ワークデイ、パートナーとの連携強化で国内要件に柔軟に対応–日本企業のHR変革を推進
今回は「ワークデイ、パートナーとの連携強化で国内要件に柔軟に対応–日本企業のHR変革を推進」についてご紹介します。
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ワークデイは3月19日、2026会計年度の国内事業戦略に関する記者説明会を開催した。日本の人的資源(HR)のモダナイゼーション推進に向けて注力するという。
同社は、戦略人事の成熟度別に日本企業を、年功序列や終身雇用制度が残る「JTC(Japanese Traditional Company)」、ジョブ型の採用やタレントマネジメントなどのシステム導入により変革に着手した「脱JTC」、グローバル共通の人事制度や人事・財務の連携強化を図る「ワールドクラス」に分けている。次のフェーズとして、属性やパフォーマンスなどさまざまなデータを一つのプラットフォームに統合して、人とデジタルワークフォースが協働する「AI-ready」があるとしている。
ワークデイ 執行役社長兼日本地域責任者の古市力氏は、特にJTCと脱JTCは、企業内でHRモダナイゼーションへの知見が不十分であることや、固有の制度・業務が浸透しており、変革が難しいという課題を抱えていると説明する。同社はこの課題を踏まえ、日本固有の考え方を理解した上でグローバルベストプラクティスを基に、顧客の変革に向けた伴走支援を行う。また、変革の難しさや各社固有の制度に配慮した国内機能要件に対応していくという。
具体的には、「『アドバイザリーサービス』の提供」「開発体制・プロセスの最適化」「パートナーとの連携強化」――の3つの施策に注力する。
アドバイザリーサービスは、日本企業のHRモダナイゼーションに伴走するためのサービス。人事リーダー(CHRO)向けには、人的資本経営に必要なレポートや長期的に見た人材ポートフォリオの考え方などを助言する。人事・人材戦略後に必要な人事変革の構想やHRIS構想の策定においては、人事変革リーダー向けに、人事の目指す姿やロードマップの構想策定を支援。その後、より詳細なプランを策定する際には、人事システム導入の計画策定および選定をサポートする。
ワークデイは、米Workdayの製品部門と直接やりとりし、市場戦略やロードマップの擦り合わせ、顧客やパートナーの要望を本社に吸い上げ、製品に反映させている。今回の国内事業戦略では、日本特有の機能要件に対する柔軟な実装を行うという。ワークデイによる開発では、共通要件としてプロダクトに実装されている「大規模組織改編」や「監督組織構造」をはじめ、日本向けテンプレートとして「多段階評価」や「従業員間のフィードバック」を開発する。
また、顧客が「Workdayプラットフォーム」上で固有の要件を満たした機能の個別開発もできる。例えば、固有なスキルの管理や経費精算の外部連携、小売業であれば従業員へのディスカウント管理などが実例としてあるという。
さらに、給与計算における年末調整や残業手当などの特殊手当や社会保険制度、勤怠管理など、日本の特有性が大きい部分では、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)パートナーの既存製品と連携し、実装するとしている。
また、開発パートナーによる個別開発で、顧客ごとにカスタマイズが必要な共通要件やパートナーによる独自機能も実装できる。開発パートナーは独自に開発したアプリを、同社のマーケットプレイスで販売できる「Built on Workday」を仕組みとして整えている。顧客は、マーケットプレイスから開発パートナーのWorkday独自機能アプリを購入できるほか、WorkdayとISVパートナー製品の連携により、同社製品が未対応な機能を利用できる。
ワークデイは3月12日にパトスロゴスと戦略的協業を締結し、人材管理ソリューション「Workday ヒューマンキャピタルマネジメント(HCM)」とパトスロゴスの給与システム「Combosite」が連携したと発表した。これにより、日本特有の給与計算要件に対応して人事・給与の一元管理を可能にしたHCMソリューションを実現できたという。
説明会に登壇したパトスロゴス 代表取締役の牧野正幸氏は、「グローバルでの売り上げが大きい企業ほど、日本では国内製品を使い、海外ではWorkdayを利用しているケースが多い。一方で、日本の給与や労務、勤怠にWorkdayが合わず、導入に踏み切れないケースが多い」と説明する。その中で、たびたび連携の話が挙がってはいたが、「当時の状況を見ると、(Workdayが)日本のマーケットをしっかり見ているかが分からなかった。また(牧野氏が創業したワークスアプリケーションズの製品が)オンプレミス統合型であったこともあり、技術的にも難しかったことから断り続けてきた」と語る。
しかし、日本企業のグローバル化が進んでいる状況や、ワークデイが日本のユーザーに注力していることが伝わり、「Workdayのグローバル化されたシステムと日本の勤怠、労務、給与システムをつなぐことで、日本企業のグローバル化を促進できるのではないかと思い、提携に対して意欲を持って進んできた」と協業の背景を述べた。