中国で人気の虹彩写真–安易なSNS投稿に注意呼びかけも

今回は「中国で人気の虹彩写真–安易なSNS投稿に注意呼びかけも」についてご紹介します。

関連ワード (中国ビジネス四方山話、開発等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 2024年末から中国では、目の虹彩の写真やそれを使ったグッズ作りが人気を集めている。虹彩は目にある色のついた円盤状の膜のことで、検索するとフリー素材を含む多くの画像が見つかる。虹彩は個人ごとに異なるため、虹彩写真を基にしたグッズは「世界に一つだけの、自分だけのグッズ」となる。虹彩を使ったグッズや作品は数年前から米国で見られたが、中国では最近、トレンド系SNS「小紅書(RED)」(米国でサービス停止が懸念される「TikTok」の代替として一部ユーザーが流入していることで知られる)で、中国人ユーザーが虹彩グッズを次々と公開し、盛り上がりを見せている。

 ある撮影店では、1つの虹彩で99~168元(1元=22円)、カップルで268元、ペットで368元という3つのパッケージを販売している。利用者からは「自分の目がこういう形で出てきて興味深い」「個性を表現できて斬新で満足」と高評価を得ている。その撮影は病院の眼科検査に似ており、まず専用の台に顎を乗せ、カメラで虹彩を撮影する。その後レンダリングを行い、撮影から30分以内に写真を取り出すことができる。さらに、そこからブレスレットやスマートフォンケースなどのデザインが可能だ。

 虹彩が個人ごとに異なることを利用した本人認証技術が「虹彩認証」であり、一部のスマートフォンにも搭載されている。虹彩認証は指紋認証や顔認証よりも正確だとされている。しかし、ハッカーは虹彩認証の突破を試みており、平らな虹彩の写真を使って目のモデルを再現するなどして、虹彩認証を突破することに成功しているという。実際、中国メディアの記者を前に、専門家が虹彩の写真を使って虹彩認証のドアロックを解除する様子を実演している。

 虹彩認証が必ずしも安全ではないという報道を受け、中国メディアは虹彩写真をSNSに投稿しないよう呼びかけている。そこで思い出すのが、他の生体認証技術が悪用された事例だ。

 顔認証技術は、スマートフォンが不要になると期待されており、中国ではキャッシュレスサービスと連携した決済端末、自動販売機、自動改札機、ドアロックなど、さまざまな製品が開発され、店舗や地下鉄駅、マンションなどに導入されている。都市部では顔認証を導入した製品を見るのは珍しくなく、スマートフォン用アプリでも利用されている。

 しかし、顔認証には多くのトラブルも報告されている。例えば、写真1枚で顔認証ロックが解除されたり、顔が似ている人が認証されてしまったりすることがある。また、寝ているパートナーの寝顔をスマートフォンで加工して顔認証を通し、金銭を送金するトラブルも発生している。

 どこからか入手した顔写真と電話番号を使って、見知らぬ人が勝手に商品を購入し、代金を支払わせる事件もあった。メディアの調査によると、あるECサービスでは数千枚の顔写真がたったの2元で購入でき、5000枚以上の顔写真が10元未満で売られていたという。また、顔認証の使用経験のある人(90%)が回答したアンケートによると、回答者の60%は顔認証技術が悪用される可能性があると考えており、30%は実際に悪用された経験があると答えている。

 中国では、顔認証が導入されてみればセキュリティの甘さが露呈し、集合住宅での導入を控えるよう要請されたり、上海の地下鉄駅構内にある自販機で顔認証決済が停止されるなどの措置が取られるようになった。声紋認証は導入例が少ないため被害の報告は聞かないが、声優の音声素材を使ってAIで新しい声を作り、それを販売する事件が発生している。また、AIで生成した音声を悪用して詐欺を働くケースもある。

 指紋認証でも、複製用のシートやペースト状の素材がECサイトで販売されている。この辺りについては、「『絶対に騙せない指紋式タイムレコーダー』と『絶対にバレないニセ指紋』–労使間の熱き戦い」が参考になるだろう。

 中国では、生体認証に対応した製品がすぐに広まる一方で、しばらくするとハッキング事件などが発生することが多い。スマートフォンアプリや決済端末なら代替も容易だが、マンションのドアなど固定された設備は交換が難しく、一度導入されると長期間にわたって使われ続ける。

 個人ができる対策としては、リスクのあるアプリやサービスを利用しないことや、生体情報を含む個人情報をむやみに投稿しないことが重要だろう。

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