データ活用の未来を切り拓く、生成AI時代のCDOの役割と重要性
今回は「データ活用の未来を切り拓く、生成AI時代のCDOの役割と重要性」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
今日、生成AIによる技術革命は本格的に進行し、データセンターやアプリケーションをはじめ、あらゆる生成AI技術に投資する企業が増加しています。
Gartnerが行った世界の財務リーダーを対象にした調査によると、回答者の66%が、予測や予算の差異を説明する上で、「生成AIが最も直接的な影響を及ぼす」と考えていることが分かりました。この調査結果は、今日の生成AI革命により、データがビジネスの意思決定において中心的な役割を果たし、新たな「通貨」が発行された時と同様の影響を与えていることを示唆しています。
そのため、データを戦略的に管理し、利用可能な資産に変換することは、企業や組織が生成AIや価値推進分野など、企業が経営戦略において特に注力する領域での企業間競争を行う上で極めて重要なポイントになります。そこで、こうしたプロセスを実行できる熟練したデータのリーダーシップを兼ね備えた人材が求められ、一般的には「最高データ責任者」(以下、CDO)がその役割を担っています。
本稿では、生成AI時代におけるCDOの役割について具体的に説明しつつ、なぜその役割が重要なのかについて解説します。
CDOは、組織内のデータ使用に関するビジョンと戦略を設定する役割を担っています。また、データが安全に収集、保管、利用できるように管理し、全ての要素が組織の目標をサポートするために連携しているため、データの「交通管制官」のような働きをしています。
昨今、CDOの需要は過去最高であり、われわれハイドリック&ストラグルズが実施したデータリーダーシップへの需要に関する調査によると、CDOは世界の大手企業の80%に存在すると言われています。CDOの重要な役割は、企業のデータを活用して作業効率を高め、不要なコストを削減し、利益を増大させることです。
例えば、イオングループは、2021年にCDOを採用し、グループ全体のデータ活用を強化するために、データイノベーションセンターを設立しました。こうした取り組みにより、膨大な購買データを活用し、顧客のニーズを理解することで新たな知見を得ました。さらに、クロスセリングの強化や、顧客体験の向上を図り、グループ全体の利益を最大化することに成功しています。
2002年にCapital Oneが最初のCDOを採用しました。それ以来、CDOの需要は世界的に拡大しています。CDO Club JapanのDX実態調査レポートによると、日本の大手企業においてDX責任者が決まっている割合は全体の46%です。そのうち11.5%の企業は、CDO(最高デジタル責任者もしくは最高データ責任者)や最高情報責任者(CIO)がDXを担当しています。しかし、最高データ責任者の割合はわずか1.8%にとどまります。
さらに、PwCの調査によると、CDOが存在している日本企業の57%が「データ活用の準備が整っている」と回答したのに対し、CDOを設置していない企業は30%にとどまりました。この結果は、従来の企業環境においても、戦略的データマネジメントがいかにビジネス目標に直接貢献していることを示しています。さらに、CIOや他の最高責任者がDXを担当している企業に比べると、CDOを活用している企業はよりデータ活用においても高い成功を収めていることが分かっています。