AIが変える空の旅–英空港運営大手の5つの取り組み

今回は「AIが変える空の旅–英空港運営大手の5つの取り組み」についてご紹介します。

関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 Nick Woods氏にはビジョンがある。世界一インテリジェントな空港を開発したい。このビジョンは遠い未来の夢ではなく、Woods氏はすでに自身のアイデアを形にしようとしている。

 「順調に進んでいると思う」。こう語るWoods氏は、マンチェスター空港、ロンドンスタンステッド空港、イーストミッドランズ空港を運営する英国最大の空港運営会社Manchester Airports Group(MAG)の最高情報責任者(CIO)だ。

 「世界を見渡すと、多くの空港が素晴らしい取り組みをしている。しかし、新興テクノロジーに対する当社のアプローチは他の多くの組織と異なると思う」

 Woods氏は米ZDNETに対し、スタートアップ企業との協力、機械学習の使用、そしてデータインサイトとセンサーデータの融合による空港の効率化とスタッフの生産性向上について語った。ここでは、AIを活用した未来の空の旅を開発する同氏のチームの取り組みを紹介する。

 Woods氏によると、MAGは新興テクノロジー、特に人工知能(AI)を最大限に活用する方法について、長い時間を費やして考えているという。

 「どこで購入して構築するかを慎重に検討している」とWoods氏。「有望な空港テクノロジーサプライヤーと提携を結んだ」

 Woods氏は、MAGが提携している組織にはスタートアップ企業もある、と述べた。ただし、提携先の多くは成長段階にある企業だ。

 「そうした企業と共同投資して製品を開発している」と同氏は語る。「テクノロジーを運用可能にする方法を提携先に示し、現場で実証する」

 このアプローチにより、双方がテクノロジーに投資して共同での市場開拓戦略を策定し、組織のソリューションを他の空港に再販することができるという。

 同氏はその一例として、Copenhagen Optimizationとの緊密な協力関係を挙げた。同社は、空港運営の改善に使用できるクラウドベースのシステム「Better Airport」を手がけるテクノロジー専門企業だ。

 「機械学習プラットフォームであるBetter Airportに、到着データ、フライトスケジュール情報、履歴データをすべて入力している。これにより、その日のフライトスケジュールがどうなるかを、最後に空港に戻ってきた便に基づいて予測することができる」

 Woods氏は、Better Airportプラットフォームから得た洞察を他のテクノロジーと組み合わせて、フライトスケジュールや運用などの分野を改善している、と述べた。

 「常に状況を監視して、計画を更新し、それをグループの全員に伝えている」(Woods氏)

 計画エンジンの最適化は「Google Cloud Platform」で実行される。その後、MAGは機械学習を使用してアルゴリズムを継続的に更新する。リアルタイムデータは、Amazon Web Services(AWS)のサービスを使用してこれらのシステムに入力される。

 また、MAGはVeovoの「Passenger Flow Management」テクノロジーを使用して、LiDAR、3Dステレオカメラ、空港のWi-Fiインフラストラクチャーから得た洞察を追加し、ターミナル全体の乗客の動きを把握している。

 Woods氏によると、このデータから乗客の建物内での動きのリアルタイムビューを作成でき、それを内部プロセスの向上に役立てることができるという。

 「乗客が集まって混雑している場所、入国審査の電子ゲートの混雑状況、さまざまなチェックインデスクの生産性を確認できるため、デスクの増設という措置を開始することができる」

 AI主導の運用効率化における次の段階では、MAGのテクノロジープラットフォームを使用して、季節ごとの計画策定を支援することに重点を置く、とWoods氏は述べた。

 新興テクノロジーを導入すると、それに伴って文化が大きく変化する。これまで、航空管制塔で働く人々は、夏と冬の最も忙しい週の計画を手動で策定していた。

 今では、Woods氏のチームが収集するさまざまなデータを活用して、AIと機械学習が自動化への移行を支援している。

 「ソフトウェアの方がその作業を人間よりも効果的に実行できると証明された。現在は、ライブテストを実施して、当日の計画策定もソフトウェアを使った方がうまくいくことを実証しているところだ」(Woods氏)

 Woods氏は、自動化を導入するには「心と精神」に重きを置く必要があることを認識していた。自動化すれば、スタッフ、組織、乗客にとってメリットがあることを示さなければならない。

 「そうすれば、人間は監督の役割を担うことになり、人間が例外的な事態に対処できるのだと説明できるようになる」と同氏は語る。

 「人間は問題が発生したときに対処でき、変更を行うという選択肢を持っている。例えば、航空機を別のスタンドに駐機させるという変更だ」

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