「会議室が足りない」を独自アルゴリズムで解消–イトーキ、予約最適化サービスを開発

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 イトーキは発表会を開催し、社内の会議室予約を最適化するサービス「Reserve Any(リザーブエニー)」を2025年に提供開始すると発表した。同サービスには、東京大学の子会社・東京大学エコノミックコンサルティング(UTEcon)と共同開発した「リソース利用価値最大化アルゴリズム」を搭載している。

 Reserve Anyは、イトーキのデータサービス群「ITOKI OFFICE A/BI SERVICE」におけるアプリケーションの一つとして提供される。同サービス群では、オフィスの利用状況を可視化する「Workers Trail」、サーベイで従業員のパフォーマンスや状態を可視化する「Performance Trail」などのアプリケーションを複数展開しており、今回Reserve Anyを追加する。同サービスは、Microsoft Outlookのアドイン機能として提供される。

 OFFICE A/BI SERVICEでは、これらのアプリケーションから収集されたデータをプラットフォーム「ITOKI OFFICE A/BI PLATFORM」上で統合・分析し、オフィスデータ分析サービス「Data Trekking」で課題の把握や改善活動の支援を行う(図1)。

 企業における会議室の不足は長年の課題であり、コロナ禍を経たハイブリッドワークの普及により深刻化している。企業は運用ルールの整備や会議室の増設などを行い対応してきたが、依然として課題は残っているという。

 発表会に登壇したイトーキ 商品開発本部ソリューション開発統括部ビジネス開発部 部長の藤田浩彰氏は、会議室不足の根本的な原因として「オーバースペックな会議室の使用」「会議と会議の隙間時間」「特定の組織や個人による独り占め」「特定の会議室や時間帯の利用の集中」を挙げた。同社は仕組み全体の見直しが必要だと判断し、経済学の理論や独自のアルゴリズム、データを用いたReserve Anyの開発に至ったという。両社が実施したシミュレーションでは、会議室の属性、利用実態、従業員アンケートの回答で分かった利用の傾向に関するデータを活用した。

 Reserve Anyでは、あらかじめ個人や部署に付与されたポイントを用いて会議室を予約する「ポイント予約制」を採用する。ユーザーが会議室の希望条件/機能を選択すると、リソース利用価値最大化アルゴリズムで社内の会議室需要を分析し、予約に必要なポイント数を提示。ユーザーは保有ポイントを用いて会議室を予約することで、オーバースペックな会議室の予約や独り占めを防ぐことが期待される。同サービスは、日々の予約データを基にアルゴリズムを調整する。

 会議室の予約に必要なポイント数は、ユーザーが選択した希望条件/機能や会議室自体の需要など、さまざまな要素を基に設定される。例えば、「会議の開催日が近い」「会議室を指定しない」「社内全体の会議数が減少傾向にある」「会議室や時間帯の需要が低下傾向にある」といった要素が確認されたら利用ポイント数は少なく、その逆であれば多くなる(図2)。

 加えて、Reserve Anyでは「おまかせ予約」「こだわり予約」という2種類の予約方法を用意している。こだわり予約では一般的な予約システムのようにユーザーが希望条件に合う会議室を自身で選択して予約するが、おまかせ予約では希望条件を入力するとシステム側で会議室を割り当て、前日に確定する。おまかせ予約では利用ポイントを少なく設定することで、柔軟な会議室利用を促進する(図3)。

 イトーキは、Reserve Any導入前後のレポーティングサービスも提供する。導入前は効果を試算し、導入後は可視化や効果測定、他社との比較を行う。付与するポイントの数や頻度、ポイントを消化した後の会議室予約の可否などは、導入プロジェクトごとに決定する。

 Reserve Anyの提供によりイトーキは、従業員体験(EX)の向上、資産の最大活用などを目指す。まずはユーザー1000人ほどの大規模オフィスを対象とし、価格はユーザーや会議室の数に基づいた従量課金制。OFFICE A/BI SERVICEの一つとして提供するが、Reserve Any単体でも導入可能。同サービスの具体的な数値目標は掲げていないものの、サービス群全体の売上金額は2026年度に30億円にすることを目指している。

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