AIを駆使して「Observability 3.0」への進化を実現–New Relic
今回は「AIを駆使して「Observability 3.0」への進化を実現–New Relic」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
New Relicは、AIエージェントに関連する新機能などについて紹介する説明会を開催した。
副社長の宮本義敬氏は「ユーザー数3万2000人突破」「公開された活用事例が80件超」「活発なユーザー会活動」「国内市場シェア46%」といった状況を紹介し、特徴的な事例として良品計画とパナソニックインフォメーションシステムズでの利用状況を説明した。
良品計画は、「無印良品」ブランドのECサイトにNew Relicを導入。障害発生時に問い合わせを受け付けるコールセンターの非エンジニアの担当者がNew Relicの画面を見ながら状況を把握して一次回答が可能になったことで、バックエンドのエンジニアに問い合わせが振られる回数が減り、コールセンターでの顧客対応速度も向上したという。エンジニアの負担が減ったことでシステム改善に取り組む余裕が生まれた結果、問い合わせ回数が3カ月で約4分の3に削減できたという。
パナソニックグループの中核IT子会社であるパナソニックインフォメーションシステムズは、家電製品などを販売するECサイトの運営を担当しており、サイト内部の構成を可視化して改善するためにNew Relicを活用しているが、特徴的なのはIT担当ではない事業部側に対しても同じNew Relicの画面を使って進捗(しんちょく)報告などを行うことで、「同じ目線に立って問題解決に当たる」ことができるようになったという。
いずれの事例も、もともとはエンジニア向けのツールとして開発されたオブザーバビリティ製品を非エンジニアにとっても使いやすくしようとする取り組みの成果といえる。宮本氏は「New Relicはエンジニアのためのツールとして生まれ、必要なツールをどんどん作っていったのが始まり。それを統合してワンプラットフォーム化したのが5年前で、それによってさまざまな角度で分析できるようになり、非エンジニアの方/ビジネスサイドの方にも活用いただけるようになってきたのを“Observability 2.0”と位置付けている」と説明し、AIの活用によってさらなる進化を目指すという方向性を示した。
技術的なビジョンについて、執行役員 技術統括 兼 最高技術責任者(CTO)の松本大樹氏が説明した。同氏はオブザーバビリティの世界のトレンドとして「いまだ成長過程にあるマーケットである/成熟されていない」「エンジニアのためだけのツールではない」「AIシステムの管理とAIの活用の両輪」の3点を挙げた。
市場の成熟度について松本氏は「成熟されたソフトウェアの領域ではトップのベンダー5社でシェア50%、60~70%に達することも珍しくはないが、オブザーバビリティに関しては5社合計で大体35%。5社のプレーヤーは大体決まっているが、世の中に浸透する余地がある」と語った。このグローバルの状況と、宮本氏が紹介した国内シェア46%という数字を比較すると、New Relicがグローバル以上に日本国内で広く受け入れられていることが伺える。
次に、ユーザー層の広がりについて技術の視点から同氏は「もともとNew Relicの創業者のLew Cirne(ルー・サーニー)がAPM(アプリケーションパフォーマンス管理)というものを作ったのがオブザーバビリティの根源と言われている。これがすごく便利だということでアプリケーション以外のホストやブラウザー、モバイルといったあらゆるシステム領域に広げていったのが最初のフェーズだったが、ツールやデータが増えすぎてサイロ化したものを4年かけて一つのプラットフォームに統合したのがObservability 2.0となった。統合の結果、データを取り出したりデータを連携したりすることが容易になったため新機能のリリース速度が上がり、多くのインサイト(洞察)を得ることができるようになった」と解説した。
こうして、エンジニア以外の人にも活用が拡大した一方、新たな課題も生まれてきたという。「ここまでは『非常に良い変化/進化だ』となったのだが、情報量が多すぎて人間が理解することが難しくなってきたという弊害も見えてきている」とのことだ。同社は、新たな課題を踏まえて「“Observability 3.0”として、これまで以上に民主化をきちんと進め、皆さまがオブザーバリティのツールを使えるようにするために進化させる。具体的にはAIエンジンを強化し、システムの変化や障害を理解/予知することが簡単にできる仕組みづくりに取り組んでいく」というのがAIへの取り組み方針となる。
同社では既に「AI Assistance」としてLLMを活用したアシスタント機能で自然言語でのツールの操作を可能にする機能を2024年にリリースしているほか、APMモジュールでGPUなどのAI向けアクセラレーターを搭載したシステムの性能やリリース状況を監視できるようにもなっている。今後の取り組みとして「Agentic AIを活用できる領域を今後どんどん増やしていきたい」という。
AIエージェントが自律的に他のシステムと情報のやりとりを行うことを想定し、「Agentic Orchestration」としてエージェント連携が可能なパートナーの拡大に取り組んでおり、既にAmazon Web Services(AWS)、Microsoft、Google Gemini、SAPなどとのパートナーシップが発表済みだが、今回新たにServiceNowとの連携についても発表された。この連携によって「New RelicとServiceNowを採用する企業は、企業のワークフローを自動化し、ビジネスのアップタイムを最大化し、収益の損失を最小限に抑えることができる」という。
コンサルティング部 兼 製品技術部 部長の齊藤恒太氏は、今回発表の新機能の概要を紹介。採り上げられた新機能は「AIによるビジネスのアップタイム向上」に関わる「Response Intelligence」「Agentic Integrations」「Predictions」、顧客体験(CX)の改善によるビジネス貢献に関わる「Streaming Video & Ads」「Engagement Intelligence」「Public Dashboards」の6つ。3月19日付で、AIによるビジネスのアップタイム向上の3機能についてはプレビュー開始、CXの改善によるビジネス貢献の3機能については一般提供開始となっている。
Predictionsは「過去データを学習して、将来の傾向を予測。プロアクティブな対応が可能に」、Response Intelligenceは「インシデントの影響、過去の類似事象、緩和策などをAIが自動的に収集・提示して対応を高速化」、Agentic Integrationsは「各種ツールとNew RelicのAIエージェントが相互に連携し、コンテキストを共有し、問題解決のタスク進行を支援」、Streaming Video & Adsは「動画ストリーミングのオブザーバビリティを実現」、Engagement Intelligenceは「ユーザーの画面操作やUX(ユーザー体験)改善ポイントをAIが自動で解説」、Public Dashboardsは「ダッシュボードの公開機能でデータの共有や意志決定を加速」とそれぞれ紹介された。