富士通、2024年度第3四半期は「サービスソリューション」が好調–人材面に課題か

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 富士通は1月31日、2024年度第3四半期(2024年4~12月)連結業績を発表した。主力となる「サービスソリューション」の売上収益が前年同期比2.7%増の1兆5631億円、調整後営業利益が同38.9%増の1615億円となり、同事業が引き続き増収増益基調で推移していることを示した。

 サービスソリューションは、富士通全体の売上収益の約6割を占め、調整後営業利益では連結合計を上回る。売上収益、調整後営業利益とも第3四半期累計で過去最高を達成。また、調整後営業利益の年間計画に対する進捗(ちょく)率が58%となり、前年同期の49%に比べて進展していることも強調した。もちろん裏を返せば、残りの42%を第4四半期(2025年1~3月)で稼ぐ必要があり、1185億円の利益の上積みが必要になる。

 業績を説明した代表取締役副社長 CFOの磯部武司氏は、「第4四半期に約1200億円の大きな利益の積み上げが必要で、予断を許さないのは確か。だが、この規模は前年同期と同水準(2023年度第4四半期実績は1209億円)で、しっかりと進めていけばいい。計画達成への道筋は見えてきた」と自信を見せる。

 合わせて調整後営業利益率も着実に上昇し、2024年度第1四半期が7.0%、上期累計で8.7%、第3四半期累計では10.3%と2桁台に到達。通期で12.6%とより高い水準を目指すことになる。増収効果に加え、開発プロセスの標準化や自動化・内製化の進展、オフショア活用拡大のほか、受注時の採算管理強化などによる採算性改善、提供価値を基にした適正価格設定の効果もある。

 また、製造過程でトラブルを予兆検知したり、「チーフクオリティオフィサー」(最高品質責任者)設置による品質の担保で不採算案や原価率の悪化を防いだりしていることも収益性改善につながっている。さらに、「Fujitsu Uvance」によるオファリングの拡大で付加価値提案を加速するだけでなく、不採算プロジェクトを減少させる効果も生んでいるという。磯部氏は、「売上総利益率が35.9%となり、前年同期比で2.6ポイント改善した。サービスソリューションは力強いペースで採算性が改善している」と手応えを示した。

 その一方で、投資拡大にも余念がない。前年同期に比べて投資を190億円拡大しており、Fujitsu Uvanceの「Vertical」領域を中心としたオファリング開発への投資や、モダナイゼーション案件の増加に対応すべくモダナイゼーションナレッジセンターを拡充。AIを活用したシステム構築の自動化を進めたり、デリバリーの標準化に向けた投資の拡大を行ったりといった取り組みを推進する。専門人材の育成やセキュリティ強化などの投資も計画に沿って拡大しているという。

 投資金額の拡大は利益圧迫につながるが、磯部氏は、「Fujitsu Uvance、モダナイゼーション、コンサルティングは、ビジネスの立ち上げフェーズにある。計画通りの先行投資でありネガティブには捉えていない。覚悟の上の先行投資」と位置付ける。

 サービスソリューションの好調ぶりは国内の受注動向からも分かる。同社によると、国内サービスソリューション全体の受注状況は、DXやモダナイゼーション商談を中心に拡大し、前年同期比2%増だった。分野別では、産業・流通・小売の「エンタープライズ」が5%増、金融・保険の「ファイナンス」が同6%増、官公庁・自治体・医療の「パブリック&ヘルスケア」が同5%減、ミッションクリティカルやナショナルセキュリティによる「ミッションクリティカル」が同10%増となっている。

 数字面で低く映るが、2023年度は、国内サービスソリューション全体の受注が前年比2桁増で推移し、特に複数年契約の大型案件の獲得が多く、1年を通じて高い受注水準だった。つまり2023年度を上回る水準で2024年度が推移しており、デマンドの拡大基調が続いている。

 同社の受注実績は、2022~2024年度の9カ月累計における平均成長率(CAGR)で、国内サービスソリューション全体が9%増、マイナス成長だったパブリック&ヘルスケアも6%増、好調なミッションクリティカルが防衛関連案件の積み上がりで19%増の高CAGRを達成。磯部氏は、「2023年度の高水準を上回り、確実に商談獲得を続けている。好調な受注環境が続いており、第4四半期や2025年度も増収トレンドを維持できるだろう」と強い手応えを見せた。

 エンタープライズでは、デジタル変革(DX)や「サステナビリティートランスフォーメーション」(持続可能性変革:SX)、基幹システムのモダナイゼーション案件が増加。ファイナンスでは、金融機関向けの基幹業務システムの大型更新商談を獲得したという。また、パブリック&ヘルスケアでは、複数の基幹システム案件の獲得や、自治体標準化に関する案件を獲得。ミッションクリティカルでは、クラウド商談などで複数の大型案件を獲得したほか、第4四半期にナショナルセキュリティを中心とした大型案件を複数獲得できるという。

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