企業の45%が生成AI利用、日常業務では8割以上が成果認識–JIPDECとITR調査

今回は「企業の45%が生成AI利用、日常業務では8割以上が成果認識–JIPDECとITR調査」についてご紹介します。

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 日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)とアイ・ティ・アール(ITR)は、国内企業1110社を対象に実施した「企業IT利活用動向調査2025」の結果を発表した。

 この調査から、生成AIの利用状況、DXの取り組み、テレワークの実施状況、ランサムウェア感染経験、プライバシーガバナンスへの取り組みなど、企業のIT活用に関する広範な内容が明らかになった。

 調査によると、45%の企業が生成AIを既に利用しており、「全社的に利用が推奨され、幅広い業務で利用されている」が15.9%、「必要性の高い特定部門での利用に限定されている」が29.1%だった。特に電子メールや資料作成などの日常業務において、80%以上の企業がその効果を実感しており、「非常に効果が出ている」が45.2%、「ある程度効果が出ている」が38.8%だった。

 しかし、機密情報の漏えい(59.9%)、ハルシネーション(59.1%)、倫理的問題などが懸念されている。ITRはこれらのリスクに対して、利用ルールの策定や従業員教育、AIの管理・監視などの対策を講じる必要があるとしている。

 この調査は、JIPDECとITRが1月17~24日、ITRの独自パネルを活用し、ウェブアンケート形式で実施した。対象は、従業員数50人以上の国内企業に勤務し、IT戦略策定または情報セキュリティ施策に関わる係長職相当職以上の役職者約1万7000人で、1110人の有効回答を得た(1社1人)。

 DXの取り組みについては、「内向きのDX」(社内業務のデジタル化)は比較的順調に進んでおり、「業務のデジタル化・自動化」では52.1%の企業が成果を実感している。しかし、「従業員間のコミュニケーション/コラボレーションの活性化」や「ビジネス環境変化に柔軟に対応できる新たな組織作り」では、まだ成果が出ていない企業の割合が高い。

 「外向きのDX」(顧客向けの新サービス創出)については、「顧客体験や顧客接点のデジタル化」で30.9%、「データに基づいた営業・マーケティングの高度化」では29.4%と成果が見られるが、新規ビジネスの創出は遅れている。ITRは今後、データ活用を深化させ、デジタル技術を活用した新製品・サービス開発が重要となるとした。

 テレワークは、出社と併用するハイブリッド勤務が主流となっている。「出社とテレワーク併用のハイブリッド勤務で、出社は強制されていない」が26.8%、「出社とテレワーク併用のハイブリッド勤務で、最低出社日数が決められている」が20.4%だった。しかし、「テレワーク制度はあるがほとんど活用されておらず、出社が中心になっている」が17.8%、「以前テレワークを実施していたが、現在は制度が廃止された」が5.1%と、完全な出社回帰の企業も一定層存在する。

 ランサムウェア感染経験がある企業は48%に上り、そのうち身代金を支払った企業は23.8%となった。主な侵入経路は、メール攻撃(28.3%)とリモートアクセス脆弱性(VPNやネットワーク機器の脆弱性20.8%、リモートデスクトッププロトコルの悪用19.9%)である。

 システムやデータを復旧できなかった企業は25.9%で、半数以上が復旧できておらず、ランサムウェアに感染してしまうと、システムの復旧が難しいことが分かった。ITRはこの結果から、ゼロトラストアーキテクチャーなどの技術的対策と、従業員へのセキュリティ教育を組み合わせた多層的な対策を講じる必要があるとした。

 またプライバシーガバナンスに取り組む企業に効果を尋ねたところ、「社員のプライバシー保護に対する意識が高まった」が37.3%、「従業員エンゲージメントが向上した」が35.0%、「顧客エンゲージメントが向上した」が33.9%という結果となった。従業員と顧客のエンゲージメントの向上も見られた。ITRは、データ活用とビジネス拡大のため、企業はプライバシー保護に継続的に取り組むことが重要であるとした。

 ITRは、今回の結果を受け、生成AIの活用は進んでいるが、リスク管理が重要であると指摘する。ランサムウェア対策とプライバシーガバナンスの重要性も強調し、企業はこれらの課題に継続的に取り組む必要があるとした。

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