IPOを果たしたWishの投資家、ウルフソン氏は初日の株価を気にしない

今回は「IPOを果たしたWishの投資家、ウルフソン氏は初日の株価を気にしない」についてご紹介します。

関連ワード についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、TechCrunch様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


Founders Fund(ファウンダーズファンド)がまだ非常に若いベンチャー企業だったとき、Justin Fishner-Wolfson(ジャスティン・フィッシュナー-ウルフソン)氏を初代社長として迎え入れたことには、何の不思議もないだろう。スタンフォード大学から2つの学位を取得し、学校の学生団体に資産管理サービスを提供する組織のCEOとして2年間過ごしたフィッシュナー-ウルフソン氏は、ベンチャーファンドでためらうことなく自分の意見を述べた。実際、フィッシュナー-ウルフソン氏は、ファウンダーズファンドがSpaceX(スペースX)に対して当初計画していたよりもずっと大きな投資を行ったのは、同氏がスペースXへの投資を推し進めたからだといっている。

フィッシュナー-ウルフソン氏は、Facebook(フェイスブック)の2012年のIPO以前にフェイスブックで働いていた友人のおかげでもっと良いチャンスを見つけるまでの3年間、ファウンダーズファンドに留まった。その友人たちは所有している株を清算する方法を探し始めていた。選択肢はあったが、同氏の中では適切な選択肢ではなかった。さらに同氏は、フェイスブックのような多くの企業がもっと長く未上場のままでいると予測していたといっている。フィッシュナー-ウルフソン氏はファウンダーズファンドに別れを告げ、137 Ventures(137ベンチャーズ)を設立して、創業者、投資家、従業員から追加発行分の株式を取得した。

これは10年前のことで、同社は順調にいっているようだ。2019年、同社は4回目のファンドを2億5000万ドル(約259億円)の資本コミットメントでクローズし、運用資産は10億ドル(約1035億円)を超えた。1回の投資をおよそ10社から12社にしぼって行うという同社のアプローチも功を奏しているようだ。2020年9月末以降、同社の投資先企業3社(Palantir、Airbnb、Wish)が公開市場に参入した。

TechCrunchは、フィッシュナー-ウルフソン氏から長時間にわたって話を聞き、137ベンチャーズの事業の仕組みや、企業の選別方法から、従業員に既得ストックオプションを長く保有させている企業が及ぼす影響まで詳しく聞いた(「期限が切れようとしている膨大な量の株式を持っている人たちからの絶望的な電話がなくなりました。私は、このような電話がかかってこないことにすっかり満足しています。そういった状況にいる人たちにはとても申し訳なく思うからです」と同氏は語っている)。

私たちは、137ベンチャーズの投資先に含まれているスペースXの早期取引についても話した。

読者はこちらから会話全体を聞くことができるが、今回は、その会話からWishを中心とした内容を抜粋して紹介する。Wishはディスカウントeコマース企業で、2020年に行われたIPOは不発だったといわれている。

TechCrunch(以下TC):137ベンチャーズの投資先企業の2社(パランティアとエアビーアンドビー)は公開市場に参入し、非常にうまくいきました。これとは別に、Wishは上場初日に株価が急落しました。WishのIPOをどう判断しますか。投資家はこの会社を誤解していると思いますか。

ジャスティン・フィッシュナー-ウルフソン氏(以下JFW):投資界が新規上場企業を理解するには長い時間がかかると思います。結局のところ、IPOは1日だけなんですよね。本当に重要なのは、その企業が今後10年、20年の間にどのように業績を上げていくかです。

私はMicrosoft(マイクロソフト)やAmazon(アマゾン)、もっと最近ではフェイスブックに注目しています。フェイスブックの株価は株式提供後の1、2週間で50%下落しましたが、素晴らしいビジネスを続けています。明日、明後日、市場がどうなるかはまったくわかりません。しかし10年にわたって拡大していく持続可能な優れたビジネスを構築できれば、最終的にうまくいきます。

Wishはビジネスを拡大し、業績を向上させています。共同創業者兼CEOのPeter Szulczewski(ピーター・シュルチェフスキー)氏は、私がこの業界で出会った中で最高の経営者の1人だと思います。そしてWishはモバイルに関して多くのイノベーションを成し遂げてきました。Wishのプラットフォームには多くの発見があります。店舗でのピックアップの仕組みは非常に革新的でした。Wishは、何百万平方フィートもの倉庫を購入する必要がないアセットライトな方法を採用し、消費者が商品を迅速に入手できるように支援しています。

TC:米国とヨーロッパにある小規模店との間でWishが開始したパートナーシップについてお話ししていましたね。このパートナーシップでは、収納スペースに余裕のある店がWishの商品の引き渡し場所となり、購入者が商品を受け取りに来たときに、その店の客足が少し増えるということですね。これは、Wishのかつての運営方法からの大きな転換です。以前のWishはUSPS経由で中国から非常に安く商品を出荷していましたが、中国の経済状況は今は変わってきています。そうですよね。

JFW:その通りです。Wishは中小企業の客足が伸びるように支援しています。客足は常に大切でしたが、現在の環境ではこうした種類の企業にとってさらに重要になるでしょう。またWishはその地域の消費者が何を求めているかを把握しているため、企業がWishのプラットフォーム全体に蓄積されたデータを活用し、より高い販売収益を上げられるように支援しています。また1か所に商品を出荷するため、非常に多くの人々からの注文を集約できます。これにより物流や出荷にかかる時間、コストが削減されます。消費者は、徒歩または車で5分から15分かけて店舗に出向き、Wishから届いた商品を簡単にピックアップすることができます。こうした仕組みによりWishは、時間は少々かかっても構わないので、商品をより良い価格で手に入れたいという価値観を持った消費者をターゲットにしています。

TC:Wishは中国から安価な商品を手に入れられる場所として知られています。Wishは、主力商品をより多く展開しようとしている今、市場での認識をどう変えていこうとしていますか。

JFW:Wishはまだ市場全体に浸透していないと思います。ですから、その認識を変えるために、多くの取り組みが求められるかどうかはわかりません。率直に言って、Wishのことを知らない人たちはまだたくさんいます。そして市場の進化を見ていると、小売業者がますます増え、小売業者と商品の両者の品質について顧客から返されるデータも増加していることがわかります。そうしたデータはすべて、Wishの非常に優れたシステムで処理されるため、小売業者はそのデータを活用して商品の品揃えを改善し、顧客が求めるものを販売できるようになります。

TC:会社の収益が一定しないのは、サービスの品質にバラツキがあるからだと思いますか。Wishは2018年におよそ57%の成長を遂げ、2019年には10%と成長が落ち込みましたが、今年の最初の9カ月で再び成長が上向きました。このような成長の変動があったのはどうしてだと思いますか。

JFW:あらゆる企業は、こうした成長サイクルを経て、効率性に重点を置くようになります。成長だけを重視すると、成長を遂げた後に、それまでの取り組みを台無しにし、効率が低下してしまうという傾向があります。しかし、目を向ける必要があるのは、経営効率を上げる仕組みです。ですから基礎となる指標に注目すれば、2018年から今年にかけての、Wishの成長サイクルにおいても経営効率が改善していることが確認できると思います。

TC:Wishの株式は「急騰」しませんでした。一方、Snap(スナップ)の元幹部であるImran Khan(イムラン・カーン)氏がCNBCに語ったことによると、エアビーアンドビーやDoordash(ドアダッシュ)などが行った最近のIPO後の株価急騰は、株式を引き受けた銀行家の「言語道断な無能力さ」によるものです。これらの株が急騰したのは、銀行家の無能力さが原因だと思いますか、それとも単に市場の不安定性によるものだと思いますか。

JFW:この質問の答えを実際に知っている人はいないでしょう。このケースが示しているのは、結局のところ、初日の株価から有意義な情報は得られないということです。

TC:これらの企業への絶大な支持が流通市場の株価を押し上げているのでしょうか。どのように思いますか。

公開株価は確かに重要です。公開株価は最終的には非公開市場に影響しますし、その逆もまた然りです。非公開市場での評価と公開市場での評価が同時に大きく異なることはありません。ですから、市場が動けば、必ず投資尺度も変わります。ただ、こういったことは平均値で語られる場合がほとんどです。人々は1社または1つの尺度だけに注目しますが、必ずしもすべての企業について調べたうえでそうしているわけではありません。すべての企業に注目することは非常に難しいですからね。

しかし株価が法外な例は必ず存在します。同時に割安な例もあります。確かに投資家としては、より低価格の優良企業により多くの資金を投資したいでしょう。しかし焦点を当てるべきなのは常に優良企業です。長期的に事業を拡大しようとしている企業を見つけることができれば、投資尺度や評価額を気にし過ぎない限り、その企業は投資にうってつけの企業になるでしょう。

TC:現在どの企業を調査していますか。まだWebサイトに掲載されていない投資は何ですか。

JFW:Snapdocs(スナップドックス)です。同社は不動産業者が住宅ローンの処理やその他の文書業務をデジタル管理するのを支援する会社で、2020年10月に6000万ドル(約63億円)の資金調達をクローズしました。

同社の創設者兼CEOであるAaron King(アーロン・キング)氏は、人々が本当に求めている製品を開発し、本当に素晴らしい仕事をしてきました。そして今が、同社の成長を大きく加速させる絶好のタイミングです。スナップドックスは2020年、優れた業績を上げました。

関連記事:初期投資家がDoorDashを高評価、10倍の成長が見込めると期待

画像クレジット:137 Ventures


【原文】

It’s probably no wonder that when Founders Fund was still a very young venture firm, it brought aboard as its first principal Justin Fishner-Wolfson. Having nabbed two degrees from Stanford and spent two years as CEO of an organization that provides asset management services to the school’s student organizations, Fishner-Wolfson wasn’t shy about voicing his opinions at the venture fund. In fact, he says Founders Fund made a much bigger bet on SpaceX than it originally planned because he pushed for it.

He stayed three years before spying what he thought was an even better opportunity, owing to friends who worked at Facebook before the company’s 2012 IPO. They were beginning to look for ways to liquidate their shares, and while they had options, to his mind, they weren’t great. More, Fishner-Wolfson says he foresaw more companies like Facebook staying private longer. He said goodbye to Founders Fund and formed 137 Ventures to acquire secondary shares from founders, investors and employees.

That was 10 years ago, and the firm seems to be doing just fine for itself. Last year, it closed its fourth fund, with $250 million in capital commitments, bringing its assets under management to more than $1 billion. Its approach of focusing on roughly 10 to 12 companies per fund appears to be paying off, too. Since late September, it has seen three of its portfolio companies — Palantir, Airbnb and Wish — hit the public market.

We talked at length with Fishner-Wolfson this week to learn more about how 137 Ventures works, from how it screens companies, to the impact it has seen from companies that are giving their employees longer windows in which to keep their vested stock options. (“It has certainly stopped the desperate calls from people who have huge amounts of equity that’s about to expire, which, I’m totally happy to not get those phone calls, because I feel terrible for people who are in that sort of situation,” he said.)

We also talked about that early deal in SpaceX, which also appears in 137 Ventures’s portfolio.

You can listen to that longer conversation here. In the meantime, we’re pulling out part of our conversation that centered on Wish, the discount e-commerce company whose IPO this week has been called a dud.

TC: Two of your portfolio companies have done very well as they’ve entered the public market — Palantir and Airbnb. Wish was a different story, dropping in its debut. What do you make of its IPO? Do you think investors misunderstand this company?

JFW: I think it takes the investment community a long time to understand any newly public company. At the end of the day, the IPO is just one day, right? What really matters is how companies perform over the next 10 or 20 years.

I would look at Microsoft or Amazon or more recently, Facebook, whose [share price] dropped 50% in the week or two following its offering and Facebook has gone on to be an incredible business. I have no idea what the market is going to do tomorrow [or] the day after. But over a decade, if you can really build a great sustainable business that compounds, it all comes out in the wash.

Wish has done an incredible job of scaling the business. I think [co-founder and CEO] Peter [Szulczewski] is one of the best operators I’ve met in this industry. And they’ve done a lot of innovative things in terms of mobile. There’s a lot more discovery on the Wish platform. The whole in-store pickup has been really innovative; they’re helping consumers get products quickly in an asset-light kind of way where you don’t need to buy millions and millions of square feet of warehouses.

TC: You’re talking about these partnerships that Wish starting striking with mom-and-pop shops in the U.S. and Europe, where those who have extra storage space will now take receipt of Wish goods, which in turn gives them a little bit more foot traffic when people come in to pick up their items. That’s a big shift from how Wish used to operate, which was by shipping things very cheaply from China through a USPS deal whose economics have since changed. Is that right?

JFW: Right. They’re helping small and medium-size businesses drive foot traffic, which was always valuable but in the current environment, going to become even more important to these sorts of businesses. They’re [also] helping those businesses leverage the data they have across their entire platform because Wish understands what consumers in that geography are looking for, and they can help those businesses merchandise better. And then, because they’re shipping product to one location, they’re aggregating orders from a whole bunch of people who don’t know each other, and that reduces logistics and shipping time and costs. So they send that stuff in, and it’s easier for the consumer to walk or drive five to 15 minutes, and go pick it up. That allows Wish to focus on the value-conscious consumer who is willing to trade a little bit of time for a much better price on things.

TC: Wish is known as a place to get tchotchkes from China. Now that it’s trying to sell more mainstream goods, how does it go about changing the perception that it has in the marketplace?

JFW: I’m not sure they need to do a whole lot to change that perception, because I still think they haven’t penetrated the market as a whole. There are lots of people who don’t even know about them quite frankly. And as [I’ve] watched the marketplace evolve, you’ve just seen more and more merchants, and more and more data back from customers about both the merchants and the quality of the merchandise, and all those things feed back into this very powerful system, where they can leverage the data to improve product quality and make sure that they’re selling what people want.

TC: Do you think uneven quality explains the company’s uneven revenue? It grew something like 57% in 2018, then 10% in 2019, and picked up again in the first nine months of this year. Why do you think it’s been topsy-turvy?

JFW: All businesses go through these cycles of growth, and then focusing on efficiency. If you just focus on growth, you tend to grow, and then break things, and then do things in relatively inefficient ways. And then ultimately, you need to turn around and focus on how you drive operational efficiencies. So I think the cycles that you’re describing, if you look at the underlying metrics, you [see] improvement in operating efficiency.

TC: Wish’s shares did not “pop.” On the other hand, former Snap executive Imran Khan told CNBC on Tuesday that the recent post-IPO stock pops, including those of Airbnb and DoorDash, represent an “epic level of incompetency” from the bankers who underwrote the stocks. Do you believe it was incompetency on the part of the bankers or just market volatility that caused those stocks to pop as high as they did?

JFW: I think no one actually knows the answer to that question. I think it makes for a good sound bite. At the end of the day, I don’t think the price on the first day is a meaningful indicator of anything.

TC: Are the feverish embrace of these companies driving prices up in the secondary market? What are you seeing?

It really does matter what the public prices are [because] that ultimately trickles into the private markets and also vice versa. At some point, things can’t have massive differences in value between their private market valuations and their public market valuations. So you definitely see multiples shift as the market shifts. But these things are often averages. People focus on one company or one example of these things without necessarily looking at all the companies because that would be quite difficult.

But there are always examples of things that are overpriced. There are also examples of things that are under priced. As an investor, you want to try to invest more of your money in the good companies that are on the lower end of that spectrum, certainly. But the focus is always on good companies. If you can find companies that are going to compound over long periods of time, as long as you’re not too crazy on multiples or valuations, you end up being in a good spot.

TC: Who are you tracking right now? What’s an investment that’s not up on your website yet?

JFW: Snapdocs [a company that helps real estate professionals to digitally manage the mortgage process and other paperwork and which just closed on $60 million in funding in October].

Aaron [King], who is the founder and CEO of the company, has done really a fantastic job of building a product that that people are willing to adopt, and this is the right moment in time for that growth to really accelerate. They’ve been having a good year.

Pictured above: The 137 Ventures’ team, with Wolfson center (in glasses).

(翻訳:Dragonfly)

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