ネットの意義を追求–イオンネクスト、自社ネットスーパーの現在地を解説

今回は「ネットの意義を追求–イオンネクスト、自社ネットスーパーの現在地を解説」についてご紹介します。

関連ワード (マーケティング、流通テック最前線等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 イオンネクストは7月3日、ネットスーパー「Green Beans」のサービス提供から1年を迎えるに当たり、2024年度の戦略説明会を開催。AIをはじめとしたテクノロジーを活用し、鮮度の高い商品を効率的に配送するサプライチェーンの仕組みなどを紹介した。

 イオンネクストは、2019年にイオンと提携した英テクノロジー企業Ocado Groupの子会社・Ocado Solutionsと共同で、テクノロジーを活用した購買体験の提供に取り組んでいる。

 Green Beansでは、生鮮食品、冷凍食品、日用品、医薬品、ペット用品、介護用品など、3万点以上の商品を取り扱っている。顧客は7~23時の1時間単位で配送時間を指定でき、当日から14日先までに受け取りたい商品を注文可能だ。

 Green Beansの配送エリアは現在、東京都13区、千葉県5市、神奈川県川崎市。会員数は21万人を突破し、居住地は東京都が6割、千葉県が3割、神奈川県が1割ほどとなっている。都内では総合スーパー(GMS)「イオン」の店舗数が少ない世田谷区や港区、高層マンションが立ち並ぶ湾岸エリアの顧客が多く、属性で見ると30~40代の共働き世帯や50代の割合が高い。

 イオンネクスト 代表取締役副社長 兼 イオンネクストデリバリー 代表取締役社長の野澤知広氏は「イオングループにとって新しいお客さまからのご支持を頂いている」と自信を見せた。

 Green Beansにおける配送業務はイオンネクストデリバリーが一気通貫で担い、サプライチェーン全体の最適化を実現している。同サービスでは、顧客フルフィルメントセンター(CFC)に貨物を集約し、スポーク(拠点)を活用して運搬する配送方式「ハブ&スポーク方式」を採っている。現在は千葉県誉田のCFCでロボットが商品をピッキングし、AIを活用して車両に積む順番や配送ルートを最適化している。

 現在のCFCは誉田のみだが、2026年度には東京都八王子、2027年度には埼玉県久喜宮代にも開設する。久喜宮代CFCの敷地は誉田・八王子の約1.5倍、供給力は誉田の最大2倍で、スーパーマーケット80~100店舗への供給が可能となる。倉庫内の技術革新も進めており、2025年春には誉田CFCにアームロボットを約30台導入し、同ロボットがピッキング作業の半分以上を担う。

 ラストワンマイルでは、郵便番号別に管理された顧客の住所を基に、AIが1秒間に1400万通りの配送ルートを算出。一般的に運送ドライバーの確保が困難となる中、テクノロジーの活用や独自の検定を通して、サービスの標準化を進めている。

 イオンネクストは2024年度、Green Beansのリピート購入施策を強化しており、リピート顧客の割合は全体の半分以上となっている。顧客が購入する商品のカテゴリーも拡大傾向にあり、バスケット単価の平均はこの半年で15%以上増加している。

 Green Beansでは、特に生鮮食品、冷凍食品、レシピと食材がセットになったミールキットの人気が高い。イオンネクストは今後、商品の販売だけでなく、救急往診などを行う企業・ファストドクターと協業してオンライン診療サービスの提供を予定している。

 食品のECでは、消費者が商品を直接手に取ることができないため、生鮮食品などの鮮度や状態に不安があるとされている。これを受けてイオンネクストは、ネット“専用”スーパーとして、温度管理が必要な商品を産地から消費地まで低温状態に保つ物流「コールドチェーン」のもと、「ネットだから新鮮」と顧客に思ってもらえる商品を提供しているという。

 例えば、農産物を対象に1週間鮮度を保証するブランド「鮮度+」を展開しており、2024年夏には畜産物の追加を予定している。加えて、7月3日から食べ頃期間を商品に印字して保証するブランド「食べごろ+」を8品目を対象に提供する。同ブランドでは、商品が顧客のもとに届いた時、食べ頃になるよう逆算して配送する。

 イオンネクストは、Green Beansの会員数21万人突破を受け、2年目は倍増を予定している。一方、同社の事業は赤字となっているといい、野澤氏はGreen Beansでの取り組みを「先行投資」と位置付けた上で、共働き世帯の増加に伴う需要増を見込むとともに、「実店舗と同じことをやっていてはダメ」と説明した。

 同氏は「今までは『ネットだからできない』という制約のもとネットスーパー事業を展開してきたが、『ネットだからこそできる』ということは非常に多くある。提供する商品の中身を変えていくことで、食を中心としたオンラインビジネスも黒字化できる」と力を込めた。

COMMENTS


Recommended

TITLE
CATEGORY
DATE
アイルランドにおけるサイバーセキュリティの最新事情
IT関連
2022-09-06 15:45
アルペン、システム内製化を推進する業務基盤に「kintone」採用
IT関連
2022-04-28 09:44
無観客、パブリックビューイング中止もオンラインで応援 各地で企画
IT関連
2021-07-13 17:44
APIをプラットフォーム化せよ
IT関連
2022-03-22 21:27
「Windows App」のプレビューが公開–各種OSからWindowsデバイスへアクセス
IT関連
2023-11-18 12:15
ミレニアル世代が熱狂?NFTを使ったコレクターズアイテムへの投資が今アツいワケ
ブロックチェーン
2021-06-15 14:42
米議会公聴会でSolarWinds製品を悪用したハッキングについて議論–マイクロソフト幹部ら
IT関連
2021-03-01 08:46
NECと大塚商会、AIによる中小企業経営分析を共同開発
IT関連
2021-06-17 11:01
「Googleスプレッドシート」で条件付き書式をプルダウンリストに追加するには
IT関連
2022-08-23 02:06
AI利用で重要なのはコンテンツ戦略–Box コーラーCMOに聞くマーケティング戦略
IT関連
2023-10-19 05:19
企業秘密を盗用されたと主張するWisk AeroのArcher Aviationに対する仮差止請求を連邦判事が却下
モビリティ
2021-07-27 22:07
IBMが買収を決めたHashiCorp、市場での評価と狙い
IT関連
2024-05-09 14:23
HPEは3年でサービス型企業への転身を完了–ネリCEOが宣言
IT関連
2022-07-01 08:27
AI PCはユーザーの生産性を高める最高のアシスタント–レノボのツィエリンスキーEVP
IT関連
2024-08-30 21:43