フリーランスの労災保険がITエンジニアだけでなく、ライターや漫画家など全業種に拡大へ
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国が管掌し、仕事や通勤において被るケガなどの治療費や休業給付などを行う労災保険の対象を、全フリーランスに拡大する方向であることが厚生労働省の審議会で示されたと報道されています。
- 労災保険、全フリーランスが加入可能に 対象270万人へ – 日本経済新聞
- フリーランスの労災の特別加入、対象を大幅拡大へ 審議会で方向性:朝日新聞デジタル
- フリー全業種、労災対象へ 保険加入270万人に拡大|WEB労政時報
労災保険にはITエンジニアなどが加入可能に
労災保険とは、通勤や仕事において被るケガや病気、障害、死亡に対して、治療費などの療養費、休業する際の休業期間の給付、治療後に障害が残った場合の給付、死亡した場合の遺族への給付などを行うもので、国が管掌しています。
病気やケガの際の医療費を一部負担する社会保険(健康保険)や国民健康保険などの国民皆保険制度とは別の制度です。
労災保険は、労働者を一人でも雇用する会社には労働者災害補償保険法によって加入が義務付けられており、保険料の全額を会社が負担することになっています。つまり、会社員やアルバイト、パートなど会社に雇用されている立場である労働者は、自動的に労災保険の対象となります。
一方で企業とは雇用関係にない個人事業主や事業主、社長や役員などは労災保険の対象ではありません。
ただし労災保険の「特別加入制度」として、業務の実態や災害の発生状況からみて労働者に準じて保護することがふさわしいと見なされる人たち、例えば一人で土木や建築などの業務に携わっているいわゆる一人親方、個人タクシーや個人配送業者、農業者のうち一定の条件を満たす特定農作業従事者や指定農作業者の加入が認められていました。
特別加入制度では、労災保険の保険料は本人が支払います。
ITフリーランスも2021年から労災保険に加入可能
さらに2021年からは「ITフリーランス」として、フリーランスとして働くプログラマやシステムエンジニア、ITコンサルタント、データサイエンティスト、Webデザイナー、Webディレクターなど、ほぼすべてのIT関係者も特別加入制度の対象になり、労災保険に加入できるようになっていました。
参考:ITフリーランスを対象とした国の労災保険「特別加入制度」が今日からスタート。フリーランスでも通勤や仕事によるケガ、病気、障害、死亡など補償
ライターや漫画家などあらゆる業種で労災保険に加入可能に
今回の報道は、この労災保険に業種を問わずすべてのフリーランスが加入できるようにする方向で議論が進められている、というものです。つまり(私のような)ライターやジャーナリスト、翻訳者をはじめ、作家や漫画家、音楽家なども、希望すれば労災保険に入れるということになります。
ただし現在の労災保険への特別加入は個人が直接申し込むのではなく、フリーランスのITエンジニアを構成員とする団体を組織し、その団体が特別加入団体として申請を行い、認められた後に、その団体員が団体を通して加入手続きを行うことになります。
この仕組みが変わらないとすれば、ライターやジャーナリスト、翻訳者など新たに加入できるようになる業種のフリーランスが労災保険に加入する場合、その業種のフリーランスなどで構成される団体を通して手続きを行う必要があることになります。今後はそうした団体が業種ごとにあるか、なければ有志などによって団体を作るか、といった議論や動きも求められるようになりそうです。