日本企業で進まぬデジタル化、対策は「紙業務」の課題解消から–ラクスら3社が討議
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ラクスは9月20日、IEYASU、弁護士ドットコムと共に「日本企業のデジタル化遅れ対策は『紙業務』の課題解消からスタート」と題したウェブセミナーを開催した。本稿では3社によるパネルディスカッションの様子をレポートする。
–(司会、以下省略)企業における紙の業務とそれによって起こる働き方/生産性の問題とは?
名和氏:まず経費精算は非常に広範な領域であり、申請者、承認者、経理担当者など、ほぼ全従業員が関与する可能性がある。申請から承認に至るまでの過程で、承認者の不在や申請者が申請を遅らせるなど、さまざまな問題が生じることもある。また、経費精算のプロセスは往々にして紙ベースで行われることが多いものの、必ずしも最善の方法であるとは限らない。デジタル化によって業務の自由度が増し、かつ時間を節約できる可能性がある。各企業に合った適切な業務フローを構築することが重要だ。
川島氏:勤怠管理の考察は非常に興味深い。特に伝統的な手書きのタイムカードからデジタル化への移行、その過程での業務改善や新たな働き方の模索は、多くの企業が直面している課題だ。京都の酒造メーカーなどは企業独自の文化や慣習を尊重しつつ、システムに反映させている。一方でクラウドサービスが提供する標準化された勤怠管理システムに(組織を)合わせることで、過去の複雑な集計方法や手当てなどを見直す良い機会にもなるという意見も正論である。このようなDX(デジタルトランスフォーメーション)は、企業が効率的で公平な働き方を実現するための重要なステップだ。
安藤氏:現在のソフトウェア(の進化)に合わせて推進するのが重要。事業に類似するもの(=ソフトウェア)が管理部門に登場し、この機会に(社内)ルールを変えていくべきだ。紙業務に関連する働き方や生産性の問題もハイブリッドワークや完全リモートワークなど、さまざまな働き方が存在する。ただし、出社しなければならない時間が業務時間に影響を及ぼすことや、例えば子育てなどライフスタイルに合わせた働き方が難しいことも事実だ。
–紙の業務をペーパーレス化することで、働き方/生産性はどのように変化するか? また、最初に企業が取り組むべきことは何か?
川島氏:リアルタイムに情報が得られることで、業務の状況を把握しやすくなった。契約書の管理や請求書の送付など、業務の進行状況を把握できる。ペーパーレス化システムが未導入の企業では、従業員のモチベーションが下がりかねない。そのため企業はデジタル化を推進して働き方を改善し、生産性を向上させることが求められている。デジタル化を進める際は「小さな成功」を重視することも大事だ。一度に全てを変えるのではなく、少しずつ改善を進めることで、従業員が新しいシステムに慣れていく。
安藤氏:経営者・経営層がデジタル化とペーパーレス化を推進する旗振り役になれば、企業は効率的に業務を進め、目標を達成できる。ただし、この変革は組織全体の取り組みが必要になる。経営計画に組み込めば、一気に進展する可能性もある。
名和氏:デジタル化の推進により、(従業員の)働き方の満足度や生産性は変わる。特に若い世代が働きやすい環境を作ることが重要だ。繰り返しになるが経費精算の領域においても、企業ごとに異なる経費精算のルールやフローを明確化し、現状把握と企業の目指す方向性を明示しなければならない。さらにシステム導入がうまくいかない場合は、しばしばその原因が企業の意識や目的の不明確さにある。