レッドハット、仮想化・AI製品群を「AWS Marketplace」で国内提供
今回は「レッドハット、仮想化・AI製品群を「AWS Marketplace」で国内提供」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
レッドハットは4月2日、同1日から同社の仮想化プラットフォームやAI製品群を「AWS Marketplace」で提供開始したと発表した。「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)AI」「Red Hat OpenShift AI」「Red Hat OpenShift Virtualization」をはじめとする20種以上の製品・サービスをAWS Marketplace上で活用できるようになり、オンデマンドで調達可能な従量課金型の「Pay As You Go(PAYGO)Subscription」が利用可能となる。
テクニカルセールス本部 クラウドソリューションアーキテクト部 シニアソリューションアーキテクトの石川純平氏は、同社のAIプラットフォームとしてRHEL AIとOpenShift AIを説明した。
RHEL AIは「シングルサーバーで実行し、LLM(大規模言語モデル)のファインチューニングや、チューニングしたモデルの実行など、機能を備えた製品となっている」と説明され、OpenShift AIに関しては「それに加えてより広範な機能、学習に関する機能を提供している。例えば、学習したモデルを本番環境として実行/運用する機能などがある。さらに、LLM以外の要素として、例えばベクトルデータベースやAI関連アプリケーションの実行についてもカバーする」という。
現在、アプリケーションプラットフォームの主流はコンテナー環境であり、コンテナー化された比較的小さなコンポーネントをAPI経由で連携させてタスクを処理するというアーキテクチャーが一般的になってきているため、そうした用途を想定するのであればOpenShift AIの方が活用範囲は広いといえそうだ。今回、AWS Marketplace上での販売が開始されたことで、クラウド上にAI関連アプリケーションを展開しやすくなる。
石川氏は、2025年1月にRed Hatが買収したNeural Magicについても紹介した。同社はオープンソースプロジェクトとして開発が進められているLLM推論エンジン「vLLM」に深く関与している企業だ。vLLMの活用によってAIモデルの推論を高速化できるため、Red HatからvLLMが提供されるようになることで、利用しやすくなると期待される。
現在は基盤モデルの初期の学習に多額のコストと演算リソースになってきているが、学習済みの基盤モデルの推論機能を高めることで、より低コストでより良い成果を得られると分かってきており、推論部分に注力する企業が増えてきている。
Neural Magicの買収もそういった流れに沿ったものだろう。RHEL AIでは標準のLLMとしてIBMが開発した「Granite」が含まれているが、Granite自体が規模を追求するのではなく、相対的に小さなモデルを用途に合ったチューニングや推論機能の強化などの手段を通じてコストパフォーマンス高く活用するという方針で開発されている。加えて、LLMを強化するためのオープンソースプロジェクトである「InstructLab」も含まれるため、Graniteに追加学習を施すことで、ユーザー企業が自社に最適化されたモデルを作ることが容易になる。
Red Hatは、2019年にIBMに買収されて以降も独立性・中立性を保ってビジネスを展開しているが、AI分野やLLM関連の取り組みに関してはIBMとの連携が効果的に発揮されていると言ってよさそうだ。
今回、AWS Marketplace上でRed HatのAI製品群が購入可能になり、従量課金型での利用が容易になったことで、ユーザー企業のAIへの取り組みのハードルも下がり、より柔軟な活用が可能になることが期待される。