ソニー「α1」は“新世代の最高峰”を見せてくれた :荻窪圭のデジカメレビュープラス
今回は「ソニー「α1」は“新世代の最高峰”を見せてくれた :荻窪圭のデジカメレビュープラス」についてご紹介します。
関連ワード (仕上、価格帯、連写等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、It Media News様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
いやあ、すごいですな、。1月27日の午前0時に発表されたソニーのフラッグシップ機。
日本時間の1月27日午前0時、オンラインで発表があると聞いて思い出したのが1月半ばにオンラインで開催された「CES 2021」だった。
CESのソニーのデジタルプレスイベントで、PlayStation 5や自動運転の話以上に目を引いたのはや、「Crystal LED」を使ったバーチャルプロダクションといったハイエンドなクリエイター向けの提案であり技術だったのである。
CESのCはもともとコンシューマー(consumer:消費者)なんだけど、ソニーはコンシューマーへ届けるコンテンツを作るプロのクリエイターに向けたメッセージを発信したのだ。その約2週間後の発表会なのでプロ向けのハイエンド機がくるだろな、でも「α9II」は2019年に発売されたばかりで後継機がくるにはまだ早いよな、と思ってたのである。
そしたら予想を超えたα1の登場である。
「α9II」は約2400万画素ながら、ブラックアウトフリーな超高速連写で超高速AFで、電子シャッター撮影時のゆがみも少なく、Wi-Fiに加えてLANポートも持ち、最先端のワークフローを実現した。
α1はパッと見た限り、その延長線上にあり、5000万画素のセンサーで秒30コマを実現したカメラだ。
α7の高画素モデルは「α7R」なので、α9の高画素版ってことで“α9R”という名前にもできたのだろうが、それをあえてα1にしたという点に「これがミラーレス一眼時代のフラッグシップだ」という強いメッセージを感じる。
一眼レフの時代、オリンピックイヤーになるとキヤノンとニコンからフラッグシップ機が出るのが通例だった。2020年にも「EOS-1D X Mark III」と「D6」が発売されている。プロのスポーツカメラマンに向けたデカくて重くて画素数は抑え気味だが、高速AFと高速連写と頑丈さとバッテリーの持ちを兼ね備えた仕事のための最先端の技術を搭載した一眼レフだ。
ミラーレス一眼にはまだそのポジションに製品がなかったのである。
ソニーのα1はそこに対して「俺がミラーレス一眼時代のフラッグシップというものを見せてやる」的に登場したと思うと分かりやすい。
スポーツ撮影という意味では、5010万画素で秒30コマのAF/AE追従連写が約165枚以上撮影可能で、シャッター音も小さく、電子シャッターを使えばほぼ無音で撮影できるので、シャッター音を出せないシーン(プレゼンではゴルフを例に挙げた)でも瞬間を撮影できる。
しかも連写はブラックアウトフリーで、フラッグシップ機で重要となるファインダーも約944万ピクセルの超高精細で、フレームレートも最高240fpsまで対応している。これはすごい。
AFはさらに被写体追従が強化され、リアルタイム瞳AFも人物・動物に加えて鳥にも対応した。
α9では電子シャッター時特有のローリングシャッターゆがみを軽減したアンチディストーションシャッターが売りだったが、α1ではさらにゆがみを抑えたと発表している。
超高速連写とAFのみならず、音を出せないシーンでも撮影できる。これは一眼レフにはできないことだ。
さらに、作り込んだ撮影をするプロのフォトグラファーに対して、フラッシュの同調速度が1/400秒に上がったことや、電子シャッター時でもフラッシュ撮影が可能になることで表現の幅を広げた。
動画は8Kで30fpsに対応している。
現場によっては撮影したカットを素早くセレクトして瞬時に転送、というワークフローが必要になる。撮影した画像をその場でチェックするために別途モニターが必要になることもある(カメラの小さなモニターでは難しい)。
LAN端子の装備や5GHzの高速なWi-Fiは以前からあった。
ここが面白いのだが、α1の周辺機器として「Xperia Pro」を誕生させたこと。Xperia 1がクリエイターのためのスマートフォン、的な立ち位置で登場して以来、どこかでαシリーズとうまく連携してくる未来を描いているんだろなと思っていたのだが、ここできた。
Xperia Proはスマートフォンでありながらαの周辺機器なのである。Xperia ProはHDMI端子を持っており、α1(に限らないけど、たぶん、HDMI出力を持ってるカメラならなんでもいけると思う)とHDMIケーブルで繋げば高品質なXperia Proを外部モニタとして使えるし、4Kでのライブストリーミングも可能だ。
Xperia Proは5G対応なのでα1で撮影した写真や動画をXperia Pro上でセレクトして(カメラの背面モニターよりずっとクオリティが高いので、その場で写真をチェックするならXperia Proのほうがいい)送信できる。
外部モニターとしても通信機器としても使えるわけだ。
従来、ハイエンドのスマートフォンといえば高級感を出すためにテカテカツヤツヤした仕上げがなされがちだったが、撮影システムに組み込むには余計な反射はじゃまなだけなので、マット仕上げになっているのも好感が持てる。
スポーツやネイチャーフォトのみならず映像作品を作ったり作り込んだ写真を撮影するプロのためのシステムを構築するための「フラッグシップ」カメラを目指したわけだ。
そういう新時代の最高峰を容赦なく見せてくるところがソニーらしくて良いなと思う。
α1の価格は約90万円。ちなみに、キヤノンの「EOS-1D X Mark III」は88万円(キヤノンオンラインショップ)、ニコンの「D6」は79万8600円(ニコンダイレクト)。価格帯も同等だ。
α1はそういうプロのための機材なので、90万円は高い、といってもしょうがない。α1ならではの機能・性能がオーバースペックな人は、画質重視なら「α7RIV」を、スピード重視なら「α9II」を選ベばいいんじゃないだろか。あるいは、今年中に出ると思われるα7IVを待つという手も。いずれにせよ、昨秋の「α7C」と「α7sIII」から始まったソニーの攻勢から目を離せない。
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