150年続くMLBに学ぶ、伝統ある事業の変革の勝ちパターン
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大谷翔平選手(Los Angeles Dodgers所属)など日本人選手の活躍もあり、身近な存在になりつつあるメジャーリーグベースボール(MLB)。野球発祥地・米国のプロ野球リーグとあって、その歴史は1870年代にさかのぼる。Adobeが3月にネバダ州ラスベガスで開催した年次イベント「Adobe Summit 2024」では、MLBで最高執行・戦略責任者(COSO)を務めるChris Marinak氏が、数年前より取り組むマーケティング領域でのデジタル戦略と成果について語った。同氏は、「伝統のある事業を変えるのは簡単ではない。だが可能だ」と述べる。
「MLBは150年近くの歴史を持つ。世界で最も伝統的な事業と言ってもおかしくない」――Marinak氏はこう切り出した。
MLBは、米国とカナダから30チームが所属するプロスポーツリーグだ。1998年からMLBの経済価値を算出しているForbesによると、2023年の売り上げは前年から10%増加した。チームの平均評価額は24億ドルで、前年から4%増加している。
「野球ファンは伝統や歴史を重んじる。そのため、何かを変えるということは簡単ではない」とMarinak氏。「だからといって、イノベーションができない、プロダクトを成長させられないというわけにはいかない」として、ここ最近の変化を紹介した。
1つ目は「ピッチクロック」と言われる投球時の時間制限だ。これをMarinak氏は、「試合では50年で最大の変更」と評する。これにより1試合の平均時間が30分短くなったという。「野球は時計のないスポーツだった」とMarinak氏。これらは漸進的な変更ではなく、歴史に残るような大規模な変更だったが、成功したと評価した。
2023年シーズンは、ピッチクロックに加えて、ピックオフや交代の制限、ベースのサイズ拡大などの変更も加わった。Marinak氏が「もっと試合でアクションを見たいというファンのフィードバックを得たルールを変更した」というだけあり、盗塁数は約40%増加したそうだ。
これらの取り組みが受け入れられたのか、2023年シーズンの観客動員数は10%近く増加したといい、Marinak氏は「メジャーリーグでは過去30年で最大の伸び」と胸を張る。ファンは球場に足を運んだだけではない。テレビの視聴率、ソーシャルプラットフォームとデジタルでの関係性も改善したという。「プロダクトを改善したことで、野球ファンであることにもっと関心を示した」とMarinak氏は述べた。