サプライチェーンソフトウェア事業の継続的成長拡大に自信–パナソニックの楠見CEO
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パナソニック ホールディングスは5月17日、記者会見を開き、グループCEO(最高経営責任者)の楠見雄規氏が2024年度を最終年度とする中期戦略の進展状況を説明した。その中で、成長投資領域の一つに位置付けている「SCMソフトウェア」について語った。
楠見氏は、SCM(サプライチェーン管理)ソフトウェア事業の中核となるBlueYonderにおいて「ダンカン改革」と呼ぶ取り組みを推進していることに言及。「積極攻勢に向けて、ダンカン改革を着実に遂行し、2024年度までに革新と飛躍に向けた仕込みを完遂する」と述べた。
ダンカン改革は、2022年8月にBlue YonderのCEOに就いたDuncan Angove(ダンカン・アンゴーヴ)氏が推進している改革を指す。強固な組織体制の確立に着手しており、ネイティブSaaSへのシフトや、顧客体験の向上などの変革を推進しているところだ。
楠見氏は、「BlueYonderは、2023年にネイティブSaaSプロダクトの第一弾をリリースしたほか、BlueYonderのソリューションをより多くのお客さまに届けるべく、Snowflakeと顧客基盤の相互活用、アクセンチュアと共同マーケティングを開始した。また、BlueYonderのフロントラインの営業人員を50%も増員した」と強調。さらに、返品管理系ソリューションの強化のためにDoddleを買収し、計画系ソリューションの強化を目的としてFlexisを買収するなど、ダンカン改革による成果を挙げた。
Angove氏は、クラウドアプリケーションのInforの社長として、同社をクラウド企業に転換させ、6000万以上のサブスクリプションユーザーを獲得する手腕を発揮した経験を持つ。OracleやRetekなどでもリーダーシップを発揮し、25年以上にわたる企業向けソフトウェアおよびサプライチェーンビジネスで実績を有する。
パナソニック コネクトでプレジデント CEOを務める樋口泰行氏も、「BlueYonderは、すばらしいチームを作り、優秀な人材の獲得も進んでいる」と、Angove氏の手腕を評価する。
さらに楠見氏は、「BlueYonderとパナソニックグループとのシナジーの成果も生まれている。パナソニック コネクトの強みのエッジデバイスとBlueYonderのソリューションを融合した輸送トラックヤード管理ソリューションをPenskeに納入した。さらに、ラピュタロボティクスとパナソニック コネクトが協業して取り組んでいる倉庫内ロボティクス化のソリューションを、BlueYonderの倉庫管理ソリューションとつないで制御するなど、さらなるシナジー創出を図っていくことになる」と述べた。
楠見氏は、2024年3月に発表したBlueYonderによるOne Network買収についても言及。「One Networkは、サプライチェーンに関わる複数企業が同一no ネットワーク上で需要や売買、物流、在庫といった情報をリアルタイムに共有、可視化し、活用できるソリューションを提供している。BlueYonderを活用した高精度な全体最適解を導くソリューションと、One Networkの情報共有プラットフォームを融合することで、サプライチェーン全体の最適化ソリューションをリアルタイムに提供できるようになる。今後One NetworkとBlueYonderのシナジーを発揮することで、リアルタイムかつマルチティア連携が可能なSCMプラットフォームを提供可能なプレーヤーとして成長する」と述べた。
パナソニックコネクトは、Blue Yonderに対して、2025年度までの3年間に2億ドルを投資するほか、SCMソフトウェア事業を統合し、株式上場させる計画も明らかにしている。
パナソニックホールディングスが5月9日に発表した2023年度(2024年3月期)の連結業績によると、BlueYonderの売上高は前年比15.6%増の1875億円、調整後営業利益は前年度のマイナス182億円の赤字から、マイナス242億円の赤字に拡大した。
だが、戦略投資やシナジー投資を除いたり、買収に伴う無形資産償却や一時的な会計処理を除いたりした実力値ベースでは119億円の黒字となり、前年比で増益になった。売上高やSaaSはいずれも堅調に成長していると総括している。
また、2023年度第4四半期(2024年1~3月)のSaaSの売上構成比は47%を占め、前年同期比で3ポイント上昇。リーカーリング比率は72%となり、同じく2ポイント上昇している。SaaS ARR(年間経常収益)は6億6700万ドルとなっており、過去最大だった同第3四半期(2023年10~12月)の6億6900万ドルに次ぐ水準だ。楠見氏は、「SaaS ARRがBlueYonder買収後から1.5倍に拡大している」とする。SaaS NRR(売上継続率)は104%と、前年を上回る継続率を維持し、安定した収益獲得に寄与しているという。
2024年度(2025年3月期)の見通しについては、売上高を公表していないが、調整後営業利益でマイナス156億円の赤字を想定。だが、2024年度も実力値ベースで大幅な増益を見込んでおり、前年比133億円増の252億円を見込んでいる。
「コロナ禍では部品や材料などのサプライチェーンに混乱が生じ、その収束に時間とコストを要したことから、多くの企業でサプライチェーンに対する危機感が高まっており、関連ソフトウェアの需要拡大が続いている。2024年度もSaaS基盤構築に向けた戦略投資を継続し、事業成長画に向けた打ち手を実行し、グローバルでの競争力強化、成長加速に取り組む」(楠見氏)としている。