OpenAIを脅かすオープンソースモデルの台頭–李開復氏が指摘するAI経済の変化

今回は「OpenAIを脅かすオープンソースモデルの台頭–李開復氏が指摘するAI経済の変化」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 ある著名なAI学者によると、膨大な額の損失を出しているOpenAIは、生成人工知能(AI)プログラムの新たなトップ争いにおいて苦戦する可能性があるという。

 AI学者で起業家の李開復(Kai-Fu Lee)氏は米国時間3月20日朝、Bloomberg Televisionのインタビューで次のように語った。「問題は、どの企業の(AI)モデルが1%優れているかということではない。どれも非常に優れていると思う。問題は、OpenAIの(ビジネス)モデルがそもそも持続可能なのかということだ」

 李氏は、OpenAIの「GPT」をはじめとするAI「基盤」モデル、または「先駆」モデルがコモディティー化するにつれて、同社はDeepSeek AIの安価な製品との競争が困難になる、と語った。

 「年間70億から80億ドルを費やして膨大な損失を出しているところに、競合が無料のオープンソースモデルで参入してきた」。李氏はOpenAIとDeepSeek AIの財務状況を比較してこのように述べた。

 「2024年の運用コストについて考えるなら、OpenAIが70億ドルだったのに対し、DeepSeekはおそらくその2%で運用していたはずだ」

 李氏はDeepSeekについて次のように語る。「この企業は長期にわたって存続するだろう。なぜなら、創設者には現在のレベルで運営を続ける十分な資金力があり、コンピューティングのコストを5分の1から10分の1に削減したからだ。このようなライバルがいては、Sam Altman氏はよく眠れないだろう」

 2025年1月に株式市場に衝撃を与えたDeepSeek AIは、梁文峰(Liang Wenfeng)氏が運営する中国のヘッジファンドの1部門によって創設された。同社によると、主力のAIモデル「DeepSeek-R1」はOpenAIと同じことを10分の1のコストで実行できるという。

 かつてはMicrosoft Research Asiaの創設ディレクターを務め、その前にはGoogleとAppleで勤務していた李氏は、自身の現在の企業であるSinovation Venturesを創設し、01.AIなどのスタートアップに資金を提供している。

 李氏のスタートアップ企業は、「BeaGo」という生成AI検索エンジンを手がけている。李氏によると、同社は現在、DeepSeek-R1などのAIモデル上で動作する「OS」のようなものを開発中で、これを特に中国向けに提供する予定だという。

 この取り組みは、中国が大々的に進めているDeepSeek AIのオープンソースソフトウェアや阿里巴巴(アリババ)の「Qwen」モデルなどの中国経済全体への普及と足並みがそろっている。

 「中国政府の新たな重要方針は、『新品質生産性』と呼ばれる。これは、ハイテクによって生産性と効率性を生み出し、あらゆる従来型産業の収益性と競争力を高めるものだ」(李氏)

 OpenAIに関する李氏の発言は、同氏が以前から発していた経済についての警告の延長線上にある。

 李氏は過去に、AI業界の経済は多くの企業にとって持続不可能だと指摘した。各社はデータセンターやNVIDIAのチップに多額の投資を行い、さらに大規模なモデルを構築しようとしている。しかし、そのコストに見合う利益がまだ出ていない、と同氏は述べた。

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