日立製作所、2024年3月期は減収増益–生成AIなどに1兆円の追加投資を発表
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日立製作所は4月26日、2024年3月期の通期業績とともに2024年度中に1兆円の成長投資を行うことを発表した。投資のうち生成AI分野に対して3000億円を充てることにしており業績発表の会見で執行役社長 兼 CEO(最高経営責任者)の小島啓二氏は、「生成AIへの投資はソフトウェアの生産性向上とともに、生成AIによって成長が期待されるデータセンターへの投資も進める。また、AI人材の強化や小規模なM&A(合併・買収)も行う」と述べた。
また、1兆円の成長投資について小島氏は、「成長速度を緩めずさらなるキャッシュ創出を目指すもの。日立は新たな成長機会をしっかり獲得できる企業であることを証明し、2024中期経営計画を終えたい」とも語った。
現在の日立製作所は、2024年度を最終とする「2024中期経営計画」を推進中だ。2023年度の連結業績をもとに小島氏は、「目標とした財務目標はおおむね達成できる見通し」との見解を示す。2024年度は中計達成に向けた「ウイニングラン」といえる1年になる期待の中で小島氏は、新たな領域に対する積極的な投資方針を示したともいえる。
2024中期経営計画は、当初の計画で3年間の成長投資として1兆4000億円を計上していたが、これを1兆8000億円に拡大した。これまでの2年間で日立エナジーの完全子会社化に2000億円、GlobalLogicのボルトオンM&Aに1000億円など、個別事業の強化に向けた中規模M&Aを中心に8000億円を投資してきた。これに対して今回の成長投資拡大では、最後の現中計期間内の1年間に過去2年分以上の投資を行う意欲的なものになっている。
具体的には、先述した生成AIに対する3000億円のほか、DXとグリーントランスフォーメーション(GX)で成長する製造分野に2000億円、社会インフラ事業のサービス化加速で2000億円、案件に恵まれた際の機動的M&Aとして3000億円を投じる計画だ。
生成AIへの投資について小島氏は、3つの方向性を打ち出した。1つ目は、GlobalLogicを中心とした日立グループでの生成AIの活用促進だ。
GlobalLogicは、生成AIの活用により要件定義や設計、テスト工程でのソフトウェア開発作業効率の向上を図るとともに、ヒューマンエラーの削減による品質向上を目指すという。「ソフトウェア生産性向上により、エンジニア不足の解消につなげることができる」(小島氏)と期待する。
2つ目は、コールセンターや製造現場などを対象にした生産性向上への取り組みだ。これは、日立グループでの活用とともに鉄道、エネルギー、産業分野など日立顧客を対象に生成AI活用を提案する。さらに現場拡張を実現するインダストリアルメタバースの開発にも投資するという。
3つ目は、生成AIの社会実装とともに、旺盛な需要があるデータセンターへの投資だ。Hitachi Vantaraのハイブリッドクラウドや日立エンジーの受変電設備、日立グローバルライフソリューションズの冷却設備などの提案を加速。さらに、3月に発表したNVIDIAとのパートナーシップに基づいた高信頼データ管理ソリューション「Hitachi iQ」の開発投資も進める。
小島氏は、「生成AIでは大規模言語モデル(LLM)に注目が集まっているが、日立が得意とするのは、LLMにデータを供給するデータインフラの部分。そこに、Hitachi Vantaraのデータストレージやハイブリッドクラウドを活用できる。また、LLMの上位のアプリケーションでは日立が得意とするOTとITを組み合わせた提案ができる。こうした領域で生成AIが生み出すインパクトをビジネスにつなげていきたい」と語った。