「NVIDIA Project DIGITS」が示す、Linux搭載PCの新たな可能性
今回は「「NVIDIA Project DIGITS」が示す、Linux搭載PCの新たな可能性」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
分かっている。「今年は『Linux』デスクトップの年・・・云々」というフレーズは、誰もが聞いたことがあるだろう。しかし、今回は多くの人が欲しがりそうなLinux搭載PCがある。NVIDIAのデスクトップ型AIスーパーコンピューター「Project DIGITS」は、「Ubuntu Linux 22.04」ディストリビューションをカスタマイズした「DGX OS」を搭載している。
MediaTekとNVIDIAの「Grace Blackwell Superchip」を搭載するProject DIGITSは、NVIDIAの「Blackwell」GPUとArmアーキテクチャー上に構築された20コアの「Grace」CPUを組み合わせた3000ドルのパーソナルAIだ。Grace Blackwell Superchipは印象的なチップであり、FP4精度で最大1ペタフロップス(PFLOPS)のAIパフォーマンスを実現し、2000億パラメーターの大規模言語モデル(LLM)をサポートする。
NVIDIAの最高経営責任者(CEO)であるJensen Huang氏は米国ラスベガスで開催された「CES 2025」において、このテクノロジーをAI開発者だけでなく、すべての人に提供する計画であることを認めた。「メインストリームの製品にするつもりだ」とするHuang氏の発言は、NVIDIAとMediaTekがデスクトップCPU市場でIntelやAMDなどの既存プレーヤーに挑む体制を整えていることを示している。
こうしたデスクトップへの進出は(ことによるとノートPCへも)、しばらく前から行われていた。NVIDIAは早くも2023年から、将来的にコンシューマー用デスクトップ向けチップを提供する可能性をほのめかしていた。
Huang氏は投資家向けのプレゼンテーションで、Project DIGITSのターゲットユーザーはAI開発者だが、NVIDIAはデスクトップCPUをメインストリームユーザーにも売り込む計画だと語った。また、NVIDIAは、大半のAI開発者が使用するLinux OSとMicrosoftのギャップを、「Windows Subsystem for Linux」(WSL)の使用によって解消できると考えているという。
だが、なぜそうするのだろうか。確かに、「WSL 2.0」を使用すれば、Linuxのグラフィックデスクトップとプログラムを実行できる。WSLのパフォーマンスも、x86ハードウェアでは、同じプラットフォーム上のネイティブUbuntu Linuxのスピードに近い。しかし、Armとなると、話が変わってくるだろう。
確かに、Microsoftは現在、「Windows on Arm」(WoA)を提供しているが、WoAはWindowsの世界の一等市民ではない。多くのWindowsプログラムはWoAではネイティブに動作せず、Microsoftの「Prism」エミュレーターが必要だ。WoA版があるWindowsプログラムでさえ、動作が遅く、問題が発生する傾向がある。特にWindowsのゲームはArmではうまく動作しない。
それなら、ネイティブLinuxをこの新しいチップファミリーのメインOSとして採用すればいいのではないだろうか。何といってもLinuxは、すでにGrace Blackwell Superchipで動作する。Windowsは動作しない。簡単なことだ。
現在では、LinuxはNVIDIAのチップで良好に動作する。最近のベンチマークを見ると、オープンソースのLinuxグラフィックドライバーは、NVIDIAのGPUでプロプライエタリーなドライバーと遜色ない動作をするようだ。
Linus Torvalds氏でさえ、NVIDIAがオープンソースとLinuxに適切に取り組むようになったと考えている。Torvalds氏は2023年8月、次のように語った。「NVIDIAが以前よりもはるかに深くカーネルに関わるようになった。NVIDIAには良くない企業という印象を抱いていたが、本当に良い仕事をする企業という印象に変わった」