シスコとSplunk、2025年の国内事業戦略を共同発表–セキュリティや可観測性などに注力

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 シスコシステムズとSplunk Services Japanは1月22日、2025年の日本での事業戦略を共同発表した。セキュリティやオブザーバビリティ(可観測性)分野での製品統合などを進め、注力する重点テーマにセキュリティとAI、サステナビリティー(持続可能性)を位置付ける。

 米Cisco Systemsは、2024年3月にSplunkの買収を完了し、両社の製品・サービスの統合などを既に進めている。今回の事業戦略発表会には、シスコシステムズ 代表執行役員社長の濱田義之氏とSplunk Services Japan 社長執行役員の野村健氏が登壇。シスコ側の2025年の国内事業戦略を中心に、Splunkの統合を含めた方向性を明らかにした。

 最初に説明に立った濱田氏は、まず2024年の事業動向を総括。2024年1月1日に就任した同氏は、注力分野でセキュリティ、サステナビリティー、AIの3つを位置付け、サブスクリプションモデル拡大などのビジネスモデルの変革や日本法人の自律分散型組織への変革を掲げた。注力分野では「シスコ セキュリティ サミット東京」や「シスコ サステナビリティ サミット」「WebexOne Japan」などのイベントを開催し、AIでは広島で開催された「平和のためのAI倫理」式典やAIガバナンス協会への参加など、日本における同社のスタンスを強化した。

 注力分野で特に重きを置くセキュリティでは、日本で「サイバーセキュリティ センター オブ エクセレンス(CoE)」やセキュリティ脅威研究部門「Cisco Talos」の日本チームの立ち上げを表明し、防衛省陸上幕僚監部との覚書締結など国防レベルでの取り組みも推進した。一連の取り組みを含め2024年の一番のトピックがSplunkの買収完了になるという。

 濱田氏は、社長就任以前にCisco Systemsのアジア太平洋・日本地域でのセキュリティ事業責任者を務めるなど、この領域で実績を重ねてきた。セキュリティ製品・サービスでは、2022年6月から現在までにクラウド、拡張型脅威検知・対応(XDR)、アイデンティティー保護、新世代ファイアウォールなどを順次投入。また、基幹事業のネットワーク製品でも最新の「Wi-Fi 7」の展開開始などを進めた。

 2025年の事業戦略では、キーメッセージの「AI時代に組織をつなぎ、保護する」を掲げる。濱田氏は、長年取り組むAI技術やネットワークとセキュリティ、オブザーバビリティ、コラボレーションを1つのプラットフォームとして提供していること、また、独自開発により低消費電力などを実現するハードウェアが同社の強みになるとした上で、2024年から継続してセキュリティ、サステナビリティー、AIの注力分野を中心に取り組みを進めると述べた。

 日本の中長期の戦略としては、「AI時代のビジネス変革」「テクノロジーで安心・安全につなぐ」「持続可能な未来の創造」の3つを位置付けており、これらに基づいて2025年の事業戦略での具体的な施策を展開していく。

 「AI 時代のビジネス変革」では、“AIの民主化と保護”をテーマに顧客組織での安全なAI活用を支援するという新ソリューション「Cisco AI Defense」を1月15日にグローバルで発表。AI環境への安全なアクセスや外部脅威に対するAI環境の防御などを実現するもので、3月から日本と米国でまずリリースする予定だ。

 「テクノロジーで安心・安全につなぐ」では、上述のサイバーセキュリティCoEとCisco Talos日本チームが本格始動するほか、日本の製品サポート部門「Japan TAC」の体制を大幅に強化する。製品・サービス面でSplunkとの統合を加速する。

 「持続可能な未来の創造」では、AIの利用拡大に伴うデータセンターの消費電力の増大といった環境課題に引き続き対応していくほか、若い世代のIT人材を育成する「シスコネットワーキングアカデミー」の取り組みを強化する。シスコネットワーキングアカデミーは、これまでに191カ国で2400万人の学生が受講しているといい、日本向けのコンテンツやオンライン講座を拡充。学生だけでなく社会人にも門戸を広げる。

 業績面では、総売り上げに占めるサブスクリプションの割合を50%にする目標を既に達成したという。今後はセキュリティビジネスの規模を3年間で2倍にすることを目指すほか、AI関連では2025年中に3種類の新ソリューションを市場に投入するとした。濱田氏は、これらの戦略を実行する上でパートナーエコシステムが必須とも語り、同社およびSplunkのパートナーと新たな付加価値を共創していくと強調。同社の社員おのおのが自身の強みを発揮していくためという自律分散型組織への変革も推進するとした。

 濱田氏に続いて登壇したSplunkの野村氏は、買収の完了直後からセキュリティでは、Cisco XDRやCisco TalosとSplunkのセキュリティ情報・イベント管理(SIEM)などの連携・統合、オブザーバビリティでは「AppDynamics」との統合など、両社の連携が迅速に進んでいると説明した。

 また、Splunk単体でも「Microsoft Azure」の日本リージョンで「Splunk Cloud Platform」の利用が始まり、2024年12月にはSplunk Cloud Platformが「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度」(ISMAP)に登録されるなど、日本でのビジネスが順調に拡大しているとした。

 野村氏は、Ciscoとの統合効果として、特に「デジタルレジリエンス」(デジタルの回復力)に寄与すると強調。同社とOxford Economicsの共同調査によれば、ITシステムのダウンタイムがもたらす損失は60兆円規模にもなるといい、ダウンタイムの要因の56%がサイバーセキュリティ、44%がアプリケーション/インフラだという。現代のビジネスではITが必須なためデジタルレジリエンスの確保が重要であり、両社で提供するセキュリティとオブザーバビリティのソリューションが貢献するとした。さらに今後は、Ciscoの「ThousandEyes」との統合も進め、オンライン体験の向上などにも価値提供領域を広げていくとする。

 このほかには、従来の取り込みログデータ量に応じた従量課金に加えてワークロード単位課金にも対応した。また、外部クラウドストレージに保存されたデータアクセスへの対応、パートナー向けで「Cisco 360 Partner Program」の導入などがあり、野村氏は、「シスコとより良い未来のために取り組みを進めていきたい」と語った。

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