システム開発の内製化における、マーケットインの視点による人材モデル
今回は「システム開発の内製化における、マーケットインの視点による人材モデル」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、CIOの「人起点」DXマニフェスト等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
本連載は、「CIOの『人起点』マニフェスト」をテーマに、Ridgelinezの最新の知見をお届けしている。第4回のテーマは、「システム開発の内製化を実現するマーケットインの視点による人材モデル」だ。変化の激しい市場環境に適応し、ビジネスの持続的な成長を実現するためには、ITシステムも変化のスピードに追随していかなければならない。そのため、日本においてはシステム開発の内製化に取り組む企業が増えているが、先行する米国企業と比べると、大きく遅れているのが現状だ。そこで、今回はDX時代のビジネスを支える開発の内製化のための人材育成と、新たな人材に求められる、マーケットインの視点による開発のアプローチについて考えてみたい。
そもそも、なぜシステム開発の内製化が必要なのか。かつてないスピードで変化する市場や顧客のニーズ、そして、次々と登場する新たなテクノロジー。こうした変化にいち早く対応する上で、これまでの外部ベンダーに依存したシステム開発体制に限界を感じている企業は多いはずだ。
変化の激しい市場でアジリティー(俊敏性)を発揮し、競争優位性を高めていくためには、ビジネス要件に最適化されたITシステムやサービスを迅速に開発し、事業部門(LOB)と連携しながら顧客に提供していかなければならない。つまり、これからのビジネスにおいては、自社のビジネスに精通した内部人材の主導によるITシステムの企画・開発・運用が求められるということだ。
事実、DXの先進国である米国では、競争領域を中心としてシステム開発の内製化がかなり進んでいる。情報処理推進機構(IPA)が発表した「DX白書2023」によれば、米国企業における競争領域のシステム開発の内製化率は53.1%に達しており、また非競争領域では内製化だけでない他の選択肢も取りながら開発を行っている。
これに対して、日本企業の現状はどうだろうか。競争領域での内製化率は24.8%と米国企業に大きく後れをとっており、内製化がほとんど進んでいない状況だ。このことは、DXの推進はもちろん、コア事業を中心とした競争力強化や新規事業創出などの足かせとなるだけに、早急に解決しなければならない課題であることは明らかだ。
もちろん、日本企業もこうした状況を静観しているわけではない。近年は国内でも開発の内製化のための人材育成に向けた意識が急速に高まりつつある。IDC Japanが実施した調査「2022年 国内CIO調査 ITサービス/アウトソーシング利用実態」の結果によると、従業員数1000人以上の大企業の38.5%が「社内にITエンジニアがいて、今後も増やす予定」と回答している。