マイクロソフトとオラクルの蜜月関係は進展するか
今回は「マイクロソフトとオラクルの蜜月関係は進展するか」についてご紹介します。
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MicrosoftとOracleがAI分野で新たに複数年の契約を結び、協業を拡大した。このところの両社の蜜月ぶりは目を見張るものがある。この先、どう進展するか。IT市場における勢力争いの観点からも注目される。
Oracleは米国時間11月7日、MicrosoftとAI分野で複数年の契約を結んだことを発表した。Microsoftの検索エンジン「Bing」の対話型検索向けに最適化されたAIモデルで推論を行うために、Oracleがクラウド基盤サービス「Oracle Cloud Infrastructure」(以下、OCI)のAIインフラストラクチャーを複数年にわたって提供するというのが、主な契約内容だ。
Bingの対話型検索では、Bingの推論モデルが検索結果を評価し、分析するために、強力なコンピューティングインフラが必要なことから、Bingの動作基盤であるクラウドサービス「Microsoft Azure」(以下、Azure)とOCIによるマルチクラウド環境を利用して、OracleがMicrosoftに必要なインフラリソースを提供する形だ(表1)。
今回の両社の協業拡大について、Oracle OCI担当シニアバイスプレジデントのKaran Batta(カラン・バッタ)氏は、「Oracleは、Microsoftをはじめとする何千もの企業がOCIのAI機能を使って新しい製品を生み出し、活用できるようにサポートしている。この度、Microsoftとの協力関係がさらに強化されたことで、世界中のより多くの人に新しいエクスペリエンスを提供できるようになる」と述べた。
また、Microsoft サーチ&AIマーケティング担当グローバル責任者のDivya Kumar(ディヴィヤ・クマール)氏は、「Bingは最新のAIテクノロジーを活用し、格段に優れた検索エクスペリエンスを世界中に提供している。今回、Oracleと協業拡大し、OCIをAzureのAIインフラとともに使用することで、より多くのお客さまへのアクセスが可能になり、多くの検索結果のスピードを向上させることができる」とコメントした。
Microsoftはなぜ、OCIのAIインフラを複数年にわたって使用する契約に及んだのか。それは、OCIのAIインフラに実装されているGPUのパフォーマンスが必要だからだ。複数年契約の背景には、生成AIブームの中でGPUが非常に不足していることが影響している。GPUを実装したインフラは現在、大変な売り手市場で、激しい争奪戦が繰り広げられている。Microsoftは既に自社で相当のGPUリソースを保持しているが、生成AI関連サービスで先行した同社にとっては、さらなる補強が先行の勢いを止めない大きなカギとなる。そこで今回、複数年契約でGPUリソースを確保したわけだ。
この動きは、クラウドサービスのコンピューティングリソースについては基本的にAzureから提供しているMicrosoftにとって、生成AI関連サービスの急拡大があるとはいえ、珍しいことである。違う観点で言えば、それだけOracleとの蜜月ぶりが見て取れよう。
そこで、筆者の頭に浮かんだのは、この9月に行われた両社トップの会談である。