部門間の「溝」を乗り越える共通の認識と言語の力
今回は「部門間の「溝」を乗り越える共通の認識と言語の力」についてご紹介します。
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本連載は、「CIOの『人起点』マニフェスト」をテーマに、Ridgelinezの最新の知見をお届けする。第3回の今回は、「部門間の『溝』を乗り越える共通の課題認識と言語の力」と題して、組織全体で取り組むビジネス変革の鍵を握る情報システム部門と事業部門(LOB)の協業体制について考えてみたい。
企業がITによって解決を目指す経営課題は大きく変化している。これまでは、省力化やコスト削減を目的とした業務プロセスの効率化が上位を占める状況が長年にわたって続いてきた。
ところが、日本情報システム・ユーザー協会の「企業IT動向調査報告書2023」によると、最上位は「業務プロセスの効率化」で変わらないものの、2位、3位にそれぞれ「次世代新規ビジネスの創出」「ビジネスモデルの変革」がランキングされている。この2つは、最終的な目標がほぼ同じと考えられ、企業のIT活用のテーマが、変革による新たなビジネス領域への進出に大きくシフトしているのは明らかだ。
実際にRidgelinezのクライアントからも、「情報システム部門はどのようにしてビジネス価値の創出へ貢献していくべきか」「情報システム部門をプロフィットセンター(収益部門)化するにはどうすればよいか」といった相談が多く寄せられている。こうした状況から筆者は、企業がITに期待する役割が業種や規模を超えて大きな転換点を迎えていると強く感じている。
ITで解決を目指す経営課題が変化しつつあるこの状況で、大きな役割を期待されるのは、最高情報責任者(CIO)が率いる情報システム部門だ。しかし、そこには日本企業ならではの組織課題も存在する。
多くの日本企業では、これまでもビジネス変革を目的としたさまざまなプロジェクトが進められてきたが、ほとんどのケースでその主導権を握っているのはLOB側だった。情報システム部門は、LOBから依頼を受け、彼らが望む通りのシステムを開発する、いわば「請負スタイル」が常態化してきた。
今後、IT投資を真のビジネス変革につなげていくためには、この硬直化した関係性を抜本的に見直していく必要がある。情報システム部門はこれまでの受け身の姿勢から脱却し、LOBと対等な立場のビジネスパートナーとして生まれ変わらなければならない。
言い換えれば、情報システム部門には、持ち前のテクノロジーの知見を生かして、ビジネスの企画段階からLOBとの対話を通じて最適な答えを導き出し、より実効性のある計画へと昇華させていく「協調スタイル」への転換が求められているということだ。こうした協調スタイルの確立によって、中長期的な視点に立ったビジネスの競争力強化とコストの最適化に貢献できるようになる。