AIの普及によって生み出される新たな仕事とは
今回は「AIの普及によって生み出される新たな仕事とは」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
最近の求人広告には、「人工知能(AI)関連の能力を有するリーダー」を求めるものがある。この仕事は、「職域の異なるチームとの密接なコラボレーションを実施するとともにさまざまな分野を横断しながら、生成型AI技術を活用するための戦略を構築、遂行するもの」だという。
この種の広告は、わずか1年前には見かけることすらなかったが、AI時代に入るとよく目にするようになりそうだ。どのような企業もAIを最大限に活用したいと望んでいるだろうが、この新興技術を活用するには開発スキルやデータサイエンス関連のスキルだけでは十分とは言えない。その他にも、アルゴリズムの訓練から、倫理面での監督に至るまで、AIへの取り組みに欠かすことのできない責務が多岐にわたって存在している。
ペンシルベニア大学工学応用科学大学院で学部教育担当副学部長を務めるRobert Ghrist氏は、AI関連の人材は2種類に分かれることが明らかになってきつつあるとし、「1つ目は、AIのスペシャリストとも呼べる人材であり、機械学習(ML)からニューラルネットワーク、大規模言語モデル(LLM)といった、AIに関して広範な訓練を積んでいる人たちがこれに相当する」と説明した。
AI関連における2つ目の人材は、さまざまな業務や管理にまつわる役割とより密接に関わり合っているという。Ghrist氏は「これはより興味深い人材であり、『AI+X』(ただし『X』は法律や医薬、教育といった変数)というかたちをとる」と述べ、「こういった仕事は数多くあるものの、人材の確保はより困難であり、中核となる専門的なスキルに加えて、AIを実装するスキルも必要になっていく」と続けた。
プロンプトエンジニアリングも、AI時代におけるホットで新たな仕事だ。とは言うものの、Hyperscienceの最高技術責任者(CTO)Tony Lee氏によると、プロフェッショナルとして長期にわたってキャリアを追求できるかどうかは今のところ未知数だという。同氏は「これは、高い価値を持つ明確なスキルであり、専門性だと私は捉えている。しかし、フルタイムで行う仕事なのだろうか?その判断は、雇用する側の企業に任せたい」と述べた。
Lee氏は、現時点でプロンプトエンジニアリングのスキルに対する需要は高いとしながらも、将来的にはその状況が変わるかもしれないとし、「これは、コンピューターとのやり取りを実現する上で、今までとは異なるスキルを必要とする新たな方法だ。しかし、インターフェースがより対話的になり、人間同士で交わすようなものに近づいていく中、これが新しいキャリアパスになるのか、それとも一時的な機会で終わるのかは現時点で明らかになっていない」と述べた。
未来の状況(とりあえずインターネット時間における1〜2年後を考えてみたい)を直視すると、AIアプリケーションの導入と管理に特化した新たな役割が生み出されているかもしれない。こうした役割には「AIトレーナーやAI監査人、AI倫理の専門家といったものが含まれるだろう」とQlikのAI担当責任者であるNick Magnuson氏は述べた。
そして同氏は、「こうした役割は、同テクノロジーの倫理的な利用を確実にする上で力を貸してくれつつ、AIの核心、つまりAIのデータに特化するものとなる。AIトレーナーは同テクノロジーのモデルを準備し、調整する。そしてAI監査人とAI倫理の専門家は組織のデータが正確かつ信頼できるものであるよう保証するとともに、AIの全体的整合性を強化し、業務全体に向けて規模を拡大していけるようにしてくれる」と続けた。
しかし、IT関連の開発作業や管理作業において、AIがどのようにして数多くの低レベルの作業を取り去ってくれるのかを考えることも重要だ。興味深いことにGhrist氏によると、そうした傾向は歓迎すべきだという。同氏は「仕事を奪われることを良しとする人はいないが、AIが低レベルの作業を肩代わりしてくれるというのは朗報だ。私は、最も単調かつ低レベルの繰り返し作業を皮切りに、多くの作業がAIによって陳腐化されていくと確信しているし、それを望んでもいる」と述べた上で、「こうした作業の例として、低レベルのコーディングや、レガシーコードのアップデート、SDKの実装が挙げられる」と続けた。