プロセスマイニングで業務を最適化するエイト日本技術開発、KDDI、富士通の事例
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プロセスマイニングベンダーのCelonisは、大阪で開催したユーザーイベント「Celonis Day Osaka」の基調講演において、プロセスマイニングに関するユーザー事例を発表した。本稿ではエイト日本技術開発、KDDI、富士通の取り組みをレポートする。
エイト日本技術開発は、創業68年目を迎える総合建設コンサルティング企業で、2021年度の売上高は259億円、従業員は約1000人で、約7割が土木に関する技術職だという。社会インフラに関する計画、調査、設計、管理の側面からプロデュースやアドバイスを行い、事業執行のマネジメントを事業者に代わって担当する役割を担っている。
講演では、総合企画本部 DX推進室長の藤田亮一氏が、「業務システムの刷新とCelonis=エイト日本技術開発のデジタル変革への取り組み」と題して取り組みを紹介。同氏は、「業界全体で労働力不足の問題が深刻であり、デジタル化が遅れている。当社では、2024年度までの中期経営計画を未来への基盤整備に位置付けDXを推進している。手作業が多かった作業偏重からデジタル化と可視化により、『思考と試行主体』の働き方へのシフトを目指している」と切り出した。
同社は、専門家の意見を得ながら、ビジネスプロセスの実現技術に遭わせたシステム領域全体をカバーするシステムアーキテクチャー設計と、DX実現のための戦略的ロードマップを策定。2022年8月から新たなシステムの構築と、DXへの取り組みを本格化させているという。
「社会インフラの一つである橋を見ると、どれも同じように見えるが、地盤が異なるため、同じものは一つもない。全て一品ものであり、それぞれの技術者が一つ一つの建設物にこだわり作っている集団。しかしDXでは、工程とプロセスの標準化と最適化を目指している。『親方の背中を見て学べ』と言うのでは若い人たちは続かない。技術者の頭の中にあるノウハウを出し、それを見て吸収できる仕組みが必要だと考えた」(藤田氏)
そうした取り組みの中で同社は、Celonisを初期段階から導入。業務プロセスの可視化と改善におけるツールとして活用している。現時点では、ServiceNowによって実装した業務プロセスをCelonisでモニタリングし、改善する取り組みが中心だ。
藤田氏は、「システム全体が動き出した時に継続的に改善するメカニズムを手に入れる必要がある。そのためには、CoE(Center of Excellence)を核とした仕組みが大切だ。ビジネスプロセス単位で現場の課題を発見したり、問題提起をしたりできる人がいないと改善が進まない」と述べる。
また、データに明るい人材が必要だと指摘する。「挙ってきた課題に対し、仮説を立てて検証し、実装していく。この取り組みの成果が上がっているかを検証するところにCelonisを活用している。高い視座からのプロセス改善とともに、現場からしっかりと課題を提起して、全社最適化をしていくことになる」と話す。
新たなシステムの構築、運用を進める中で、最初に成果を出したのが、Celonisだったという。導入から約2カ月でプロセスを分析し、無駄を抽出することができたと藤田氏は振り返る。
「あるプロセスを分析すると、一本道で簡単に進むはずだったものが、複雑なプロセスになっていることに驚いた。差し戻しが発生したり、想定外のプロセスが発生したりしていた。差し戻しが発生している理由を探ると、必要な書類が添付されていないことが多かった。また、ルールが変更した際に差し戻しが多く、周知が徹底されていないことが原因になっていることも分かった。データによってプロセスを見やすくすることで、気づきが生まれ、それを解決するためのアイデアも出てきた」
また、Celonisのメリットについて「見やすいツールであり、多くのデータを活用しやすくなる。プロセスの改善効果を数値化できる点もメリットである」と言及している。
「Celonisを活用して、作業をできるだけ細かく分割し、標準タクトタイムの確立と検証を行っている。ここでは、職人技の中にも会社としての物差しを当てはめ、標準工程を確立していくことを目指しており将来予測が立てやすくなることを見込んでいる。また、標準工程を活用している人をプロモートしたり、できていない人を教育したりすることができる」と藤田氏は述べた。
Celonisにより、業務プロセスを可視化する取り組みが、職人集団の環境においても、工程とプロセスの標準化および最適化を実現する手立ての一つになっているというわけだ。