NECが描く物流の新時代–「共通輸配送」を実現するプラットフォーム作り
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NECは3月25日、ロジスティクスをテーマとした勉強会を開催した。共同輸配送プラットフォームの推進のほか、NEXT Logistics Japanとの協業など、物流に関する社会課題解決に向けた取り組みについて説明した。
NEC スマートILM統括部の大久保聡氏は「ロジスティクス業界は物流業だけでなく、製造、卸、小売といった業種が絡んでいる。その中で、デジタルトランスフォーメーション(DX)を活用し、最適化することでより大きな価値を生み出すことに向いている業種だと認識している。お客さまだけで解決が難しい共通の課題を私たちの技術を使ってDXを通じて解決する試みを実施している」と現状について話した。
NECでは物流の課題を解決する手段の一つとして「ロジスティクスプラットフォーム」を作り、多くのステークホルダーをつなぐ場作りを提案する。大久保氏は「こうした場作りはデジタルが主戦場。あらゆる業界、業種のデータを連携することで、DXを加速させ、ロジスティクスの課題を解決する基盤になると捉えている」とした。
共同輸配送ができない課題をなくす
NECでは、物流業界が抱える共通の課題解決の手段として「共同輸配送」を推進している。これは業種、業界を問わず、バラバラになっている物流ネットワークを共通化し、輸送リソースの有効活用を実現するというもの。
既に実施しているケースもあるが、多くの企業で普遍的に利用される状況には至っていないという。その原因は(1)条件に合致する企業の探索、(2)条件調整や継続が困難、(3)オペレーションの煩雑さ――の3つ。
「同じような条件を持った仲間を見つけるのが難しい、変動する日々の荷物量の調整をしながらオペレーションを回していくのが困難といった課題があり、共通輸配送を広げていくのが難しい環境にある。現状では熟練のスタッフがこの問題を解決しながら共同配送を実現しているのが現実。これでは1ルートはできても、面に広げていくことが難しい」(NEC スマートILM統括部の梅田陽介氏)と話す。
そこでNECは、「共通輸配送プラットフォーム」の提供を開始。各社の物流データをプラットフォームに登録すると、共同配送できる候補が自動で抽出され、グルーピングされる。その後、共同輸配送の運行計画を自動で作成する「プランニング」、会社間の荷量とリソースの情報を共有する「オペレーション」を経ることで、企業間の輸配送シェアリングを実施しやすくする。
「従来は、企業同士で集まって議論する必要があったが、プラットフォームに各社の条件を登録することで、どこの調整が必要なのかが瞬時に比較できる。加えて、日々変動する荷物量に対しても、グルーピングとプランニングである程度の条件をすり合わせ、さらにオペレーションの2段階で調整する仕組みを整えた。これにより利用しやすい手軽さと信頼性を両立できると考えている」(梅田氏)と課題解決に乗り出す。
既に、制御装置などを手掛ける横河電機と三井倉庫グループの三井倉庫サプライチェーンソリューションによる共同輸配送を実施。東京都で両社の荷物を積み込み、名古屋市で一部の荷物を下ろし、その後三重県まで運んだところ、車両台数が1台削減できたほか、積載率も10%ほど向上したという。
NECでは、同様の事例を現時点で10社ほど積み上げており、今後は2026年3月までに約30社、2027年3月までに約70社までに拡大していく方針。梅田氏は「首都圏、東海、関西エリアで、幹線輸送を中心に拡大しているが、北海道や東北、九州にも広げていきたい」と意欲を見せた。