ロシア政府、世界規模のインターネットからの切り離しを画策か

今回は「ロシア政府、世界規模のインターネットからの切り離しを画策か」についてご紹介します。

関連ワード (ネットワーク等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 ウクライナは最近、インターネットの資源を管理する複数の公的団体に対し、ロシアのサイトをインターネット上から排除するよう要請したが、Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)や関連組織は同国の要請を拒否した。しかし、インターネットの主要バックボーンプロバイダーであるLumen TechnologiesやCogent Communicationsはロシア向けインターネットサービスの停止に踏み切った。その一方で、ロシア政府が自ら同国をインターネットから切り離そうとしているかのような動きもある。

 ポーランドのワルシャワに拠点を置き、ベラルーシの反政権派が運営する無料ニュースサービスサイトNEXTAは先週、ロシアのインターネットポリシーだと称する文書を公開した。ロシアのすべてのウェブサイトは現地時間3月11日までにロシアのDNSサービスを使用するように切り換えなければならないと記されている。

 ロシア国内での接続すべてがロシアのDNSゾーンを用いるようにすることで、ロシアの国民は同DNSで認識されているサイトにしかアクセスできなくなる。

 ロシアはインターネットへの接続を遮断するための力を得ようと何年も前から画策している。これにより、「Facebook」や「Twitter」といったソーシャルネットワークのほか、The New York TimesやBBC、NEXTAなどのニュースサイトを簡単にブロックできるようになる。また、同国における独立系メディアの実質上すべてを遮断することと同じ効果をもたらせる。また、ロシア政府は市民を監視しやすくなるだろう。

 ロシアの法律によると、同国のインターネットサービスプロバイダー(ISP)すべては、Roskomnadzorという同国の通信規制当局が管理する特殊なサーバー群を介してトラフィックを転送しなければならないという規則が何年も前から施行されてきている。これらのサーバー群は、自国のインターネット空間内におけるトラフィックの経路を再設定しつつ、ロシアと外部との接続を切り離すキルスイッチとして機能できる。ロシア独自のこのインターネットはRuNetと呼ばれている。

 ロシアは、RuNetが実証済みであり、機能していると主張している。しかし、ロシアの主張する通りに機能しているかどうかは明らかになっていない。ロシアのISPは政府が統制するスイッチ以外にも外部世界との接続手段を数多く抱えているためだ。

 とは言うものの、ロシア政府が自ら用意したDNSの利用を国民に強制できるとすれば、話は変わってくる。

 Internet Societyの最高経営責任者(CEO)であり、プレジデントでもあるAndrew Sullivan氏は、ロシアがさらに踏み込んだ対策を採るのではないかと懸念している。同氏は、「すべてのサイトを、ロシアがホストするサーバーやサービスに移行する」ようロシア政府が求めていると確信している。これによって、「さらに多くの企業がサービスの提供を停止すると決断したとしても、(ロシアの)政府ウェブサイトは運用を継続できる」ようになるという。

 また同氏は、「ロシア政府は何年も前から、グローバルなインターネットからの切り離しを画策しているが、同国のインターネットインフラが極めて堅牢であるが故に、その試みは成功していない」と指摘している。

 Vladimir Putin大統領の目論見が成功すれば、ロシアの市民は国家によるプロパガンダの情報しか得られなくなるだろう。Sullivan氏は、「ロシアのインターネット規制によって、一般市民は不均衡な格差という影響を被ることになる。つまり、少数のエリートは(中略)何らかのかたちで接続を維持する方法を見つけられる一方、平均的な国民は外部の世界から遮断されるようになる」と考えている。

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