APIの乱立が企業のリスクになる–Kongが2026会計年度への事業戦略を説明

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 API管理を手掛けるKongは3月6日、2026会計年度に向けた事業戦略説明会を開催した。大企業顧客を中心にAPIの統合管理の必要性を説くとともに、パートナーエコシステムでの施策や製品を展開していくとする。

 説明会の冒頭では、2024年7月に日本法人の代表取締役社長に就任した有泉大樹氏が、直近のビジネス状況を報告した。有泉氏は、同社がAPIプラットフォームの企業との立場を掲げてグローバルでビジネスの拡大を推進していると強調、2025年2月時点の顧客数は、多様な業種の大企業を中心に750社以上に増え、通年では200人以上を新規雇用したという。日本法人でも有泉氏の就任以降に増員を図り、現時点で15人体制となった。

 現在では、さまざまな業種・業界の企業が顧客へのデジタルサービスの提供と拡大を図っており、その背景ではAPIが多様なシステムやサービスをつなぐ。利用されるAPIの種類や数、トラフィックは増大の一途をたどっており、同社は企業に対して、拡大し続けるAPIのガバナンスやセキュリティ、コントロールなどを統合的にマネジメントする必要性を訴求しているとする。

 特にDXで新規のデジタルビジネスを推進する企業では、競争力を確保する上でAPIの存在が不可欠であり、増大するばかりのAPIが適切に管理されていなければ、ビジネスリスクになる。企業内のいろいろなDXのプロジェクトあるいは新規ビジネスの部門が個別に異なるAPIを採用してしまい、内製開発を含めて適切な管理がなされていない“野良API”も増加していく。APIの無秩序な状況の危険性に気付いた企業では、例えば、「クラウドセンターオブエクセレンス」(CCoE)といった組織横断型のチームがAPIの統合管理に着手しているという。

 有泉氏は、その訴求をとりわけ企業の経営層に対して実施しているとのこと。「就任からの8カ月で50人弱の最高情報責任者(CIO)に面会し、API管理が経営テーマであることを啓発してきた。APIをまだ理解されていない経営層も多く、API管理とは何かを言語化していくことに取り組んでいる」と話す。

 また、日本でのパートナー体制は、アライアンスパートナーの大手システムインテグレーター(SIer)9社を中心とするエコシステムになる。その理由は、ITエンジニアの約7割がSIer側に所属している日本のIT産業構造にあるためで、今後もAPI管理と管理の統合化をパートナーらと共に顧客へ訴求していく。

 共同マーケティングの展開やパートナーの認定エンジニア育成と拡大の支援などを推進するほか、SIerに加えてコンサルティングファームとの協業拡大も図る。DXで新規のデジタルビジネスを推進する大企業顧客らに、上流工程の段階からAPI管理の必要性を認識してもらうのが狙いだ。

 2026年会計年度に向けては、(1)APIの組織内活用、(2)APIによる外部パートナーとの連携、(3)APIの外部公開によるAPIエコノミーの展開、(4)APIの収益化、(5)API中心のビジネスモデル――の5つのステップを顧客に提唱し、それらを担うとしてAPI管理プラットフォーム製品群を展開していくとした。

 説明会では、同社の特色と位置付けるAPI統合管理ソリューションについて米Kong 事業開発担当シニアバイスプレジデントのKen Kim氏が説明。そもそもAPIは、メインフレームからクライアント/サーバー、ウェブというITプラットフォームの変遷に応じて徐々に拡大し、現在のモバイル/クラウドの全盛で必須になった。さらに今後は、AIがさらなるAPIの拡大をもたらすとする。

 API製品市場では、この変化に合わせてゲートウェイ、開発/テスト、サービスメッシュ、セキュリティ、サービスカタログといったポイントソリューションとそれらを手掛ける専業ベンダーが勃興したが、それらの多くは現在、買収によって大手クラウドプロバイダーの傘下にあり、同社は数少ない専業として特定のクラウドなどに偏らないAPIの統合管理を実現できる立場にあるとの存在意義をアピール。従来のポイントソリューションや機能を統合した「Kong Konnect」というプラットフォームを3年前から展開し、現在では同社売上の約3割を占めるまでに成長しているという。

 今後APIの拡大をもたらすAIに同社は、「Kong AI Gateway」を展開する。これについて米Kong フィールド最高技術責任者(CTO)のAsh Osborne氏は、大規模言語モデル(LLM)へのトラフィックの可視化をはじめ、LLMに対するアクセス制御、ユーザー単位での利用の識別や制御、通信の最適化などAI利用に伴うAPI管理の要素をデータプレーンとコントロールプレーンの領域で網羅していると説明した。

 さらには、コストの適正化(FinOps)やコンプライアンスおよびガバナンスの確保、APIを含むサービスやシステム運用性でのオブザーバビリティ(可観測性)では、サードパーティーソリューションと連携などにより実現しているとも紹介。グローバルの大手航空会社が52件の生成AIのユースケースでKong AI Gatewayを運用しているほか、大手小売ではセキュリティリスクへの対応から導入して、現在では100以上の生成AIのユースケースを大規模展開しているという。

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