日本企業の基幹システムのクラウド化は進んでいるのか–日本オラクル社長に聞いてみた
今回は「日本企業の基幹システムのクラウド化は進んでいるのか–日本オラクル社長に聞いてみた」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
日本オラクルは先頃、年次イベント「Oracle Technology Day/Oracle Applications Day」およびその基調講演の内容についてメディアとアナリスト向けの会見を都内で開いた。三澤氏の冒頭の発言はその会見で、同社の顧客におけるクラウド利用の状況について聞いた筆者の質問に答えたものである。
三澤氏は基調講演の中でAIとクラウドについて、「AIはビジネスや社会の課題を解決するための一つの手段だ。クラウドはそのAIをデータとともにさまざまな形で利用できるようにするためのもの。『Oracle Cloud』はインフラとアプリケーションを併せ持ったフルスタックのクラウドサービスだ。これにより、より安く、より速く、より安全な仕組みを提供し、ビジネスや社会の課題解決に貢献していきたい」と強調した。
基調講演の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは三澤氏の冒頭の発言に注目したい。
筆者は会見で、「日本オラクルの全ユーザーにおけるオンプレミスからクラウドへの移行の比率は今、どれくらいか。その比率が5割を超えるのはいつ頃になると見ているか」と尋ねた。こう質問したのは、同社の「Oracle Database」の利用状況から見て、そのクラウド比率が日本の大手企業の基幹システムにおけるクラウド移行の実態を示していると見て取れるからだ。この質問に対し、三澤氏は次のように答えた。
「まず、クラウドと言ってもシステムの置き場所ではなく、テクノロジーそのものに注目すべきだ。つまりは、クラウドというのはOracle Cloudのようなパブリッククラウドだけでなく、インフラサービスをお客さまのデータセンターに導入できる『Oracle Dedicated Region Cloud@Customer』や、データベースまわりだけにクラウドテクノロジーを実装する『Exadata Cloud@Customer』などもある。これらを合わせた形で考えれば、当社のお客さまの過半数が今後2、3年以内にクラウドへ移行することになるだろう」
冒頭の発言は、このコメントの最後の部分を取り上げたものである。ちなみに、今のクラウド比率についての回答はなかった。
実は、この質疑応答のやりとりには伏線がある。
さかのぼって、今年4月の事業戦略会見の質疑応答で、筆者は三澤氏に「日本企業の基幹システムのクラウド化率は今、どれくらいだと見ているか」と聞いた。すると、同氏は「現時点では5%から10%といったところだ」と答えた上で、「これまでにない大規模な基幹システムのクラウド移行の事例も出てきたので、これから市場が本格的に動き出すのではないか」との見方を示した。
つまりは、今のクラウド比率は上記の水準からそう変わっていないということだろう。
さらに、同社が2021年11月に開いたクラウド事業に関する記者会見で、「日本企業の基幹システムのクラウド比率が、5割を超える時期が来るとしたらいつ頃になると見ているか」と聞いた筆者の質問に、三澤氏は「5年以内に超える。多くの企業が次のシステム更新時期にクラウド化を検討するようになる」と答えた。
今回は「2、3年以内に」と述べているので短くなったようにも見えるが、「5年以内」の発言から2年経っているので、同氏の見方は一貫しているとも受け取れる。
重ねて言うが、同社の状況は日本の大手企業の基幹システムの動きを映し出す鏡とも言えるので、三澤氏には今後も引き続き「現状と見通し」を語ってもらいたい。