第2回:AIがデジタルプロダクトリサーチに及ぼす影響

今回は「第2回:AIがデジタルプロダクトリサーチに及ぼす影響」についてご紹介します。

関連ワード (プロダクトの力でビジネスを推進する、マーケティング等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 増え続けるユーザーデータを選別し、隠れたインサイトを探し当てる作業は、プロダクトリサーチャーにとって現代の金鉱を掘り当てるようなものです。熟練したプロフェッショナルであっても、アンケートや顧客とのチャットなど、さまざまな情報源に散在するフィードバックの意味を理解することは、大きな負担となります。

 しかし、日本企業の多くのプロダクト担当者やマーケティング担当者は、依然として人工知能(AI)などのテクノロジーを導入せずに煩雑なタスクを手作業で処理しています。例えば、プロダクト担当者は「Googleアナリティクス」(GA)と「BigQuery」、クエリーを組み合わせた属人的な分析に頼っており、場合によってはデータ収集すら行っていないこともあります。

 マーケティング担当者も、広告代理店から月次で提供される「Excel」の集計データを基にマーケティング活動を行い、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールにExcelシートを読み込ませて重要業績指標(KPI)の達成率を確認し、自社サイトのデータは「Google アナリティクス4」(GA4)で確認するなど、各タスクに多大な人的労力と時間を費やしています。

 AIやテクノロジーの導入が進まない理由には、プロダクト担当が不在でマーケティング部門が一部のプロダクト業務を担っていることや、プロダクト開発を外部に委託していることが挙げられます。また、AIの導入に関しては、その必要性は認識しているものの、実際の導入に際しては実装や有効性に対する理解が不足していることも一因です。

 煩雑なタスクを処理し、プロダクトチームの時間を解放して、より戦略的な活動に集中できるようにするテクノロジーは存在するのでしょうか?

 AIは、プロダクトリサーチにおいて画期的な能力を発揮し、大規模な言語モデルも備えています。Amplitudeでは、プロダクトに関する専門家がAIツールをどのように評価し、どのように活用し、どのような懸念を持っているかを詳しく理解するために調査を実施しました。

 本稿では、調査結果を基に、AIがプロダクトリサーチに与える影響と将来の可能性について考察します。

 まず初めに、プロダクトリサーチとユーザーフィードバックに関する企業の現状を調査しました。

 プロダクトリサーチの最重要目標として、回答者は主に「ユーザーニーズの理解」を挙げています。また、プロダクトリサーチを実施する際に回答者が直面する最大の課題は、「すべての関連データの分析に要する時間」(26.6%)であり、次いで「データアクセスの制限」(23%)と「データの正確性と品質への懸念」(20.8%)が続きます。データ分析に多くの時間を要することは、プロダクトリサーチの有効性だけでなく、プロダクト開発のコストや優先度にも影響を与えます。

 回答者のほぼ全員(97.7%)が、ユーザーフィードバックを自社のプロダクトリサーチのプロセスに取り入れており、ユーザーフィードバックはさまざまな業界でユーザーとその期待に関する重要な情報源とみなされています。ユーザーフィードバックを活用する主な理由は、「ユーザー行動への理解の向上」(47.4%)、「仮説の検証」(24%)、「新規または既存の機能の評価」(24%)です。

 この結果を踏まえ、次の疑念が浮かびます。AIは、チームがプロセスをより効率的に進めるのに役立つのでしょうか?また、こうした問題をAIで解決する際の期待や懸念はどのようなものでしょうか?以下のセクションでは、これらの疑問に対する回答を探ります。

 「AIをプロダクトリサーチに使用したことがある」と回答した人は全体の65.2%に達しました。特に「ユーザーフィードバックの分析」での利用が最も一般的(54.6%)であり、次いで「市場トレンドの分析」(44.1%)、「製品レコメンデーションの取得」(40.6%)、「予測分析」(38.3%)が続いています。これらのAIツールの活用により、プロフェッショナルは、よりユーザー中心のプロダクトを開発し、市場投入までの期間を短縮しつつ、データに基づいた意思決定を行うことが可能となっています。

 調査結果から、データの準備とプロダクト分析の効率化にAIが活用されていることが示されています。特に、データの要約において、集計・分類された情報を提供することで、膨大なユーザーデータの理解が容易になります。また、ルーチンタスクにかかる時間を削減することで、より戦略的な活動に集中できると回答者は述べています。AIは、データ分析やインサイトの抽出においてプロダクトチームの時間と作業を軽減しますが、意思決定には引き続き人間の監督が必要です。

 AI活用が進む一方で、その使用に関する懸念点も浮上しています。回答者の大多数(78.6%)は、プロダクトリサーチでのAIの使用に慎重であり、最も多く挙げられた懸念は「AIによって生成されるインサイトの品質」(39.7%)です。次いで「AIソリューションのコスト」(13.5%)と「データプライバシー」(11.9%)が続きます。一方、回答者の5分の1以上(21.4%)は「懸念はない」と答えています。

 AIがプロダクトリサーチにもたらすと期待されるポジティブな変化として、最も多く挙げられていたのは「データ分析の迅速化」(83.8%)です。これは、回答者が効率性を重視していることを示すと同時に、彼らが現在直面している課題を反映しています。その他、AIの潜在的な利点として、「ユーザー理解の向上」「信頼できる予測分析」「プロトタイピングコストの削減」「市場や競合他社に関する詳細なインテリジェンス」「より正確なインサイト」が挙げられています。

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