Tricentis、AI型テスト自動化ツールを日本で本格展開–伊藤忠商事が「S/4HANA」移行で活用
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AIベースのテスト自動化ツールを提供するTricentisは4月24日、都内で記者説明会を開き、本格的に日本市場へ参入すると発表した。2024年2月に日本法人としてTricentis Japanを設立し、今後5年間で150億円の売上目標を掲げる。
Tricentisは2007年に米国で創業されたソフトウェアテストツールベンダー。「全ての組織が、高品質なソフトウェアを、より大規模に、より効率的に展開し、ビジネス成果を向上できるようにする」をミッションに、ビジネスプロセスのエンドツーエンドでのテスト自動化を支援する。
ノーコードでのテスト自動化やアジャイルテスト管理、AIベースのリスクアセスメント、継続的なパフォーマンステスト、モバイルテスト自動化など、ソフトウェア開発でのテスト自動化ソリューションを展開する。Tricentis APAC(アジア太平洋)担当 シニアバイスプレジデントのDamien Wong氏によると、既に世界で3000社以上の導入実績があり、Gartner、Forrester、IDCなど主要な業界アナリストからリーダー企業として認知されているという。
Wong氏は「Tricentisの継続的テストプラットフォームにより、日本企業はコストとリスクを削減しながら、高品質なソフトウェアを迅速に提供することで、デジタルトランスフォーメーションを推進することができる。日本はAPAC全体の継続的テストプラットフォーム市場の41%を占め、成長の余地が非常に大きい」と日本市場を重視する理由を強調した。
Tricentis Japanの代表執行役を務める成塚歩氏は、国内の販売戦略として(1)基幹業務システムのモダナイゼーション、(2)パートナーとのテスト自動化/AIの推進、(3)テスト成熟度の高度化支援――の3つを方針として示した。
基幹業務システムのモダナイゼーションでは、SAPジャパンとクラウド移行ソリューションを共同開発している。具体的には、テストスコープを特定する「SAP Change Impact Analysis by Tricentis」(Tricentisでの製品名は「LiveCompare」)、テスト自動化の「SAP Enterprise Continuous Testing by Tricentis」(同「Tosca」)、データ整合性の「SAP Enterprise Data Integrity Testing by Tricentis」(同「Data Integrity」)、負荷テストの「SAP Enterprise Performance Testing by Tricentis」(同「NeoLoad」)の4つがラインアップされている。
成塚氏は「現在、デジタル化への取り組みの約30%の労力が手動テストで行われており、テスト自動化によって付加価値の高い業務にシフトする必要がある」といい、特にSAPジャパンとの提携を通じて「SAP S4/HANA」へのシステム移行を支援していくと強調した。
同日の説明会では、テスト自動化ツールのToscaを利用する国内企業として伊藤忠商事の事例が紹介された。
伊藤忠商事 准執行役員 IT・デジタル戦略部長の浦上善一郎氏によると、同社では海外現地法人と一部グループ会社で20年超にわたって「SAP ECC 6.0」ベースの海外基幹システムを利用してきたが、新規のビジネスプロセスやイノベーションへの対応が困難である点や、ERPとしてカバーしている従来のプロセスや機能が使われなくなっている現状があった。
そうした課題を解決するため、「SAP S/4 HANA Cloud」をベースとした次世代の海外基幹システムの構築に着手。「Fit to Standard」を基本方針に、業務プロセス全体のデジタル化を前提とし、将来のイノベーションを見据えた機能拡張と長期安定運用の実現を目指している。
浦上氏は「Tosca活用によるテスト自動化は、テスト実行時間を38%短縮し、総テスト工数を65%削減するなど、私たちのテストプロセスに革新的な変化をもたらし、プロジェクトに高く貢献している」とツール導入の効果を明らかにした。