新入社員の受入計画を立案–マイクロソフト、AIエージェントの取り組み解説

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 日本マイクロソフトは「AIエージェントの導入から運用まで 日本市場における実装と構築支援」をテーマとしたプレス向け説明会を開催した。

 執行役員 常務 クラウド&AIソリューション事業本部長の岡嵜禎氏は、ブームともいえる状況となった生成AIを巡るキートレンドとして「エージェント化の加速」「マルチモーダル/マルチモデルによる革新」「試行からビジネス活用のフェーズへと移行」という3点を挙げ、これまでは人間と対話しているかのようにやりとりできることに驚かれていた生成AIが一歩進み、「エージェント」としての実装が進むという方向性を示した。

 Microsoftは「Agentic worldの幕開け」というメッセージを打ち出しており、「エージェント化が加速することで、AI-drivenなビジネス変化もより加速する」という。

 岡嵜氏は、AIエージェントの特徴として「自律性」「目標指向」「高度な推論」の3点を挙げた。自律性では「普通のAIチャットサービスはユーザーの指示に基づいて動作するのに対し、AIエージェントは与えられた目標に基づいて独立して行動し、ユーザーの介入を最小限に抑える」、目標指向は「普通のAIチャットサービスはユーザーの質問に答えることに主眼を置いているのに対し、AIエージェントは特定の目標やタスクの達成に向けて計画を立てて行動する」、高度な推論では「普通のAIチャットサービスはシンプルな一問一答に限定されることが多い。AIエージェントは、複雑で連続した対話の中からタスクを処理する能力を持つ。必要に応じて複数のエージェントを用意して協調に問題を解決することもある」とそれぞれ説明した。

 こうしたAIエージェントをアプリケーションやビジネスプロセスの中に組み込むことで、「より用途に特化し、AIに任せられる範囲を拡張させたサービスづくりがトレンドになる」と予測される。

 岡嵜氏はエージェントの作り方として、Microsoftが開発・提供する「ビルトイン型エージェント」、外部企業が開発する「サードパーティー型エージェント」、ユーザーが開発する「カスタマイズ型エージェント」の大きく3種類が想定されるとし、これらを共通インターフェース「Microsoft Copilot」経由で活用するモデルを示した。

 ビルトイン型エージェントとしては「Agents in Microsoft 365」という形で提供される。サードパーティー型エージェントはAdobeやSAP、ServiceNowなど各社が開発してユーザーに提供しているものと連携してCopilotから活用する。カスタマイズ型エージェントに関しては、一般ユーザー向けの構築支援環境としてノーコード/ローコードでのエージェント構築が可能な「Copilot Studio」、プロの開発者向けには「Azure AI Foundry」をそれぞれ提供する。

 岡嵜氏は現在パブリックプレビュー段階にある「Interpreter agent」のデモ映像を紹介し、中国語話者と日本語話者の発言をほぼリアルタイムで英語に翻訳し、話者の声色を再現しながら発話することで同時通訳者が介在しているような対話が実現できているという例を示した。Interpreter agentのパブリックプレビューは、日本でも2025年から開始する予定だという。

 同氏は別のデモとして、新入社員の受け入れ準備をエージェントに依頼するという例も紹介した。「2月1日入社の舞黒太郎さんの新入社員受け入れ準備をお願いします。PCは『Surface 5』を1台購入してください」というエージェントへのリクエストに対してエージェントは実行プランとして5ステージで構成されるアクションを計画した。

 具体的には、「1. 舞黒太郎さんのためにSurface 5を1台注文します」「2. 舞黒太郎さんのMicrosoft 365アカウントを設定します」「3. 舞黒太郎さんのSurface 5を設定します」「4. 舞黒太郎さんに歓迎メールを送信します」「5. 舞黒太郎さんのオリエンテーションセッションをスケジュールします」という内容だ。

 一般的な新入社員のオンボーディングのプロセスを踏襲したものだが、こうした計画をユーザーが指示するのではなく、ユーザーからのハイレベルな依頼(達成すべき目標)に対して自律的に計画を立案している点が前述のエージェントの特徴として挙げられた自律性や目標指向、高度な推論の具体例となっている。将来的には、特定分野の専門的な知識を持ったAIエージェントが複数連携して複雑なタスクを処理する「Society of Agents」という段階まで進化するものと考えられているという。

 岡嵜氏はまとめとして、同社ではAIトランスフォーメーションを実現する多様な手段を提供可能であり、日本でも大企業を中心にさまざまなカスタマイズ型エージェントの運用例が出始めていることを紹介した上で、実運用に向けた対応をきちんとサポートできるノウハウやサービスが提供可能だと強調した。Microsoftの強みとしては、SaaSからインフラレベルまで幅広いスタックに対応する点、優秀なインターフェースとなるCopilotアプリケーションが充実している点、セキュリティやAIガバナンスにも豊富な知見を有する点などを挙げた。

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