日本自動車工業会 会長が語った「自動車産業のDX」とは
今回は「日本自動車工業会 会長が語った「自動車産業のDX」とは」についてご紹介します。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本自動車工業会 会長の片山正則氏と、NTTコミュニケーションズ 執行役員 プラットフォームサービス本部 5G&IoTサービス部長の藤間良樹氏の「明言」を紹介する。
自動車業界の5団体(日本自動車工業会、日本自動車部品工業会、日本自動車車体工業会、日本自動車機械器具工業会、日本自動車販売協会連合会)が先頃開いた賀詞交歓会で、日本自動車工業会(以下、自工会)の新会長に1月1日付で就任した片山正則氏(いすゞ自動車会長)が所信を表明した。冒頭の発言はその中から取り上げたものである。
片山氏は所信表明の中で、「クルマがモビリティーに進化することで新たな価値を創造する」とも表現した。これはまさしく「自動車産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)」にほかならない。そう捉えて、ここでは同氏の「明言」について考察したい。
同氏はまず、新会長として、「自動車業界として100年に1度の大変革の真っただ中で会長職を担うことについて、改めて、その重責に身の引き締まる思いだ。これから自工会の新体制がスタートするわけだが、豊田章男前会長(トヨタ自動車会長)に築き上げていただいた課題解決に対し、チームで取り組む形を進化させ、副会長や理事の皆さまと一致協力しながら、全力でこの難局を乗り越えていく決意だ」との姿勢を示した。
「自動車業界として100年に1度の大変革」をもたらしつつあるのは、自動車の次世代技術「CASE」(Connected、Autonomous、Shared&Service、Electric)が具現化してきたからだ。
その上で、同氏はこう続けた。
「私たちが直面している課題は多岐にわたるが、今後も自動車およびモビリティー産業が基幹産業として日本経済に貢献するために、向こう2年程度をスコープに取るべき具体的なアクションを洗い出し、7つの課題として取りまとめた。この中で物流の停滞が懸念される2024年問題への対応は、喫緊の社会課題だ。自動車産業の枠を超えて、他産業との連携を図り、自動運転技術の積極的採用や運行システムのさらなる効率化など、各種取り組みを推進していく」
「モビリティー産業」という言葉が出てきたが、自工会では自動車がモビリティー産業に広がることで、この産業に関わる人たちが将来的には1000万人に拡大する可能性を示唆している(図1)。
また、冒頭の発言は上記のコメントから抜粋したもので、「7つの課題」は図2に示した通りだ。
図2を見ると、DXにおける直接的な課題は7番目の「業界をまたいだデータ連携や部品トレサビの基盤構築」だが、他の課題も解決に向けてはデジタル技術が必要になるものが多いといえよう。
そして片山氏は、「今後、私たちは自動車以外のさまざまな産業の皆さまとも手を携えて、官民のオールジャパンでさまざまな課題を解決し、持続可能なモビリティーの未来を築いていきたい」と締めくくった。
改めて、「クルマからモビリティーへの移行」によるDXのうねりをひしひしと感じた自工会新会長の所信表明だった。