日立製作所における生成AIの利用実態、新ポジション「GenAIアンバサダー」設置も
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日立製作所は、生成AIへの取り組みや「AI人財」の育成についてメディア向けに説明を行った。「GenAIアンバサダー」という新たなポジションを設けたことを発表した。
同社 GenAIセンター長 兼 デジタルシステム&サービスセクター Chief AI Transformation Officer/GenAIアンバサダーの吉田順氏は、「日立は、成長エンジンとして生成AIを積極的に活用し、それにより日立を変えていくというトップの思いも強い。AX(AI Transformation)プロジェクトを推進し、日立グループの全従業員を“生成AI Ready”の状態にしていく」としたほか、「GenAIアンバサダーは社内外のプロジェクトで活躍するフロントランナーで構成し、グループ従業員に対する影響を及ぼし、お客さまとのコラボレーションを推進する役割を担う」と述べた。
日立製作所では27万人のグループ社員がグループ専用の生成AI「Effibot(えふぃぼ)」を活用する環境を整備している。ニーズの多い機能を順次追加して利便性を高めているほか、全従業員を対象にした各種の勉強会を継続的に実施しており、“生成AI Ready”にすることを目指している。組織化や規約、ガイドラインの整備に加えて、活用状況をダッシュボードでモニタリングし、組織や利用機能などを分析することで、生成AIの活用を促進しているという。
「生成AIの活用には、戦略的指針を打ち出したり推進部門を設置したりするなどのトップダウンによる号令と、社内コミュニティーの設置などのボトムアップによる相互のアプローチと掛け合わせが肝要である」と吉田氏。「日立が自ら生成AIを活用しながら、お客さまに価値を提供し、社会課題解決をしていく。特にフロントラインワーカーの減少や人材不足を生成AIの活用で解決したいと考えている。生成AIにより『職場の悲観的7K』(きつて、汚い、危険、帰れない、厳しい、給料が安い、格好が悪い)をなくし、フロントラインワーカーが生き生きと働ける現場を実現したい」と続けた。
同社は、これまでに社内外で1000件超のユースケースを創出。システム開発では、「Hitachi GenAI System Development Framework」(システム開発フレームワーク)を活用して、コーディング工程の工数を30%削減した。また、現行システム(レガシーシステム)の分析作業では工数を45%、期間で65%の削減効果を達成したという。今後は、システム開発全体で30%の削減を目指す。カスタマサービス/保守業務では、一次対応の総対処時間の69%削減を目標として、既にAIを活用した幾つもの成果が出ているという。
社内実践での成果を基に、顧客への生成AI関連ソリューションの提供も開始した。「生成AI活用プロフェッショナルサービス powered by Lumada」では、さまざまな業界で活用できるコンサルティングサービスのほか、オフィスワーカーおよびフロントラインワーカー向けソリューションなどを用意。今後は業種別や業務別にソリューションを提供していくという。
上述のシステム開発フレームワークも社内実証済みの仕組みとして提供する。開発ガイドラインの提供と、これに則り生成AIを利用可能にする開発ツールを用意し、これらを活用することで、高品質なソースコードを生成するプロンプトを自動作成。属人化や開発者のスキルによるバラツキを排除できるという。
また、安全管理に関して、その対策内容を生成AIにアドバイスしてもらうことにより、安全管理の品質向上と業務効率化を図るソリューションも提供。さらに、顧客のデータを活用した業務特化型の大規模言語モデル(LLM)を開発し、日立の生成AIエンジニアやLLMエンジニアが顧客に伴走して、生成AIの本格的な業務適用を支援するサービスも提供している。
一方で、Amazon Web Services(AWS)やGoogle Cloud、Microsoftなどのグローバルパートナーとエコシステムの構築にも取り組み、NVIDIAとの協業でHitachi Railが鉄道車両にセンサーやカメラ、エッジサーバーを搭載して、その場でデータ処理を実行。車両や線路の状態をリアルタイムに確認し、運用と保守の業務を変革しているという。