「日本社会のDX」に挑む牧島デジタル大臣の意気込み
今回は「「日本社会のDX」に挑む牧島デジタル大臣の意気込み」についてご紹介します。
関連ワード (松岡功の「今週の明言」、経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、デジタル庁 デジタル大臣の牧島かれん氏と、Google Cloud GM&VPのGerrit Kazmaier氏の発言を紹介する。
デジタル庁 デジタル大臣の牧島かれん氏は、グーグル・クラウド・ジャパンが先頃オンラインで開催した年次イベント「Google Cloud Day:Digital ‘22」の基調講演にゲストで登場し、日本社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた同庁の取り組みについてスピーチを行った。冒頭の発言はそのスピーチの中でデジタル庁トップとしての意気込みを示したものである。
Google Cloud Day:Digital ‘22の内容については速報記事をご覧いただくとして、ここでは牧島氏の発言に注目したい。
牧島氏は、日本に今、DXが必要とされている背景について、次のように述べた。
「新型コロナウイルス感染症により、日本のデジタル化を巡るさまざまな課題が明らかになった。コロナ対策においては、データの取得・活用不足や給付金の支給事務に膨大な事務コストがかかり、給付の遅れも指摘された。また、ハンコ押印のためだけに出社しなければならないという実態が、報道でも繰り返し取り上げられて大きな話題になった。このように、民間企業も含めて従来のアナログ業務の一部のみをデジタル化した業務プロセスとなっており、エンドツーエンドでデジタル化に対応できていない。さらに、リモートワークなどの自由な働き方や効率化、生産性向上を阻害しているという状況が明らかになった」
そして、こう続けた。
「これまでインフラ整備としては、良質なICT環境が整った一方で、組織や業務の大胆な見直しや改革がなされていなかったことが、こうした状況を生んでしまったものと考えられる。世界で高い競争力を持つ日本であるために、一刻も早く、仕事のプロセス、働き方、暮らし方などを大きく変えるDXを社会全体で進めていくことが肝要だ」
冒頭の発言は、このスピーチから抜粋したものである。デジタル大臣にはこれからも「社会全体でDXを進めていくことが肝要」と、声を張り上げて訴え続けてもらいたい。
デジタル庁は4月26日にも事務方トップのデジタル監が交代するなど、発足以来およそ8カ月間ドタバタし続けているように見受けられるが、せっかくの機会なので期待したい動きを紹介しておきたい。
高齢者などデジタルに不慣れな人たちを支援する「デジタル推進委員」を2022年度中に全国で1万人以上配置するという政府の方針に沿って、デジタル監の交代と同じ日に牧島氏が日本青年会議所など若手経営者を中心とした3つの経済団体に協力を要請したという動きだ。政府の方針については、本サイトでの筆者のもう1つの連載「一言もの申す」の2022年1月13日掲載「政府が『デジタル重点計画』で掲げた『誰一人取り残されない』施策は奏功するか」参照していただきたい。筆者はこの施策が日本社会のDX推進の“肝”だと見ている。牧島氏にはさらなる活躍を期待したい。