アトラシアン、組織全体に適用するビジネスプラットフォームを展開–生成AIの大胆戦略も
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Atlassianは米国時間4月9~11日、カリフォルニア州アナハイムで年次カンファレンス「Team’25」を開催している。メインとなる同10日の基調講演では、共同創業者で最高経営責任者(CEO)を務めるMike Cannon Brookes氏ら首脳が、顧客組織全体に適用可能なプラットフォーム展開とともに、生成AI/エージェント基盤「Rovo」の実質無償提供などの大胆な戦略を発表した。
同社は、Brookes氏らが2022年にオーストラリア・シドニーで創業した。プロジェクト管理の「Jira」やナレッジ共有の「Confluence」、タスク管理の「Trello」などの製品が個人単位から従業員数十万人規模の組織まで幅広く利用されている。顧客は世界で30万社以上、数百万ユーザーが活用する。
同社は近年、これら製品を組織全体でシームレスに活用可能なプラットフォームへと進化させており、今回のTeam’25でその展開をより明確な形として顧客やパートナー、市場に対して打ち出した。Team’25には過去最大規模という5000人以上が現地に参集し、日本からも顧客やパートナーなど約50人が参加。オンラインのリアルタイム参加者は200カ国・地域以上にわたるという。
基調講演に登壇したBrookes氏は、まず同社のミッション「Unleash the potential of Every Team(あらゆるチームの可能性を解き放つ)」と、2024年から打ち出す「System of Work」に触れた。これらの根底には、本拠のオーストラリアから北米でも欧州でも航空機で片道10時間以上を要する物理的な制約から、20年以上にわたり世界各地の社員が一体的なチームとして活躍できる仕組み作りの豊富な経験やノウハウがある。
System of Workは、ソフトウェア開発企業として同社が実践しているテクノロジー組織と事業部門や管理部門などのビジネス組織が1つのチームとして協働しながら組織全体として能力を最大限に発揮している様を示す“哲学”だという。Brookes氏は、これに賛同するあらゆる業種の世界中の顧客が1つのチームとなり、設定する目標のゴールへ向けて、変化へ柔軟に対応しながら変革の道のりを歩んでいると述べる。
System of Workをステップバイステップで具現化していく術がクラウドだ。さまざまな組織、部門、従業員個人が持つ経験やノウハウ、知識、情報を1つに集めシームレスに共有、活用し続けるにはクラウドが最適であり、同社は2015年からクラウド化を進めてきたとのこと。現在まで「Atlassian Cloud Platform」を展開し、これは情報基盤の「Teamwork Graph」と中核アプリケーション群「Platform Apps」およびその上で実行される各チーム共通、ソフトウェアチーム、サービスチーム、製品チーム、経営管理チーム向けのアプリケーション群により構成される。
中でもTeamwork Graphは、ユーザーが各種アプリケーションの活用効果を得る“源泉”に相当するという。Teamwork Graphには、顧客がJiraやConfluenceなどで利用しているあらゆる要素のビジネスデータが蓄積され、顧客全体で100億件以上ものオブジェクトデータを格納しているという。例えば、あるプロジェクトにおけるタスクについて、「誰が、どの組織が、何を、いつ、どのように行ったのか」といったことや、設定目標に対する進捗(しんちょく)、結果などに関する履歴、ファイル、ログといった多様なデータの相関性をメタ情報としてひも付けている。
同社はAtlassian Cloud Platformを「Amazon Web Services」(AWS)上に構築し、サービスを顧客に提供。まずBrookes氏は、新たに政府機関向けの「Atlassian Government Cloud」とAWS上に顧客の占有環境を提供する「Atlassian Isolated Cloud」を発表。前者は既に米国連邦機関クラウドセキュリティ認定制度「FedRAMP」を取得済みで、後者は機密性の高い情報を扱う組織や規制要件が厳しい業界組織などが自身でデータのセキュリティを担保できる「データレジデンシー」を可能にする。また、オンプレミス版のJiraのユーザーがこれまでのデータをAtlassian Cloud Platformへ移行できるよう支援するコネクターを近くリリースすることも発表した。