New Relic、金融IT協会に加入–金融業界におけるオブザーバビリティの導入拡大へ
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New Relicは10月8日、金融IT協会(FITA)への加入を表明した。加入理由について、New Relic 技術統括 コンサルティング部 部長の瀬戸島敏宏氏は「金融業界におけるITの民主化や人材育成、オブザーバビリティ面で貢献できる。情報発信や勉強会への登壇を通じて、金融を強くする活動を続けたい」と説明した。
国内銀行のIT化は着々と進んでおり、同社の顧客企業だけでも、ふくおかファイナンシャルグループ、SBI新生銀行、東京海上日動システムズ、GMOペイメントゲートウェイと多岐にわたる。New Relicの説明によれば、金融業界における導入社数は2020年以降、前年同期比2倍以上の成長を達成したという。
日本銀行が2021年3月に発表した「わが国の銀行におけるデジタル・トランスフォーメーション(DX)」では、「デジタル技術の進展により、企業や個人の経済活動がデータ化され、クラウドの普及によるデータの収集・蓄積コストの低下、AIによるデータ分析能力の向上などが進んでいる」「銀行業においては、顧客との接点を確保して顧客体験を向上させることが重要。顧客の潜在的な需要を把握し、きめ細かくタイムリーにサービスを提供することが可能になる」と述べている。
瀬戸島氏も「インターネット、クラウド、AIが登場し、システムがビジネスそのものの時代になった」と現状を分析した。他方で金融庁も2024年10月に発表した「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」で、金融業界企業のガイドラインとして、具体的な枠組みを提示している。
企業はクラウドのシステム運用における意思決定をベンダーに預けるのではなく、社内で取り組む時代になった。New Relicによれば、API利用を前提としたマイクロサービス化も増え、時代に適した運用設計思想が求められているという。しかし、人間が組んだシステムは万全ではない。必然的にシステムの監視が欠かせなくなる。
同社の監視ソリューションである「New Relic」について瀬戸島氏は、「システムにかかる全てを観測し続ける。ユーザーのページが遅い場合はAPIなのか(クラウドの)ロードバランスが遅延しているのか、CPU負荷が高まっているのか、データベースの問題なのかなど、一つの事象に対してひも付くもの全てをマッピングして、問題点を即座に把握できる」と説明した。
New Relicの操作画面
New Relicは一連の監視機能をオブザーバビリティと呼称しているが、単なる監視システムではないという。同氏は「オブザーバビリティは運用者以外にも開発者、営業・マーケティング、経営者に近い役員層にも使っていただけるサービス」であると述べている。
米国本社が2023年3月から4月に実施した15カ国の金融・保険業界176人を対象にした調査では、「金融業界の企業はビジネス影響の大きいシステム停止の経験が比較的少ない一方、システム停止にかかるコストは高い(年間平均1044万ドル)」「オブザーバビリティの実践が、システム停止の迅速な検知や復旧に貢献している。オブザーバビリティ導入による投資収益率は200%」であることが明らかになったとしている。
瀬戸島氏は金融業界で自社ソリューションの引き合いが強い理由として、「金融業界の需要に合致した『マーケットフィット』、シンプルな料金体系を実現するためのCCoE(Cloud Center of Excellence)によるライセンス体系を指す『プロダクトの強み』、最も重要なのが『社会的意義』。システム運用担当者のビジネスを強く支援し、DX時代の人材育成や運用者とビジネスをつなげる」と主張した。