Zoomが考えるAI機能の活用–ZVC JAPAN、「働き方改革サミット」開催
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ZVC JAPANは1月24日、オンラインイベント「働き方改革サミット」を開催した。基調講演では、同社製品におけるAIの活用などが語られた。
イベントの冒頭、代表取締役会長 兼 社長を務める下垣典弘氏が登壇し、2023年は新しい働き方を提供すべく「Zoom」のサービスを拡張したとし、「Zoom Phone」での固定電話番号ポータビリティーサービスの開始、生成AIアシスタント「Zoom AI Companion」の発表、「Zoom Contact Center」「Zoom Virtual Agent」の提供を挙げた。また、地方自治体の取り組みも加速しており、地方自治体におけるデジタル技術の活用と住民サービスの向上を支援するため、複数の地方自治体と地域連携協定を結んだという。「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)」登録も12月に完了している。
2024年は、さらに一歩進んで、生成AIを活用したコミュニケーションの変革を目指すという。「誰でも簡単に利用できるユーザーインターフェースでビデオ会議、クラウド電話、メール、チームチャットを1つのプラットフォームで実現でき、従業員体験と顧客体験の向上につながるイノベーションを推進する」(下垣氏)
続く基調講演では米Zoomで最高技術責任者(CTO) 兼 AIエキスパートを務めるXuedong Huang氏が登壇。生成AIの利用者数が急速に伸びていることを指摘し、1億人のユーザーを獲得するのに携帯電話は16年、インターネットが7年要したが、「ChatGPT」はたった3カ月だと語る。このような生成AIについて、「これから起こることのビジョンを本日は共有していきたい」(同氏)。
Accentureの調査によると、消費者の64%が、変化するニーズに対応するため、企業がより迅速に対応してくれることを望んでいるが、経営幹部の88%は、顧客が企業よりも早く変化していると考えているという。一方、平均的な1日の仕事において、半分以上は繰り返しの多い平凡な仕事に費やされているという結果も出ている。従業員は、顧客のニーズについていけず、ビジネス上の課題も達成できていないとHuang氏はいい、より少ない労力でより多くのことをこなすということで生成AIの出番となると述べる。
しかし、現在、AIについては興奮と不安が入り交じっているという状況で、どうすれば生成AIをよりアクセス可能で責任ある質の高いものにできるかについて、ビジネスリーダーや知人との会話で質問されることが多いとHuang氏。この疑問に答えるため、同氏は、The Atlanticの最高経営責任者(CEO)であるNicholas Thompson氏を招き入れ、対談形式で講演を進めた。
まず、Thompson氏は、AI Companionが搭載するテクノロジーとその利用について質問した。Zoomでは生成AIを採用し、非常にユニークなアプローチを生み出したとHuang氏は答え、アクセスしやすく、責任感のあるAIを提供するという点で、われわれは品質が最高であることを確かにする必要があると続けた。
最高の品質を持つことは素晴らしいことだが、コストも重要だという。そのため、コスト効率の高いアプローチをバランスよく取って利用可能な最高のAIを連携させており、推論コストの10%未満で最先端のAI品質を提供することができているとHuang氏はアピールする。
最先端の大規模言語モデル(LLM)である「GPT4」の推論コストの6%を使っていると同氏はいい、AI Companionをサポートするワークロードで同等の品質を達成したと語る。これは、簡単な作業にはシンプルなモデルを、難しい作業にはより高度なモデルを使うことで達成されているという。
AI Companionは、本質的にAI機能を民主化したとHuang氏は語る。例えば、会議に出席する際、自分のためにメモを取る人を同席させる代わりにZoom AI Companionを使えば、メモを取ってくれる。大事なことを聞き逃しても確認することができる。このようなインタラクションがZoom AI Companionと可能になることで、議事録を残すことに気を取られず、会議に集中できるという。
ツールに頼りすぎてしまうことはないのかという質問には、AIが100%正確でないため、常にコンパニオンとして使うようにしているとHuang氏はコメントする。AI Companionの回答が完璧でないことを理解しているため自身で編集をするものの、80〜90%の作業はAI Companionがやってくれると同氏は考える。
AIが世界をより平等にする方法の1つと思うかを質問された同氏は、AI Companionが33の言語に対応していることを挙げ、英語を母国語とする人たちのコミュニケーションギャップを埋める非常に重要な役割を果たしているとアピールした。同氏は、学生時代にスコットランドに行った時のことを語り、スコットランド人教授の話を理解できなかったが、英国放送協会(BBC)が番組に字幕を付けていてくれたおかげでスコットランド英語に順応できたと振り返った。
プライバシーに関する懸念についての問いには、ZoomではAIのプライバシーと安全性を最優先事項としていると同氏は述べ、会議の内容はAIの訓練に一切使われず、デバッグのために記録をサーバーに残しているが短期間で完全に削除され、誰もデータにアクセスすることはできないと強調した。
今後について聞かれたHuang氏は、長い道のりになると前置きしつつも、AI機能が議事録を単に教えてくれるだけでなく、より良い決断を下し、良い人間になれるようアドバイスをしてくれる真の仲間と言える存在になるとの考えを示した。また、会議中に適切な言葉の使用などをアドバイスしてくれるコーチング機能を提供したいとも同氏は語った。