日本のソブリンを実現するクラウドやAIを本格展開–オラクルとパートナーらが最新動向
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日本オラクルは2月13日、都内で年次イベント「Oracle CloudWorld Tour Tokyo 2025」を開催した。基調講演では、同社の首脳陣やパートナーらが日本の顧客に対応したソブリン(主権)のクラウドやAIの本格的な展開を表明し、最新の動向を紹介した。
同イベントは、米国で9月に開催されたグローバル年次イベント「Oracle CloudWorld」の世界ツアーの一環となる。会場には多数の顧客やパートナーら関係者が参集し、会場は来場者であふれかえる盛況ぶりとなった。
前回開催の「Oracle CloudWorld Tour Tokyo 2024」では、Oracleとして日本で今後10年間に80億ドル(約1兆2000億円)以上を投資すると表明し、注目を集めた。今回の基調講演に登壇した取締役 執行役 社長の三澤智光氏は、冒頭のあいさつで「われわれは、日本のためのクラウド、お客さまのためのAIに注力している。(表明した)1兆2000億円の投資では先行して1000億円を既に投資しており、『ジャパンオペレーションセンター(仮称)』の開設準備を進めている」と報告した。
ジャパンオペレーションセンターは、同社のクラウド基盤「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)の運用、サポート、メンテナンスを24時間体制で行う新組織で、これら作業を海外ではなく日本で実施することや、パートナー向けの1次対応などをOracleの人員が担当する点が特徴になるという。専務執行役員 クラウド事業統括の竹爪慎治氏によれば、現在は国内パートナーとの調整作業や人材採用を行っており、開設に向けて準備が順調に進んでいるとした。
三澤氏は、「ハイパースケーラー」と称される大規模クラウドサービス提供事業者の中で、Oracleが最後発であるが故に、先端テクノロジーを駆使して業界最高レベルのパフォーマンスやコストメリット、セキュリティに優れたOCIを提供している点が同社の特徴だと強調する。
また、クラウドビジネスで競合したAmazon Web Services(AWS)や「Microsoft Azure」、Google Cloudとも協業を深めるマルチクラウド戦略を展開するほか、OCIの設備をパートナーが自国のデータセンターに導入して顧客にクラウドサービスを提供できる「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」や「Oracle Alloy」など、市場特性に応じた柔軟かつ多様な提供モデルも特徴だとした。さらには、ERPをはじめとする業務アプリケーションをフルSaaSとして競合よりいち早く顧客に提供している点もユニークだと語った。
三澤氏が近年強調するキーワードの1つが、「sovereign(ソブリン=主権者)」になる。ITでは、クラウドなどに展開するデータやクラウド環境の運用管理といったものの主権をユーザー側が確保するという概念だが、国・地域、業界、企業・組織それぞれにおいて規制やコンプライアンス、ポリシー、セキュリティなどの要件が厳格化し、昨今では、経済安全保障やAI/生成AIの台頭も相まって、ソブリンの実現が重要なテーマとなっている。
米Oracle グローバル最高情報責任者(CIO) 兼 エグゼクティブバイスプレジデントのJae Evans氏は、同社のAIの取り組みついて、インフラからデータ、モデル、サービス、業種・業界特化を含むアプリケーションまでの全てのスタックをカバーしてOCIから提供している点が強みだとした。特にインフラ領域では、ベアメタル、高性能なRDMAのネットワーク、12万8000以上のGPUによるスーパークラスターおよびその拡張や運用管理性、高性能ストレージ、柔軟性とスピードにより、ユーザーの競争優位性の獲得に貢献するAIの開発を支援していると強調した。
クラウドやAIを含め中核を担うOCIは、金融や製造、公共、エンターテインメントなど多様な業界のユーザーのビジネス成果に貢献しているとする。上述のパブリック/プライベート/マルチクラウドや、小規模から超大規模環境までの対応力、Dedicated Regionなどユニークで多様なクラウドの構築・提供モデルこそが同社の特色があるとも述べる。
現在、OCIの提供拠点は計画を含めてグローバルで174リージョンにまで拡大し、日本は7リージョンが稼働中で、さらに7つのリージョンの開設を計画中。また、Microsoftとの協業で提供中の「Oracle Database@Azure」が新たに、同日からMicrosoft Azureの東日本リージョンでも利用できるようになったことを発表した。