オムロンら3社、工場の無線化でWi-Fi 6とローカル5Gを比較検証
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オムロンと明治電機工業、ネットワンシステムズは、工場ネットワークの無線化におけるローカル5GとWi-Fi 6の有効性を検証した。自律搬送ロボット(AMR)とプログラマブルロジックコントローラー(PLC)への適用を比較検証している。
3社は、ネットワンシステムズが2023年5月に開設した「イノベーションセンターnetone valley」で「次世代無線共創プロジェクト」を実施。ネットワンシステムズのネットワーク技術、オムロンのFA技術、明治電機工業の制御や計測の技術を組み合わせた次世代製造現場ソリューションの開発に取り組む。
ローカル5GとWi-Fi 6の比較検証は、AMRの自律走行とPLC タグデータリンク通信で行った。
まずAMRは、工場や倉庫の荷物搬送作業の自動化や作業効率の向上、省人化などが期待される。しかし、AMRを制御する際の無線通信がノイズや障害物の影響を受けやすく、安定性が課題になるとする。
検証では、AMRにPLC、Wi-Fi 6、ローカル5Gの子機、4Kネットワークカメラなどを搭載し、ローカル5GとWi-Fi 6による通信制御で、AMRが自律走行できること、走行時のアクセスポイントや基地局との通信切り替え時のネットワークの乱れなどを比較。その結果、自律走行についてどちらも差が見られなかった。しかし、ネットワークの乱れを4Kカメラ映像で可視化したところ、Wi-Fi 6では映像が乱れたのに対し、ローカル5Gでは乱れが起きなかったという。
次に、PLC タグデータリンク通信では、有線の複雑な配線となるPLC装置間の通信を無線化することで、配線の手間の削減、生産ラインの変更の自由度向上、設備の遠隔操作の実現といった効果が期待される。しかし、無線では通信の遅延やデータロスが生産性に影響を与える恐れがある。
この検証では、通信規格の違いによるデータの欠損の有無を確認するため、無線空間でのPLC間のデータ同期を行うタグデータリンク通信を行った。その結果、Wi-Fi 6ではデータに欠損が生じたが、ローカル5Gでは欠損が生じることなくデータを取得できたとしている。
これらの結果を踏まえ、ローカル5GとWi-Fi 6はどちらも生産現場で利用可能な技術ながら、高可用性が必要な環境ではローカル5Gが優位だと分かった。ただし、導入コストや対応機器の豊富さなどはWi-Fi 6の方が優位になるとし、現場ニーズと課題を詳細に把握した上で、ローカル5GとWi-Fi 6をメリット、デメリットを踏まえた選択をすることがポイントになるという。
3社は、この共創で得た知見をもとに工場のスマート化に向けた支援を行う。