AIを活用したデータ保護機能を強化拡張–ベリタステクノロジーズ

今回は「AIを活用したデータ保護機能を強化拡張–ベリタステクノロジーズ」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 ベリタステクノロジーズは説明会を開催し、「データ保護、データガバナンス、データセキュリティの全てを統合してサイバーレジリエンスを実現するアーキテクチャ」として、2023年10月に発表した「Veritas 360 Defense」をAIで機能拡張したと発表した。

 テクノロジーソリューションズ本部常務執行役員の高井隆太氏は、Veritas 360 Defenseについて「サイバーレジリレンス能力を次のレベルに向上させる、お客さまが迅速かつ安全にデータを復旧できる、脅威にプロアクティブに対応できる、リスクを軽減できる、こうしたことを目的に包括的かつ拡張可能なリファレンスアーキテクチャーとして発表したもの」と説明した。その上で、今回の機能拡張について「Veritasは、サイバーレジリレンス能力を高めるための取り組みを単発的ではなく、継続的にベースのアーキテクチャーを拡張していく戦略で実践している」と位置付けた。

 同社ではこれまでもAI技術を拡張した異常検知の機能を提供していたが、今回はさらに拡張を行っている。まず、「高度なインラインエントロピー解析」では、バックアップのデータストリームをリアルタイムに監視し、データの内容をエントロピーという視点で解析することで、ランサムウェアなどによって暗号化されている可能性があるかを検出する。

 データの暗号化では、もとのデータを判読不能な形に改変する過程で一般的なデータに比べてばらつきが大きくなるため、エントロピーが高い状態になる。これを検知すればデータが暗号化されているかを判別でき、ランサムウェア被害の発生をいち早く検知することに役立つ。

 なお、実際にはバックアップデータストリーム全てをチェックするのでは負荷が掛かりすぎるため、特許出願中の同社独自技術によってチェックすべき箇所を選び出す形とし、検知レベルの高さと負荷の軽減を両立しているという。バックアップデータのエントロピー解析によるランサムウェア検知は、従来はバックアップ後のバックアップデータを対象に実施する機能が既に搭載されているが、今回異なる手法に基づくインライン解析が補完的な位置付けで追加されたことで、より検知精度が高まることが期待できるという。

 次に、「自己学習型ユーザー行動監視」はバックアップシステムの操作権限を持つユーザーを対象に、通常行われている運用管理作業とは異なる操作がされた際にアラートを発報し、追加のセキュリティチェックを起動するなどの確認が可能になるもの。ユーザーごとの運用スタイルをあらかじめ学習させておく必要があるが、サイト固有の運用ポリシーなどを踏まえて「いつもと異なる例外的な操作」を検出できるようになる。

 同社のクラウド型管理コンソール「Veritas Alta」に生成AI機能を組み込む「Veritas Alta Copilot」も追加される。自然言語による質問文に対して回答するヘルプデスク機能はもちろん、「平均データ転送速度が最も低いプライマリーサーバーを特定して」といったモニタリングレポートの出力なども可能だという。さらに、出力させたレポートを保存しておいて繰り返し参照することなどもでき、運用管理担当者が必要なレポートを作成するための支援機能としても利用できる。

 最後に、パートナーシップの拡張についても発表した。Veritas NetBackupおよびVeritas Alta Data Protectionを中核とし、各パートナー製品と組み合わせた検証済ソリューションとして提供されるもので、今回新たに参画企業としてANZEN、Calamu、HashiCorp、Splunk、Securonixの5社が加わったことが発表された。

 2023年10月に発表された当初のパートナーのリストと見比べると、今回新たに加わったと発表されたSplunkが2023年10月当初にもパートナーとして発表されていることが確認できる。Splunkは2024年3月にCisco Systemsによる買収完了が発表されているので、この前後でパートナーシップに関する見直しが行われたものと想像できる。

 また、米国時間4月24日にIBMがHashiCorpを買収することも発表されたほか、そもそもVeritas自体がCohesityによる事業買収を受けて分割される計画であることも発表されている。CohesityはVeritasのデータ保護事業を買収する予定で、Veritas 360 Defenseの中核となるNetBackupやVeritas Altaが対象となっている。さまざまな買収/業界再編の影響が感じられるリストとなった形だ。

 Cohesityによる買収に関しては、現時点で買収が完了していないため、買収後のことについては何も話せることがないと高井氏は語るが、それを踏まえた上で同氏は「買収まではVeritasもCohesityも独立の企業としてそれぞれのビジネスを推進する。Veritasに関しては、現在提供している機能や発表した新機能についてはサポートも継続するので安心してご利用いただける。統合は統合で進めているが、製品リリースに関しては継続的に行う」とコメントしている。

 データ保護ソリューションに関しては、ユーザー企業側でも長期的な取り組みとして導入していることが多いと思われるので、長期的かつ安定的なサポートが継続されることを期待したい。

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