ユーザーがクラウド事業者に求める役割は“競合”ではない–アカマイ
今回は「ユーザーがクラウド事業者に求める役割は“競合”ではない–アカマイ」についてご紹介します。
関連ワード (セキュリティ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
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アカマイ・テクノロジーズは、本社CEOを迎えてクラウドコンピューティングに対する同社の取り組みを改めて説明する事業戦略説明会を開催した。同社は3月1日に新オフィスへの移転を発表しており、今回は本社CEOを新オフィスに招いての説明会という形となった。
説明を行った米Akamai Technologies 最高経営責任者(CEO) 兼 共同創業者のTom Leighton氏はクラウドの現状について「クラウドは非常に高い有用性を備えている」と述べた。アジリティーの向上やデータセンターの構築・運用からの解放、大規模なリソースにグローバルにリーチできるなどの数多くメリットが得られているとする一方で、「高価で複雑化する課金体系」「セキュリティ対する課題」「大規模なサービス停止のリスク」などの課題も顕在化している点を指摘した。
さらに同氏は、現在主流となっているハイパースケーラーについて「一握りの巨大企業によるベンダーロックイン」という問題が存在すると述べ、「主要なクラウド事業者は巨大企業であり、クラウド以外にメディア事業やEC事業などを展開しているため、エンタープライズユーザーの多くは自社の競合企業に高額の支払いを続けている形だ。さらに、事業にとって極めて重要な価値を持つデータを巨大な競合相手と共有する形になってしまう点も問題だ」とそのリスクを強調した。
こうした既存のクラウド環境の課題に対し、Akamai Technologiesが提供するクラウドコンピューティングは、「超分散型」「完全自動化」「高効率」「高い信頼性」「ポータブルで汎用的」といった特徴があるという。Leighton氏は「ユーザーはクラウド事業者を信頼したいはずであり、競合ではなくパートナーであってほしいと考えるだろう」と語った。
同氏は「多くの人は『それは理想的だが現実的ではない』という反応を示し、『クラウドプロバイダーは既に世界を席巻してしまっており、もう決着がついている』という反応が続く」とした上で「しかし、われわれはそれが可能だと信じている。その証拠として、こうした理想をまずコンテンツデリバリーの分野で、次いでクラウドセキュリティの分野で実現してきた。これらの実績をもって、クラウドコンピューティングの領域に取り組んでいるのだ」と自信を示した。
Leighton氏はインターネット黎明期の1999年に婦人服や下着を展開する米Victoria’s Secretがオンラインでファッションショーを開催しようとしたことであまりに大量のトラフィックを集めてしまい、サーバーのあったダラス市だけでなく、テキサス州全体のインターネットダウンを引き起こしたエピソードなどを紹介しつつ、同社がコンテンツデリーバリネットワーク(CDN)の実現のために既に「超分散型、完全自動化、高効率、信頼性が高く安全、オープンで汎用的」なプラットフォームを既に構築済であることを強調した。現在の規模は「4100拠点以上のエッジPoPを1200以上のネットワーク上に配置しており、130カ国以上、750都市以上をカバーしている」と紹介した。
同氏は、社内で使用されているモニター画面を示して同社のプラットフォーム上で配信しているトラフィック量が180Tbps以上、配信数(Edge Hits)では毎秒1億1480万件以上という規模だと紹介した。
東京にドリルダウンすると、トラフィック量4.9Tbps、配信数374万8000件以上といったデータに加え、サーバー数が7988台、データセンター数は21といった情報も紹介された。同氏は、ハイパースケーラーのデータセンター展開と比較して「ハイパースケーラーでは、日本全国でデータセンターは1つか2つではないだろうか。Akamaiは東京でも21カ所だ」として分散の度合いが全く異なっていることを強調した。