ビッグテックが席巻する世界–プラットフォームとコンテンツと通信のいま
今回は「ビッグテックが席巻する世界–プラットフォームとコンテンツと通信のいま」についてご紹介します。
関連ワード (ICT来し方行く末、ネットワーク等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
日本のデジタル赤字が5兆円超ということで、世の中かまびすしい。赤字であることが良いか悪いかという評価はさておき、毎日の業務や生活の中で種々のITサービスを利用していると、赤字幅が大きなものだということは感覚値として納得できるであろう。「Microsoft Teams」や「Zoom」で会議を行い、そこで使われる資料は「PowerPoint」や「Excel」で作られている。「YouTube」で動画を見たり、「Netflix」でドラマを鑑賞したりすることもすっかり日常生活に根を下ろした。
今後、仕事でもプライベートでもAIの利用や活用が進めば、デジタル赤字が増えることはあっても、減ることはないというのが大方の感覚的な予想ではないだろうか。この現象は、日本に限った話ではなくフランス、イタリア、ドイツなどもデジタル赤字国である。
そして、その赤字額の行先は、「GAFAM」を中心とした米国のビッグテックであることは疑いが無い※1。これらの企業が、いわゆるプラットフォーマーとして、世界のIT市場を席巻していると言ってよいだろう。
※1:最大のデジタル黒字国はアイルランドであるが、これはビッグテックがアイルランドに拠点を構え、そこから米国本社にライセンス提供を行うなどのビジネス形態を取っているため(税金対策が主眼と考えられる)。
プラットフォームビジネス――利用者を多く集めて、規模の経済性とネットワーク効果※2を発揮するビジネス。すなわち、独占的、少なくとも寡占的な市場になりやすいビジネスである。
※2:ネットワークの経済性、「バンドワゴン効果」ともいわれる。利用者が集まれば集まるほど各利用者の利便性が高まり、さらに利用者が集まりやすくなるという相乗効果。
初期的には課金できないサービスであろうと、とにかく利用者を多く集め、集まった後に何らかの形で収益化を図る。
利用者が、そのプラットフォームの利便性から離れられなくなり、課金されても離反しなくなるか、あるいは多くの利用者に対してリーチできることを活用し、広告ビジネスとして成り立たせるか、あるいは、利用者に関するさまざまなデータが集まることから、それを個人情報保護法などに抵触しない形でマーケティングデータとして提供するビジネスも行われている。
いずれにせよ、独占的・寡占的なプラットフォームを作り上げたプレーヤーが莫大(ばくだい)な利益を享受し、通信事業者は、そのプラットフォームを快適に利用できることを求められながらも、必ずしも多くの利益を享受することができないポジションに追いやられてしまった。