HPE Aruba、セキュリティなど3分野に拡大するトライアングル戦略を示す

今回は「HPE Aruba、セキュリティなど3分野に拡大するトライアングル戦略を示す」についてご紹介します。

関連ワード (ネットワーク等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 Hewlett Packard Enterprise(HPE)のネットワーク事業部門「HPE Aruba Networking」(HPE Aruba)は、9月11~13日にインドネシアのバリで年次イベント「Atmosphere ’23 Asia Pacific & Japan」を開催した。12日の基調講演では、同部門を率いるPhil Mottram氏が登場し、セキュリティなど新しい注力分野を含む戦略を説明した。

 HPE Arubaは、HPEが2015年に買収したネットワーク技術企業のAruba Networksを母体とする。Wi-Fiアクセスポイント製品で知られ、HPE傘下となった後にWAN、キャンパススイッチ、SD-WANにも拡大した。

 Mottram氏は、2021年にHPE Intelligent Edge Business担当エグゼクティブ・バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーに就任した。「就任時は6000人のスタッフで、売上高は約30億ドルだった。現在は(それぞれ)1万人、50億ドルを上回る規模になった」と胸を張る。HPEが2023年8月末に発表した直近の四半期(2023年度第3四半期)は、HPE Arubaが収益の50%近くを占め、売り上げは前年同期比52%増となるなど、HPEをけん引する事業となっている。

 例えば、Wi-Fiアクセスポイントは累計出荷台数が約2800万台に上り、1億の端末が常時プラットフォームに接続している状態だという。2017年に「CX」ブランドで参入したネットワークスイッチでも、ポート数にして2300万を出荷した。2021年に参入したSD-WANは、3600の顧客を数えるという。

 「HPEの一部として驚異的な成長を遂げることができた。世界全体で成長しているが、特にアジア市場でのビジネスは好調だ」(Mottram氏)

 この基調講演でMottram氏は、製品とサービスを土台に、「Aruba Central」「HPE GreenLake Network-as-a-Service」の2つの辺を持つ“三角形”を聴講者に見せながら、現在の戦略を説明した。

 製品とサービスでは、Wi-Fiアクセスポイント、スイッチ、SD-WANに加え、新たに「データセンターネットワーキング」「プライベート5G」「セキュリティ」の3つの分野に拡大している。

 1つ目のデータセンターネットワーキングは、「CX」ブランドのポートフォリオを拡張する。最新の「CX 10000」など12の新製品をリリースし、数百もの機能強化を加えているという。CX 10000の出荷台数は、既に1400台に達しているとのことだ。

 2つ目のプライベート5G(日本では「ローカル5G」とも呼ばれる)は、2023年に買収したAthonetにより実現した。なおMottram氏は、「プライベート5GとWi-Fiは共存する」とし、プライベート5Gのユースケースとして鉱業など屋外、倉庫、国防などを紹介した。

 3つ目のセキュリティは、「SASE(Secure Access Service Edge)」が中心となる。Mottram氏によれば、SASEの5つのコンポーネント(SD-WAN、ネットワークファイアウォール、ゼロトラストネットワークアクセス=ZTNA、セキュアウェブゲートウェイ=SWG、クラウドアクセスサービスブローカー=CASB)のうち、HPE ArubaにはZTNA、SWG、CASBが欠けていたとのこと。そこで、2023年3月にAxis Securityを買収し、「現在われわれはSASEコンポーネントを全て備えている」(Mottram氏)とする。

 セキュリティのSASE分野に拡大するという決意を示すべくHPE Arubaは現在、自社を「セキュリティファースト(最優先)のネットワーキングベンダー」と標榜している。

 戦略を示す“三角形”の残る2つの辺のうち、「Aruba Central」は、アズ・ア・サービスモデルで提供する「HPE GreenLake」の一部に統合されたネットワーク管理プラットフォームとなる。

 これは、10年近い歴史を持つ管理プラットフォームで、23万の顧客が利用し、270万台のデバイス、2億台のクライアントを管理しているという。同社は、基本的に買収した技術をAruba Centralで管理できるように組み込んでいく。Mottram氏は、「これは大きな差別化だ。競合はどこも管理プラットフォームがバラバラで、顧客はイライラを抱えている」とした。

 HPE Arubaは、Aruba Centralを定期的なアップデートを続けており、基調講演では最新機能の1つとして、問題が発生した時点にさかのぼって原因を特定する「Time Travel」が紹介された。

 また、戦略を示す“三角形”最後の辺となる「HPE GreenLake Network-as-a-Service」は、月額課金でネットワーク機能を利用できるサービスになる。既に米国のDIY大手HomeDepotなど大企業50社が契約しており、「大きなビジネスになっている」とMottram氏は述べた。それだけでなく、パートナー向けに標準化した反復可能なオファーも準備しているという。

 Mottram氏は、Network-as-a-Service(NaaS)が重要だとし、その理由には、顧客の需要だけでなくサステナビリティー(持続可能性)の側面もあると説明した。

 なお、サステナビリティーに関してHPEは、リサイクルプログラムを展開しており、2022年だけで約360万台の資産を回収したという。このうち82%は、中古品として再活用したという。「このような返却・回収プログラムは、顧客のサステナビリティー目標を支援でき、循環型経済に貢献できる」とMottram氏。

 HPE Arubaは、イベント会期中に中堅・中小企業向けブランド「Aruba Instant On」の最新製品として、Wi-Fi6規格に対応したアクセスポイント「Aruba Instant On AP22D」、2.5GB BASE-Tに対応したスイッチ「Aruba Instant On 1960 スタッカブルスイッチ」も発表している。

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