら課題解決などを図るといった効果が期待される。桑原氏は、デジタルツインのソリューション開発には専門性やノウハウなどが必要となるとし、3月にデータ連携プラットフォームサービス「Conata」を展開するフライウィールと資本業務提携を締結している。

 説明会に登壇したフライウィール 代表取締役社長の横山直人氏は、Conataの実績として日本生活協同組合連合会(コープ)における売り上げを維持してのカタログ発行部数の50%削減、カルチュア・コンビニエンス・クラブでの書籍販売におけるAI需要予測を活用した実売率の約20%改善などの例を紹介した。

 KDDIとは、既に物流センターにおける在庫管理の最適化に乗り出しており、KDDIの東日本物流センターでは突発的な需要拡大に対応できる体制を構築中であるほか、同西日本物流センターへの展開も開始したと説明。横山氏は、KDDIとの協業により、これまで以上に多くの企業と連携したデータ連携プラットフォームの利用が拡大することへの期待感を示した。

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