コピーライターの「思考プロセス」学習–電通ら、広告コピー作成ツールを開発

今回は「コピーライターの「思考プロセス」学習–電通ら、広告コピー作成ツールを開発」についてご紹介します。

関連ワード (データマネジメント等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 国内電通グループ(dentsu Japan)は8月5日、AI戦略説明会を開催し、電通と電通デジタルが広告コピー生成ツール「AICO2(アイコツー)」を共同開発したと発表した。AICO2には、コピーライターの思考プロセスを「GPT-3.5 Turbo」に再学習させたAIモデル「創造的思考モデル」を活用している。

 電通は2016年、AIコピーライターとして初代「AICO」を開発。同ツールは、電通のコピーライターが作成したキャッチコピー約1万作品を学習しているが、利用を繰り返すと過去のコピーと類似したものを出力したり、テーマとかけ離れたコピーを生み出したりする傾向があり、表現力に限界があったという。 AICO2では、キャッチコピーに加え、伝えたいことをコピーに変換するコピーライターの思考プロセスも学習させることで、この課題の解決を図る。

 具体的には、社内の新人コピーライター向け研修講座で長年受け継がれてきたキャッチコピー開発のノウハウを学習させている。学習させるキャッチコピーは電通の資産に帰属するもので、新人研修の課題として提出されたコピー、人権/SDGsスローガンの応募作を活用している。AICO2は独自技術として特許を出願中で、今後は電通社内での利用を予定している。

 dentsu Japanは東京大学次世代知能科学研究センター(AIセンター)と共同で、AICO2の性能を「心が動く」「新しい発見」「時代性がある」「意外性がある」「チャーミング」「納得感がある」の6種類の項目で評価。評価実験では、(A)AIを使用しない、(B)「GPT-4」の「ChatGPT」を活用する、(C)AICO2を用いる――という3つの条件のもと、コピーライターグループがキャッチコピーを作成。その結果、Bグループの総合評価平均はAを下回った一方、CはAとBを上回った。

 実験結果について、電通 CXクリエーティブ・センター エクスペリエンスニュートラルデザイン3部 クリエーティブ・ディレクター/コピーライターの川田琢磨氏は「キャッチコピーの作成は、非常に集中力を要する作業。すごく集中している時に、余計なことを言ってくる人がいると、何を書けばいいのか分からなくなる。AICO2は芯を食ったアイデアを出すので、評価が高かったのではないか」と説明した。

 キャッチコピー作成においてAICO2は、コピーライターの能力を拡張することが期待される。コピーライターの作風は理性/感性優位などさまざまであり、ユーザーは自身と異なる作風のコピーを参考にすることで、表現の幅を広げられるという。

 AICO2の活用におけるコピーライターの役割について、川田氏は「最終的な審美眼は、AICO2を使う人間が持っていなければいけない。自信を持って『なぜこのコピーが良いのか』を説明でき、クライアントに納得してもらえるものでないと誰にも伝わらない。AICO2はアイデア出しをするが、人間が良い物を選ぶ形は持っておいた方がよい」と強調した。

 制作物の作成におけるAI活用では、顧客企業の同意が必要となる。電通グループ AI MIRAI統括/主席AIマスターの児玉拓也氏は「(AIの活用に対する)温度感はクライアントによってかなり異なる。われわれは、リスクを全て伝えた上でクライアントにご判断いただくステップを踏むようにしている」と述べた。

 AICO2は現在、2種類のプロセスでキャッチコピーを生成できる。商品の訴求点を探すところから始める場合は「What&Howを作成」、既にマーケティング戦略があり、訴求点が明確な場合は「Howを作成」を選択する。前者では、商品名や課題を入力後、商品や課題の詳細を入力。出力された「伝えたいこと」の一覧の中から気に入ったものを選択し、「Howを生成」を選択すると、キャッチコピーとその解説、評価がランキング形式で生成される。

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