アカマイCEOが説く「クラウドサービス市場へ本格参入した理由」

今回は「アカマイCEOが説く「クラウドサービス市場へ本格参入した理由」」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、Akamai Technologies CEO 兼 共同創業者のTom Leighton氏と、クリックテック・ジャパン カントリーマネージャーの今井浩氏の「明言」を紹介する。

 米Akamai Technologies(以下、Akamai)の日本法人アカマイ・テクノロジーズは先頃、米国本社の最高経営責任者(CEO)兼 共同創業者であるTom Leighton(トム・レイトン)氏が来日したのを機に、事業戦略について記者説明会を開いた。Leighton氏の冒頭の発言は、同社がこのほど参入したパブリッククラウドサービスの最大の特徴について語ったものである。

 会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、筆者が注目したのは、Akamaiが新たな事業として注力するパブリッククラウドサービスについて、Leighton氏が何を語るかだ。同社は先頃、グローバルで展開するエッジネットワークに新たなクラウドコンピューティング機能を組み込む「Gecko」計画を発表した。

 Geckoは「Generalized Edge Compute」に由来し、「ユーザー、デバイス、データソースに近い場所でワークロードを実行することで、より優れた体験を提供したい企業向けのクラウドプラットフォームになることを目指すAkamaiの戦略を前進させる取り組み」だと、同社では説明している。没入型(イマーシブ)を特徴とするサービス、空間コンピューティング、データ分析、消費者および産業向けIoTなどでの将来的なユースケースを見込んでいるとのことだ。

 Leighton氏はクラウドの現状について、「クラウドはもともとITシステムの安価な選択肢として登場したが、ひと握りのハイパースケーラーが市場で多大な影響力を持つようになり、サービスが高価で複雑なものになってしまっている。しかも多くのユーザーはオンプレミスとのハイブリッド利用なので、セキュリティ対策に課題がある。一方で、クラウドに比重を置きすぎると、大規模なサービス停止の恐れもある」と懸念を示した上で、次のように述べた。

 「Akamaiのクラウドプラットフォームならば、そうした懸念を払しょくすることができる。なぜならば、『超分散型』『完全自動化』『高効率』『高い信頼性』『ポータブルで汎用的』といった特徴を持つ理想的なプラットフォームだからだ」(図1)

 なぜ、そうした理想的なプラットフォームをAkamaiが持ち得るのか。これについては、「当社がこれまでなりわいとしてきたコンテンツデリバリーネットワーク(CDN)やクラウドセキュリティなどにおいて最先端のテクノロジーやノウハウを蓄積してきたからだ」と胸を張った。ちなみに、GeckoのベースにもなるAkamaiのグローバルでの分散コンピューティングプラットフォームは、今や図2に示すような広がりを見せている。

 筆者が今後、注目したいのは、分散クラウドプラットフォームとAIの関係だ。これからAIをどんどん活用していこうとすれば、そのデータの扱いとともにエッジ側で処理していかないと追いつかないのは目に見えている。それに対処していくためには、分散クラウドプラットフォームの存在が必然になるだろう。そう考えると、Akamaiには大きなビジネスチャンスが訪れようとしているように見て取れる。ハイパースケーラーと異なる立ち位置で存在感を高められるか、注目したい。

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