富士通、「エンタープライズ生成AIフレームワーク」を開発–特化型生成AIを自動生成

今回は「富士通、「エンタープライズ生成AIフレームワーク」を開発–特化型生成AIを自動生成」についてご紹介します。

関連ワード (データマネジメント等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 富士通は6月4日、企業が保有する大規模データや法令準拠を容易にする「エンタープライズ生成AIフレームワーク」を開発したと発表した。AIサービス「Fujitsu Kozuchi」のラインアップとして7月から順次提供を始める。

 同フレームワークを使った実証実験では、幾つかの業務で大きな効率化が見込まれている。具体的には、契約書のチェック作業にかかる時間が30%減少し、サポートデスクの作業効率が25%向上し、運送業界ではドライバーの配置計画を策定する時間が95%短縮されるとしている。

 また、さまざまな業務における生成AIの活用課題を解決し、質問の回答を製品マニュアルから作成したり、モバイルネットワークの接続障害を解析したり、監視カメラの映像から従業員の疲労度を解析したり、大規模ゲノムデータを解析したりなど、幅広い分野への適用が可能だとしている。

 エンタープライズ生成AIフレームワークを構成する技術は、(1)ナレッジグラフ拡張RAG、(2)生成AI混合技術、(3)生成AI監査技術――で構成されている。

 (1)のナレッジグラフ拡張RAGは、生成AIの弱点である大規模データの正確な参照を可能にする技術になる。従来のRetrieval-Augmented Generation(RAG)技術を発展させ、企業規則、法令、マニュアル、映像などの膨大なデータを構造化するナレッジグラフを自動作成し、生成AIが1000万トークン以上のデータを参照できるようにした。

 ナレッジグラフとは、知識を抽象化して体系化したもので、グラフ構造で表したネットワークのこと。人、場所、物事などに関する知識(ナレッジ)を体系的に連結している。膨大な量の情報を効率的に処理でき、AIや機械学習のさまざまな分野で利用されている。

 (2)の生成AI混合技術は、自社業務に適したAIモデルを迅速に生成できる同社独自の技術になる。最適な特化型生成AIや機械学習モデルを自動生成し、プロンプトエンジニアリングやファインチューニングなしで運用可能だ。入力に応じて最適なモデルを組み合わせることで、小中規模かつ軽量なモデルを採用でき、電力と計算資源の消費を抑える。

 (3)の生成AI監査技術は、生成AIの回答が企業規則や法令に準拠しているかを監査する技術である。生成AIの内部動作状態を解析し、回答の根拠を抽出し提示する「生成AI説明性技術」と、回答とその根拠の整合性を検証し矛盾点を提示する「ハルシネーション判定技術」で構成される。テキストだけでなく、ナレッジグラフや画像も対象にできるため、ナレッジグラフ拡張RAGと組み合わせることで、より信頼性の高い生成AI活用を実現するとしている。

 なお、同監査技術を交通画像から道路交通法違反の状況を検出するタスクに適用した結果、回答根拠として生成AIが入力された交通画像と道路交通法ナレッジグラフのどこに注目して回答したかを示すことに成功しているという。

 富士通は今後、日本語やコード生成など、エンタープライズ向けの特化型生成AIモデルを拡充していく。

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