AIのメリットを享受できるスキルの見極めが組織の重要課題に

今回は「AIのメリットを享受できるスキルの見極めが組織の重要課題に」についてご紹介します。

関連ワード (調査等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 組織は、人工知能(AI)の利用が増えていく職場で新たなスキルセットを醸成する必要があるが、まずはAIのメリットを享受していくための道筋を見極める必要がある。

 Salesforceが公開したある調査によると、企業が従業員の育成においてAIスキルを優先すべきだと考えている労働者は97%に上っているという。AI関連のデジタルスキルに関するこの調査は、シンガポールやインド、オーストラリア、フランス、米国をはじめとする11の市場の1万1035人の労働者を対象として2月に実施されたものだ。

 インドでは、全ての回答者が従業員の育成計画にAIスキルを優先的に取り入れていくべきだと答えている。同様の回答は、シンガポールで98%、オーストラリアで97%だった。

 生成型AIが自らの作業にどのように影響するのかを認識しているとした回答者は、全体で61%だった。また市場別に見た場合、シンガポールで70%、オーストラリアで53%、インドで93%だった。

 とはいえ、回答者全体のうち日々の業務にAIを用いているとしたのは10%にすぎなかった。この比率はシンガポールでは15%に達し、オーストラリアでは7%だったが、インドでは現在の作業でAIを用いているとしたのはおよそ40%だった。

 シンガポールに目を向けると、AIが今日最も必要とされているデジタルスキルの1つだとした回答者は57%だった。また、生成型AIが人々の職を奪うと懸念している回答者は51%だった一方、この技術を喜んで利用するという回答者は72%だった。さらに、現在最も急速に発展し、需要が高まっているスキルとして、エシカルAIと自動化のスキルを挙げた回答者は57%だった。

 所属する組織が生成型AIの利用方法を考えているとした回答者の割合は、シンガポールで63%、オーストラリアでは46%、インドでは91%だった。全体で見た場合、自社が生成型AIの採用方法を模索しているとした回答者は67%だった。

 シンガポールの情報通信メディア開発庁(IMDA)でデジタル業界および人材グループのクラスターディレクターを務めるTerence Chia氏によると、AIの明確な利用計画を立案することが最初のステップとなるものの、複数の組織は依然としてその段階にとどまっているという。

 例えば、世界を襲った新型コロナウイルスのパンデミックでは、リモートワークや在宅勤務のニーズが急速に高まり、企業は新たな状況への適応を迫られたと、Chia氏はSalesforceのイベント「World Tour Essentials Asia」で行われたパネルディスカッションの席上で指摘した。そして今、クラウドへの移行が進む中で、企業が使い方を理解しているかどうかに関係なく、AIの機能がアプリケーションに組み込まれる傾向が日に日に高まっている。

 Chia氏によれば、企業が素早く行動を起こし、前進するための技術スタックがあるかどうかを見極めるには、まずは重要な問題を特定することが不可欠だという。今後はあらゆる企業が、この進化を支えるスキルセットと文化を構築しなければならなくなるだろう。

 「従業員がAIに対応できるようにするには、(中略)一般的な意味でのAIの使い方を知る必要がある。(それには)プロンプトエンジニアリングなどのスキルや、AIに適切な質問を投げかけられる能力が必要になるだろう」と、同氏は述べている。

 「(また)セクターごとのユースケースにAIを適用できるようにする必要がある。このためには、医療、財務、製造など、それぞれの分野に適合した業界固有のデジタルスキルが必要になるかもしれない」

 さらにChia氏は、次のように続けた。「AIを活用して従業員の能力を補完できるようにする必要がある。AIによって何が奪われるのかに注目するより、AIがどのように新たな機会をもたらしてくれるのかに注目すべきだ」

 シンガポールにある南洋理工大学でビジネススクールの副学部長を務めるDamien Joseph氏も、急速に台頭している生成AIがすでに教育分野に及ぼしている影響に触れた。同氏によれば、学生はChatGPTなどのツールを、正式なトレーニングをまったく受けることなく使いこなしているという。

 「教育の観点では、私たちはAIに抵抗することもできれば、AIの持つ可能性を最大限に発揮させるために必要なスキルが何なのかを見つけ出そうとすることもできる。これはツールとして、コラボレーションの相手として、あるいはチームのメンバーとして、すべての使い方について当てはまる」と、Joseph氏は発言した。

 「学生に対しては、生成AIの倫理的な利用を意識させる必要性を感じている。高度な業務に携わる労働者の場合は、技術的な意味でのAIスキルだけでなく、日常業務にAI技術を利用するための一般的なスキルがより重要になる」と、Joseph氏は語った。

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